Appleショップをオープンし、下取りから購入までをサポート
東京・新宿のビックカメラ新宿西口店に、6月13日、Appleショップがオープンした。同店4階のPCフロアに、従来の1.5倍強となる170平方メートルの売り場スペースを確保。Mac本体のほか、アップル純正の周辺機器を展示。さらに、サードパーティーの周辺機器や、ソフトウェアなども幅広く展示している。
販売実績日本一の有楽町店を抜くことが目標
ビックカメラ執行役員営業部長兼新宿西口店店長の石川勝芳氏は、「当社の基幹店舗であるビックカメラ有楽町店は、Macの販売実績では日本一になった店。新宿西口店は、それを抜くことを目標にしている」と意気込みを見せる。
実は、石川店長は、つい最近までビックカメラ有楽町店の店長を務め、同店で国内初のAppleショップをオープン。同店におけるMacの売上高を、わずか1年で35%増にまで引き上げた実績を持つ。その実績を持って、新宿西口店で、自らが作り上げてきた有楽町店の売り上げを抜くと宣言しているのだから、単なる努力目標ではなく、現実的な目標であることがわかる。いわば、今回の新宿西口店におけるAppleショップのオープンは、日本一のMac売り場を目指すという狙いもあるのだ。
事実、170平方メートルという売り場面積は、140平方メートルとなるビックカメラ有楽町店のMac売り場の広さを上回る規模だ。PC本体の売り場としては、有楽町店の売り場の方が大きいにもかかわらず、Mac売り場は新宿西口店の方が大きいということからも、その本気ぶりがわかるだろう。
「新宿西口店の店長を引き受けてから、ぜひAppleショップをやりたいと考えていた。それがいよいよ実現した。多くのお客様にAppleショップにきていただきたい」と、石川執行役員は語る。
Windows PC売り場と並行するレイアウト
ビックカメラ新宿西口店のAppleショップは、4階の上りエレベータを降りて、すぐの場所にある。エスカレータ正面がネットブックをはじめとするWindows PCの展示エリアであり、そこから少し視線を左に向けると、アップルのロゴマークが目に入ってくる。そして、売り場のレイアウトは、Windows PC売り場と並行するように縦に長い構成となっている。ここに、約20台のデスクトップおよびノートタイプのMacを展示。来店客が自由に触れるようにしている。
細かく見てみると、黒いカーペット部分がアップルとの連携によるAppleショップ。さらにその先に伸びる2つの展示台エリアはサードパーティーの製品などを取り揃え、デモストレーションを行うMac売り場となっている。Appleショップだけで110平方メートルの売り場面積。サードパーティー製品の売り場を加えて170平方メートルとなる。
「最初は、Windows PC売り場とは反対側の場所に配置するという構想もあったが、Windows PCと比較検討できるように、売り場を並べて配置した。これまでのAppleショップは、どの店舗でも壁面に設置するという形だったが、売り場の真ん中に配置したのは世界でも初めてのことになる」(石川執行役員)という。
そこだけ黒いカーペットが敷かれていることもあり、並行して設置されている左右のWindows PC売り場とプリンタ売り場を分断する売り場作りともなるが、「展示台の間を広くとって、行き来をしやすくしている。むしろ、行き来して、Windows PCと比較してもらえる売り場となった点はメリットになると考えている」とする。
来店客の流動性を考慮した売り場作りだといえる。取材中も、Appleショップの間を行き来する来店客の姿は数多く見られた。
ワークショップを開催できる専門カウンター
また、Appleショップ内には、ワークショップなどを開催できる専門カウンターを配置。ここで専門スタッフによるデモストレーションなどを行う。
6月13日、14日の2日間は、Appleショップのオープンを記念して、オープニングイベントを開催。最新のアップル製品を紹介するとともに、トートバック、ロゴ入り特製ボールペン、iTunesカードを先着300人に配布して、認知度向上に努めた。
「有楽町店での経験からも、ワークショップを展開するのと、しないのとでは、売れ行きがまったく違う。専門カウンターは、随時、ワークショップを開催し、効果的に活用していきたい」とする。
約60平方メートルのサードパーティー製品展示スペース
一方、サードパーティー製品などを展示している約60平方メートルのMac売り場のスペースでは、具体的な用途提案を行っているのが特徴だ。サードパーティーが発売する地デジチューナーとの組み合わせによる、Macでのテレビ視聴提案のほか、オーダーメイドカウンターの設置によるカスタマイズ提案、また、Windows環境での利用提案も行っている。
さらに書籍やソフトウェアなどの展示にも力を入れており、この一角だけで、Macに関する各種商品を取り揃えられる。そして、プリンタもAppleショップに隣接するプリンタ売り場で購入することができるようになっている。
最大の魅力、下取りカウンター
実は、石川執行役員は、新宿西口店におけるAppleショップの最大の魅力として、中古の買い取りコーナーが隣接していることを挙げる。Appleショップを一番奥まで進むと、そこにあるのはソフマップの「下取りカウンター」である。
「新宿西口店は、中古PCの買い取り台数では日本一の実績がある。とくに、Macは、中古としての価値が下がりにくいという傾向がある。新たなMacに買い換える際に、ソフマップの下取りコーナーを利用していただくことができるのは、新宿の競合他店舗にはないビックカメラならではの特徴だといえる」(石川執行役員)というのも頷ける。
これまで所有していたPCをソフマップで下取りしてもらい、専門カウンターで開催中の最新製品デモストレーション、ワークショップで、専門スタッフからMacの説明を聞ける。さらに、Windows PCとの比較検討も、すぐ横のWindows PC売り場に行けば済む。また、周辺機器やソフトも、サードパーティーの製品を検討することも可能であり、プリンタも隣接する売り場で購入できるというわけだ。実に効率的な売り場構成となっている。
課題をひとつあげるとすれば、有楽町店に設置されているアップルサポートカウンターサービスが、新宿西口店にはないことだ。同サービスは、アップル製品の即日修理が可能なサービス。アップル直営のアップルストアを除くと、日本で唯一となるものだ。「現時点では、具体的な設置プランがあるわけではないが、ぜひ新宿西口店でも検討をしていきたい」とする。
Macのすべてが揃い、満足していただける製品やサービスを提供する
今回のAppleショップの出店によって、石川執行役員は、「Mac売り場の格が上がったと考えている」と表現する。「ここにくれば、Macのすべてが揃い、満足していただける製品やサービスを、専門スタッフを通じて知ることができる」。
また、石川執行役員は、「新宿には、Macの潜在需要があると考えている」とも語る。「有楽町店の来店層は、ビジネスマンが中心となっていたが、新宿西口店では、ビジネスマンに加えて、ファミリー層やシニア層の来店も多い。こうした方々にMacの良さを知っていただくことができるだろう。さらに、遠い地域からも集客できる店舗であることから、そうした方々にもMacを知ってもらえる。Macの潜在需要を顕在化することができる売り場になると考えている」とする。
新たな需要層を開拓することで、日本一のMac売り場を目指すというのが、新宿西口店の新たな挑戦ということになりそうだ。