AirDrop、ハンドオフ、ユニバーサルクリップボード……MacとiPhoneのデータ連係、ワイヤレスに頼り切りでは? 今回は、LightningケーブルでMacと「ワイヤード接続」した場合にかぎり利用できる便利機能を紹介します。

MacとiPhoneの間でデータをやり取りする手段は、ワイヤレス(Wi-Fi/Bluetooth)とワイヤード(Lightningケーブル)の2種類ありますが、ただ物理的な構造が違うだけではありません。それぞれで利用できる機能/サービスは異なり、ワイヤレスだからできること、ワイヤードではできない/対応していないことがあるのです。

たとえば、ワイヤレスの場合、Wi-FiやEthernetで接続(同じTCP/IPサブネットで通信できる状態になる)しても、瞬時に検知してデータのやり取りを始めるのは困難ですが、ワイヤード(USB)であれば接続/取り外しを瞬時に検知するシステムAPIが整備されているうえ、どのような機器が接続されたかもあわせて判定できます。転送速度も480Mビット/秒(60メガバイト/秒)と高速です。

AirDropのように、BluetoothとWi-Fiを連携させることでiPhoneとのスムーズな通信を実現するワイヤレス技術も登場していますが、物理的に接続するだけで高速なデータ通信を実現できるUSB/Lightningというワイヤード技術は、まだまだ捨てたものではありません。ワイヤレスとワイヤードを"適材適所"で使い分ける価値はあります。

  • MacとiPhoneをUSB(Lightningケーブル)で接続すると、最大480Mビット/秒という速さでファイルを転送できます

選んだ写真だけ取り込み&削除

iPhoneで撮影した写真は、ワイヤレスでインターネットに接続し「iCloud写真(旧称:iCloudフォトライブラリ)」または「マイフォトストリーム」に転送するか、ワイヤードでパソコンのアプリ(Macの場合「写真」)に取り込むかを選択することになります。

しかし、いずれの方法も取り込み前に写真の詳細情報を確認することはできません。iPhoneの場合、フォーマットに高効率を選択していると「HEIC」、互換性優先を選択していると「JPEG」で撮影されますが、iCloud写真や写真アプリでは区別なしに取り込まれます。スクリーンショット(PNG)まで一緒くたにされてしまうため、写真を一括して取り込むときには余分なものまで含まれてしまいます。

そんなときには、macOSに付属の「イメージキャプチャ」を利用します。LightningケーブルでMacと接続した状態で起動すると、iPhoneのカメラロールの内容が撮影日の古い順に表示されます。その「種類」欄には、写真のフォーマット(HEICやJPEG)が表示されるので、取り込みたい写真だけ選択し「読み込み先」にフォルダを指定したうえで「読み込む」ボタンをクリックしましょう。

この「イメージキャプチャ」では、写真を取り込まずに削除することも可能です。対象の写真を選択し、画面下部の進入禁止ボタンをクリックすれば、iPhone上でそのまま削除できます。ワイヤレスでは、このような処理はできません。

  • 「写真」アプリでiPhoneから写真を取り込むときには、フォーマット種別やメタ情報は確認できません

  • 「イメージキャプチャ」を使えば、フォーマット種別の確認はもちろん、iPhoneに取り込まずに写真を削除することも可能です

iPhoneをUSBメモリ代わりに使う

iPhone単独でOSアップデートを実行できるようになり、iCloudへのバックアップも可能になったことから、かつてほどの重要性はなくなった「iTunes」ですが、まだまだ活用の余地はあります。ワイヤレスと比較するとデータ転送速度に関する優位性は残っていますから、サイズの大きいファイルの転送はワイヤードの独擅場といえます。

たとえば、100メガバイトを超える巨大ファイルがMacにあるとします。さらに、基調なiCloudストレージを消費したくない、サイズ的にUSBメモリを使うほどではないし、macOSのバージョンが古いためにAirDropを利用できない、けれどMacとiPhoneでファイル管理を完結させたいとしましょう。そんなときは、iTunesでのファイル転送に対応したiOSアプリに巨大ファイルを転送するのです。

このような使いかたに対応するアプリは、「Documents」などサードパーティー製品にいくつかあります。ファイル転送にはiTunesのiPhone管理画面(ファイル共有)を使うため、若干手間はかかりますが、MacとiPhoneで作業が完結するうえに転送は高速、アプリによってはiOS標準装備のアプリ「ファイル」でiCloudや他のクラウドサービスとの間でファイルをやり取りできる、というメリットもあります。実質的にiPhoneをUSBメモリ代わりに使えるわけですから、なかなか有用といえるでしょう。

  • iTunesの「ファイル共有」から、Finderを使いiOSアプリへファイルコピーできます

  • iOS付属の「ファイル」アプリに対応していれば、iPhoneからiCloudストレージへファイルkピーすることも可能です

iPhoneに高速充電

USB 3.0ポートを搭載したMacは、iPhoneやiPadを含むApple製USB対応機器、あるいはUSB規格準拠のサードパーティー製 USB対応機器に、最大5V/900mAの電力を供給します。現行のMacはUSB 3.0ポートを備えていますから、もれなく最大5V/900mAの電力で充電できます。

さらに、MacにはiOSデバイスが接続されているUSBポートのみ、バスパワー(電源供給能力)の上限を最大2.1Aまで引き上げるしくみが用意されています。iPhoneやiPadなどのiOSデバイスの接続が確認されると、自動的に適用され、付属のUSB-AC電源アダプタと同等もしくはそれ以上の速度で充電できるのです。

iPhoneにどれだけの電力が供給されているかは、「このMacについて」(システム情報アプリ)の左側で「USB」を選択し、USB装置ツリーで「iPhone」を選択すればわかります。iPhone Xで試したところ、1600mAという数値を確認できたため、急いでいるときにはMacにつないで充電したほうが有利、ということは確かです。

  • MacとiPhoneをLightningケーブルでつなげば、iPhoneに付属のUSB-ACアダプタ以上の速度で充電できます