ストックフォトをはじめよう

デザインなどの制作の現場において、インターネットが影響を与えたものや事柄はたくさんあります。特にここ数年の経済情勢もあり、クリエイティブの現場は変化の連続です。制作する媒体の種類は紙媒体にはじまり、Webや映像、携帯、電子出版など、これまではひとつの得意分野の中で仕事をしてきたクリエイターが、どんどんマルチなモノづくりを求められる時代になってきました。特にデザイナーはひとりでやることが本当に増えてきたように思えます。『限られた予算の中で写真も撮ってデザインもする』。そんなことが当たり前になってきた時代、これまではクライアントの要望に沿ったオーダーメイドなモノづくりしか選択肢はありませんでしたが、写真やイラスト、映像、音楽といった自分のクリエイティブをWebにアップし、世界に向けて販売することにより、お金を得ることができる新しい選択肢がストックサービスです。

ストックサービスといえば、デザイナーの方にとっては写真やイラストなどのイメージを買う場所としては有名なサービスです。確かに写真がメインのサービスが故に「ストックフォトサービス」と呼ばれていますが、今では映像や音楽、「Adobe Illustrator」で制作するベクターデータやWebデザインで使用する「Adobe Flash」までを扱うサービスに成長しています。そんなストックサービスでのお金の稼ぎ方を著書『写真で稼ごう』の著者であり、デザイナーとしての活動も行っているクリエイティブユニット LOCUS.AND WONDERS.がストックサービスの中でも写真(画像イメージ)を扱う「ストックフォトサービス」の基本から売り方まで、著書『写真で稼ごう』、『写真で稼ごう【撮り方編】』からの情報も交えながらお教えします。

ただ、このストックフォトサービスはプロのクリエイターのためだけのものではありません。誰でも参加できる投稿型のサービスがいくつもあります。そして、誰もが持っていて、最も身近なクリエイティブデバイスであるデジタルカメラとインターネットが繋がる環境さえあれば誰でも参加出来ます。ということで、ここではプロのクリエイターだけでなくデジカメを持っているすべての人のために語っていきたいと思います。キャッチコピーは……

『デジカメを買って写真の撮り方を覚えたら、ストックフォトを活用して自分の写真でお金を稼ぎましょう! 』

超基本! ストックフォトって何?

簡単にいえば、文字通り写真をストックして(預かって)販売するというサービス(イラストやグラフィックなども併せて扱っていることが多い)です。一般的には、Webや広告、出版物などを制作する際に制作サイドが目的に合った写真を素材として選び、使用料を支払うことで利用されているサービスです。

写真を買う人からすると、目的にあわせて撮影を行う場合に比べてストックフォトを利用することで、撮影の手間や時間、何よりもコストを大幅に削減できます。購入者であるデザイナーや編集者にとっても、安価でバラエティに富んだ素材をいつでも利用することができることはもちろん、目的の素材をリクエストして広く募集することもできるサービスもあるため、チラシやポスター、カタログやDM、Webで見かけるバナー広告などの広告物やテレビの情報番組やクイズ番組に至るまで、あらゆるメディアに利用されています。自分の身近にあるものを意識して見てみると色々と発見できると思います。ちなみに以前はレンタルポジ、レンタルフォトと呼ばれ、カタログ本からイメージに合う写真を探し、郵送されてくるポジフィルムをスキャンして使っていた時代もありました。

ストックフォトサービスが発展してきた理由のひとつとして、デジタル一眼レフカメラの普及があげられます。プロでなくとも高品質な写真が撮れるようになり、アマチュアカメラマンでも活躍できる状況も誰でも参加出来る投稿型のストックフォトサービスを盛り上げている原動力となっています。もともと写真のコミュニティサイトとしてスタートし、アマチュアカメラマンの活躍の場を提供するために立ち上がったというストックフォトサービスサイト(PIXTAやPhotolibrary、海外ではiStockphoto等も始まりはコミュニティサイト)もあります。

誰でも参加出来る! 投稿型のストックフォトサービス

会員登録を行い自分が撮った写真をアップして簡単な基本技術審査(ピントや構図など写真として成立しているかを審査)をクリアすれば、誰でも自分の作品を販売できるようになります。登録の際の費用も一切かかりません。また、本名を明かさずニックネームのみで販売することもできます。自分の写真が売れると、販売価格の20%~70%(サービスによって異なります)のロイヤリティ(コミッション料)を得ることができます。もちろん、作品が採用されれば実際に企業の広告や制作物に利用されるので参加クリエイターにとっては自分の作品が評価されると同時に収入を得ることができるサービスです。

ストックフォトサービス一覧

国内で生まれた日本市場を中心としたサービス

フォトライブラリー

PIXTA

TAGSTOCK

世界に向けて自分の写真を売ってみるなら

fotolia

Paylessimages

iStockphoto

各サービスの特徴やサービスの詳細は、今後この連載で紹介していきたいと思います。

LOCUS.AND WONDERS.


2006年に発足。デザイナーであり、アートディレクター、クリエイティブディレクターの黒田智之を中心にしたクリエイティブグループ。著書としてこれまでに書籍『写真で稼ごう』、『写真で稼ごう【撮り方編】』(共に弊社刊)などを執筆している。