2024年に始まった新NISAで、資産運用を始めた、あるいはこれから始めようとしている人は多いのではないでしょうか。
資産運用を始めるときに迷うのは、「何を買うか」です。2024年前半に人気だったのは、全世界(オールカントリー)の株式が盛り込まれた投資信託でした。
全世界の株式の投資信託は、名称「オールカントリー」を省略して「オルカン」と呼ばれています。一つの投資信託を買えば、世界中の数千以上の企業に分散して投資できることが特徴です。株式への分散投資が手軽にでき、コストも低いので、多くの人に選ばれています。
「オルカン」を長く運用して大丈夫?
リスクを抑えるには、分散投資が有効だと聞いたことがあるかもしれません。ただ分散投資と一口に言っても、種類はたくさんあります。オルカンの投資対象は「株式のみ」ですが、分散のレベルは十分なのでしょうか。
分散投資で重要なのは、多くの国や地域のさまざまな資産に幅広く投資をすることです。ここで言う「さまざまな資産」とは、株式だけでなく、債券や不動産、金など、株式とは異なる値動きが期待できる資産も含まれます。
オルカンの投資対象は「株式のみ」なので分散のレベルは十分とは言えず、リスクは総じて高めです(下図)。オルカンだけに投資している場合、人によってはリスクを取りすぎている可能性があります。
年齢が上がればリスクの取りすぎに注意
特に注意したいのは年齢が上がったときです。一般的に年齢が若いほどリスクを取りやすく、年齢が上がるとリスクを取りにくくなります。会社員で定年が近づいて収入減が見込まれたり、資産を使う時期が近づいていたりすると、高いリスクをとり続けるのは望ましくありません。
とはいえオルカンに投資しないほうがよいわけではありません。若い世代が資産のごく一部を投資しているだけなら、オルカンから資産運用に踏み出すのもよいかもしれません。
ただし、年齢を重ねてリスクを取りにくくなれば、より安定的な運用へと見直すほうがいいでしょう。若いうちは株式を中心にして高いリターンを狙いつつ、リタイアが近づいたら、比較的リスクが低い債券などの割合を高めていくのが望ましいと言えます(下図)。
長期投資を続ける中で、年齢などに応じてその時々に適切な割合でさまざまな資産を組み合わせられてこそ、分散投資が十分にできていると言えます。
新NISAでは多くの人が将来に向けて10年、20年と長く運用することになります。大きな金額を長く運用することになったら、株以外の資産も含めた分散投資に切り替えることをおすすめします。