コロナ禍以降、リモートで働くことが当たり前になりました。フリーランス・ワーカー(以下、フリーランス)として活動する、副業を始めるなど、多様な働き方が増えています。
11月1日には、いわゆるフリーランス新法 も施行されました。新法では、発注事業者がフリーランスに取引条件をきちんと示すことなどが義務付けられました。フリーランスがこれまでよりも働きやすくなることが期待されます。
世の中の流れもあり、今後フリーランスとして働くことを考えている人もいるのではないでしょうか。
「将来のために投資しておく」のは正しい
フリーランスは、毎月決まった給与を受け取るのではなく、働いた実績に応じて収入が変動します。多く稼げる時期が限られていたり、将来の収入を見通しづらいケースもあるでしょう。
フリーランスならではの特徴ゆえ、将来のお金のことをより考えるようになり、資産運用への関心が高まる人もいるのではないでしょうか。世界全体に分散投資をしておけば、中長期的に資産を増やすことが期待できます。
ただし、将来が心配だからといって、資産運用でリスクを取りすぎるのは禁物です。
万一に備えるお金を確保する
まず、資産運用は「余裕資金」の範囲内で行うのが大原則です。病気や特別な出費などに備える「生活防衛資金」は資産運用にまわさず、預貯金として確保しておくのがよいでしょう。
さらにフリーランスの場合、会社員よりも生活防衛資金を多めに確保することをおすすめします。目安は、月々の生活費の6カ月分ほどです。
それは、会社員が企業に守られる側面があるのに対し、フリーランスは自分で自分を守らなければならない場面が多いからです。
例えば病気などで働けなくなったとき、会社員であれば、条件を満たせば休業補償としてお金(傷病手当金)を受け取れます。 しかしフリーランスの場合、原則として、働いていないときにお金は入ってきません。だから会社員のときよりも生活防衛資金を多めに確保しておくと安心です。
「生活防衛資金」を現金のまま置いておくのではなく、資産運用にまわせば効率的だと考える人もいるかもしれません。
しかし、生活防衛資金を資産運用にまわすのはおすすめできません。資産運用にまわしたお金がつねに増えているとは限らないからです。
相場の状況によっては、評価額が投資額を下回ることもあります。もし相場が下がっているときにまとまったお金が必要になったら、目減りした資産を取り崩さなくてはなりません。こうした事態を避けるためにも、生活防衛資金は最初から手元においておくことが大切です。
リスクを取りすぎない
ではフリーランスは、資産運用をする際、どの程度リスクを取れるのでしょうか。以下は一般的なリスクの考え方です。年収や金融資産が少ない場合や、運用期間を長く取れるかわからない場合は、リスクを抑えるのがよいと言えます。
リスクの取り方を決めるときには、上記の項目に加え、「働き方」も考慮するという考え方もあります。
会社員や公務員は、給与や待遇の水準をある程度見通せるケースが多いです。このため資産運用では、年齢や資産の状況などの条件次第で、やや高めのリスクをとってもよいと言えます。
一方、フリーランスの場合、先々まで収入の増減を見通しづらいケースが大半なのではないでしょうか。こうした場合には、リスクを取りすぎないことをおすすめします。
資産運用で取るべきリスクは、一人ひとり異なります。働き方や年齢、資産の状況などから自分にあったリスクを見極め、将来に向けて資産形成をしていきましょう。