最近にわかに脚光を浴びている「QRコード」。中国ではスマートフォンとともに急速に普及し、屋台のような店舗でも小額決済の手段として活用されているそうです。iOS 11では「カメラ」アプリが読み取り機能を搭載するなど、Appleもこの動きを見逃してはいません。けれどMacは……今回は、MacでQRコードを活用する方法を考えてみます。

QRコードの利用に必要なもの

小さな四角がモザイク状に寄められたかのような「QRコード」は、縦横の二方向に情報を持たせることができるバーコードの一種です。帯状のバーコードより情報密度が高く、数字以外の文字情報も格納できるため、小さな印字領域で効率よく情報を伝達できます。スマートフォンでアドレス交換に使われるほか、小額決済にも活用されているのは、この情報量にあるといえるでしょう。

QRコードは、一定のルールに基づき情報を符合化(エンコード)することにより生成され、画像としてそれを認識したソフトウェアが復号化(デコード)することで、元の情報を復元します。macOS/iOSにQRコードのエンコード機能は装備されていませんが、iOS 11では「カメラ」アプリにQRコードのデコード機能が装備されたため、アプリの追加なしにQRコードを読み取ることができます。

言い換えれば、MacにもQRコードのエンコーダがあれば、任意のQRコードを作成できます。QRコードのデコーダを用意すれば、QRコードを読み取ることも可能です。作成は独立したアプリをMac App Storeから入手してもいいですし、エンコードサービスを備えたQRコード生成WEBサイトを利用する手もあります。読み取りについても同様に、Macに標準装備されているフロントカメラ(iSightカメラ)を利用したデコーダアプリを利用できます。エンコーダアプリ/デコーダアプリとも、無償公開されているものが多数あります。

MacとiPhoneの両方を利用しているユーザは、それぞれに役割分担させるといいでしょう。Macはキー入力や文字列のコピー&ペーストが容易ですから、QRコードの作成に適しています。iPhoneにはQRコードデコーダが標準装備されていることもあり、読み取り役がいいでしょう。読み取ったデータは「連絡先」に取り込んだり「メモ」に貼り付けたりすれば、iCloud経由でMacと共有できますから、どちらで読み取ったとしても結果は大きく変わりません。

QRコードは特定のプラットフォームに依存しないため、WindowsやAndroidとのデータのやり取りにも使えます。ただし、Wi-Fiアクセスポイントの情報などOSによって扱いが異なる項目もあるため、ZXingというライブラリを使用したアプリをお勧めします。なお、Mac App Storeで公開されている「QREncoder」というアプリで作成したWi-Fi用とアドレス帳用QRコードは、ZXingを利用しているAndroid用の「QRコードスキャナー」というアプリで正しく読み取れるのを確認しています。

  • iOS 11に付属の「カメラ」アプリは、起動した状態でQRコードにかざせば瞬時にその内容を読み取れます

  • Mac App Storeで無償配布されている「QREncoder」を使うと、QRコードをかんたんに作成できます

  • アプリを選べば、Macで作成したQRコードをAndroid端末でも読み込めます(画面は「QRコードスキャナー」)

QRコードはこんな使いかたもできる!

自由にQRコードを作成できるようになれば、Mac/iPhoneをもっと便利に使えるようになるだけでなく、自分の周囲のスマートフォンユーザにもそのメリットを与えることができます。QRコードを活用すれば、文字入力にまつわるイライラが軽減されるのは確実ですよ!

来客時のWi-Fi接続に備える

友人が家に泊まりにくることになったけれど、キャリアの電波が届きにくくてWi-Fi接続必須だから準備が面倒……という場合には、SSIDとパスワードをQRコード化してしまいましょう。大文字/小文字の違いや口頭で伝えるのが面倒な記号(アンダーバーなど)が含まれる場合でも、QRコードを読み取ってもらうだけですべて完了です。

前述したQREncoderアプリを利用する場合は、Contentメニューで「Wifi network」を選び、右横の「Edit」ボタンをクリックしてからSSIDやパスワード、セキュリティ形式を入力すればOKです。こうして作成したQRコードを画像に書き出しておき、アプリで読み取ってもらいましょう。

  • カメラアプリで読み取ればWi-Fi接続を自動化できるQRコードを作成できます

イベントの予定を配布する

スケジュール管理はカレンダーアプリで行うという人は、スマートフォンの時代になり急増しています。しかし、メールに書かれた予定をカレンダーアプリに登録するのは面倒なもの、macOS/iOSのメールアプリに用意されたイベント検出機能(受信したメールを分析しイベント情報を見つける機能)も完璧ではありませんから、結局手作業で登録することも珍しくありません。

そんなときには、QRコードを利用しましょう。残念ながら開始/終了の時刻は指定できませんが、イベント名や場所など最低限必要な情報はQRコードとして配布できます。画像ですから、LINEなどSNSアプリで配布してもいいでしょう。

  • QRコードをメールやSNSメッセージに添付すれば、友人・知人とのイベント情報共有も確実です

Mac版LINEにログインする

ふだんLINEをiPhoneで利用していると、Mac版LINEアプリへのログインはパスワード入力などで面倒に感じるものです。それでも、サイズの大きいファイルが送られてきたときなど直接Macで受信したほうが好都合なこともありますから、Mac版アプリを使わないわけにもいきません。

そんなときは、ログイン画面にある「QRコードログイン」を選択しましょう。表示されたQRコードをiPhoneのカメラに映せばOK、iPhoneのLINEで許可すればMac版LINEへのログインが完了します。パスワードを思い出せないときの回避策にも使えますから、いちど試してみては?

  • Mac版LINEのログインにもQRコードを利用できます