クリエイターが「ストックフォト」を活用して、自身のクリエイティブ素材を売り利益を得る方法を紹介していく本連載。今回は、どんな人たちがストックフォトサービスを利用しているのかについて紹介していきます。

登録者はどんな人が居るの?

"誰でも参加出来る! "が特色である投稿型のストックフォトサービスでは様々な人が写真を売っています。会社員をはじめ公務員、主婦、学生、デザイナー、フォトグラファーなど、登録している人は様々です。最近ではストックフォトの認知度も上がり、プロのフォトグラファーの方の登録も増えてきているようです。プロの参加という意味ではフォトグラファーより、実際にストックサービスを利用して写真を買う側のデザイナーの登録が多いようです。買う人の気持ちやニーズがわかるデザイナーには有利なのかもしれません。ストックフォトの場合、写真のクオリティと同じくらいニーズを読むチカラが必要かもしれません。

登録ユーザーの割合(PIXTAの場合)

どんな人が利用してるの?

想像に難しくないところでいえば、雑誌・書籍などの印刷・出版関係者や広告などを制作するデザイナー、ホームページを制作するWeb関係者の利用が多いようです。しかし、みなさんの身近で考えても様々な利用の仕方があります。特に季節に関係するクリスマスや年賀状に利用する素材については、職業や個人、法人など関係なく利用されています。また、ビジネスシーンにおいての企画書やプレゼン資料などで使用される機会がこれまで以上に増えてきており、このことから一般の会社員の人たちも利用していることがわかります。そのほか、自分では撮影出来ない状況や被写体など、様々なイメージがストックされているストックフォトサービスは、最も身近で手軽なイメージバンクといえます。デザイナー以外も利用できるこのサービスの市場は、売る人買う人双方にとって、これからが楽しみなマーケットといえるかもしれません。

素材購入者の割合(PIXTAの場合)

「マイクロストック」もストックフォトサービス?

「マイクロストック」もストックフォトサービスなのでしょうか。その通りです。ストックフォトサービスには大きく分けて、ここでお話している「投稿型」と「従来型」の2種類のサービスがあります。従来型はサービスの多くがプロのフォトグラファーや作家等の作品を販売しています。販売単価も高く、値段も1点数万円~数十万円のものが多く存在しています。もちろん数千円から購入できる作品も存在していますが、投稿型に比べると高価なサービスと言えます。また、作品の販売、使用履歴が管理され、使用用途などに応じて価格が変わるRM(※ライツマネージド)の作品が多く存在し、「どこかで使用された作品などは使用したくない」といったケースでの制作に適しているサービスと言えます。

※ライツマネージド(RM) 1回ごとの使用につき、用途に応じて使用料金を計算し、その使用に対して使用許諾を発行する販売形態。一定期間使用を独占したい場合や、素材の使用頻度の把握が必要な際に適用する。使用するにあたり用途や媒体名などを申請・登録する必要があるので、作品の使用履歴情報が管理され、閲覧、購入の際に確認することができる。

それに比べて投稿型では、作品の単価は数十円、数百円から販売されています(サービスや購入プランなどによって様々な形態が存在します)。購入者にとっては安価で作品を購入することができるので、手軽に利用することができます。また、ほとんどの作品が一度購入すると使用許諾の範囲内で何度でも使用可能なRF(※ロイヤリティーフリー)の作品であることも利用者にとってのメリットだと言えます。マイクロストックとは作品の販売においての考え方です。例えば、ひとつの作品で1万円の売上を目指すとして、1回の販売で1万円なのか、100円で100回販売して1万円なのか、ということです。つまり、1回の販売価格が低く(マイクロ)ても、購入者にとって安価で購入しやすい作品を数多く購入してもらうサービスのかたちが「マイクロストック」なのです。そのため、制作現場の制作費のコストが下がってきている現状ではマイクロストックの方が購入しやすいということも多くなっているほか、Web広告等に代表されるように一定の短い期間での使用で終わってしまう場合にはマイクロストックの方が利用しやすいサービスといえます。また、投稿型のマイクロストックの場合、プロでなくても投稿、販売できることや、購入者が自分の作品を販売しているケースがあったり、クリエイター同士のコミュニケーションを行う場が提供されているサービスもあり、クリエイティブのコミュニティという側面を併せ持ったクリエイティブマーケットプレイスともいえます。

※ロイヤリティフリー(RF) 一度購入すると使用許諾の範囲内で何度でも使用することができる販売ライセンス。あくまでも本人使用に限っており、使用権の譲渡や独占はできない。原則として画像のサイズで価格帯が決まる。購入した画像は何度でも使用できるが、販売物に使用・二次使用など「エクストラライセンス」の項目に該当する場合は、別途ライセンス料金が適応される。

※掲載画像は書籍『写真で稼ごう』より

LOCUS.AND WONDERS.


2006年に発足。デザイナーであり、アートディレクター、クリエイティブディレクターの黒田智之を中心にしたクリエイティブグループ。著書としてこれまでに書籍『写真で稼ごう』、『写真で稼ごう【撮り方編】』(共に弊社刊)などを執筆している。