iPhoneで大人気の完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」。接続方式はBluetoothですから、もちろんMacとも接続できます。しかも、他のBluetoothイヤホンとは"扱い"が違いますから、あんなことやこんなことも……今回は、MacとAirPodsの組み合わせによる便利ワザを紹介します。
iPhoneがあればペアリングは超かんたん
AirPodsとMacは、Bluetoothで通信を行います。細かくいうと、BluetoothにおけるHi-Fiオーディオの通信仕様(プロファイル)「A2DP」にくわえ、Bluetooth LE -- Bluetooth 4.x以降でサポートされるペアリング不要/低消費電力の通信仕様 -- の組み合わせでMacと通信することにより、他のBluetoothイヤホンでは実現できない特殊な使いかたを実現します。
そのひとつが「自動ペアリング」。AirPodsはペアリング情報をiCloudで共有するため、ペアリング済のiPhoneがある場合、同じApple IDでサインインしたMacのシステム環境設定「Bluetooth」パネルで「接続」ボタンをクリックするだけで利用可能になります。AirPodsは一般的なBluetoothイヤホンとしても動作するため、Android端末やWindowsパソコンとの組み合わせで使うことも可能ですが、そちらの場合充電ケース裏側のボタンを長押しする通常のペアリング操作が必要になります。
Macと「Siri」の相性を改善しよう
iPhoneで「ヘイ、シリ」と話しかけてSiriを起動できることは、もはや当たり前のレベルですが、Macではそうもいきません。MacBook ProやiMac Proなど一部の最新モデル(T2チップ搭載機)を除けば、ショートカットキー(Commandキーとスペースキーの長押し)を利用するか、Dockやステータスバー上のSiriアイコンをクリックするかのいずれかです。
しかし、AirPodsがあれば話は別です。AirPodsにはタッチセンサーが内蔵されており、ダブルタップに反応してさまざまな処理を行うことができます。システム環境設定「Bluetooth」パネルを開き、「オプション」ボタンをクリックすれば、再生/停止や曲送り/戻しなど左右のイヤーピースにどのような機能を持たせるか、自分の好みにカスタマイズできるのです。
カスタマイズの情報はMacとiPhoneで別々に持たせられますから、Macと接続しているときにはダブルタップでSiriが起動するよう設定してみましょう。起動が面倒だからMacではSiriを使う機会が少ない、という人でもSiriとの付き合いかたが変わるかもしれませんよ。
AirPodsは音楽を聴くだけのイヤホンではない!
AirPodsは音楽鑑賞用(Hi-Fi仕様)のイヤホンですが、用途はそればかりではありません。ほかの完全ワイヤレスにはない、AirPodsならではの機能を生かした活用法があるのです。
ほとんどの完全ワイヤレスイヤホンは、左右どちらかのユニットが「親機」としてスマートフォンなどの送信側からすべてのデータを受信し、もう一方のユニットを「子機」として片チャンネルぶんのオーディオ信号を送信します。左右ユニット間で通信する都合上、子機だけでは動作しません。
しかし、AirPodsをiPhoneやMacで利用する場合、Bluetoothの信号を送り出す段階で左右チャンネルの信号が分離されます。左右のユニット間で通信を行う必要がなく、親子関係もないため、どちらか一方だけを使うことも可能です。Siri呼び出し専用端末にするとか、「radiko.jp」のようなサイマルラジオ放送を聴くとか、片耳でじゅうぶん/両耳を塞ぎたくないシチュエーションでは便利に使えます。
なお、ステレオ音声を片耳で聞くと違和感が生じることもあります。その場合には、システム環境設定の「アクセシビリティ」パネルにあるオーディオ項目で「ステレオ・オーディオをモノラルとして再生」をチェックすると聞きやすくなりますよ。
充電ケースの正確なバッテリー残量を調べる
前述した"AirPodsの片耳利用"は、少々トリッキーな印象を受けるかもしれませんが、意外な場面でも役に立ちます。それは、充電ケースのバッテリー残量をチェックするときです。
ステータスバーのBluetoothアイコンをクリックしAirPodsにカーソルをあわせると、そのとき接続している左右ユニット(あるいは左右どちらか)のバッテリー残量を確認できますが、充電ケースに関する情報はありません。
実は、片耳/両耳のユニットが格納されているときでないと、充電ケースのバッテリー残量は表示されないのです。本来は両耳にユニットを装着する前、バッテリーケースの蓋を開けてMacと接続されたタイミングで確認すべき情報ですが、充電ケースのバッテリー残量が気になった場合は片ほうのユニットだけ戻せばOK、ということです。AirPodsの片耳利用、知っておいて損はないですよ。