ビギナーもパワーユーザも、ノート型Macを使うのならば「バッテリーのもち」はつねについて回る問題です。ちょっとした心掛けや設定変更で連続稼働時間は大きく変わりますから、この際にチェックしておきましょう。

省エネ設定のチェックポイント

ノート型Macを使ううえでつねに留意しなければならないのが「省エネ」です。電源ケーブルを持ち歩くならともかく、バッテリーが切れてしまえばただのお荷物、なんの役にも立ちません。たとえ1分でも長く使えるよう、ムダを省く姿勢が必要です。

とはいえ、省エネを徹底し過ぎると使い勝手が低下します。結局のところはバッテリーのもちと便利さのどちらを取るかという選択の積み重ねですが、ポイントを押さえて設定すればムダがありません。アプリの使いかたによってもバッテリーの減りかたが変わってくるので、Mac流の省エネ操作術も習得しておくべきです。

最初の関門は、システム環境設定の「省エネルギー」パネルです。ただし、ディスプレイを切にするまでの時間を2~3分に設定しておく以外は、あまり設定を変えようがありません。「ディスプレイ」パネルで「輝度を自動調節」をチェックしておくことも重要ですが、いざとなればファンクションキーで調整できるので、慣れたユーザにとってはありがたみがありません。では、どの部分を見直せばいいのでしょう?

  • システム環境設定の「省エネルギー」パネルで基本的な省エネ設定を行います

  • 「ディスプレイ」パネルで「輝度を自動調節」がチェックされていることを確認しておきます

さらなる省エネを目指すために

当分使わないアプリは終了させる

省エネ対策でかなり大きな効果をあげるのが、使わないアプリを終了させることです。Macでは複数のアプリを起動しておき、必要に応じてアプリを切り替える(タスクの切り替え)ことが基本的な操作スタイルとなっていますが、しばらく使わないと判断したアプリはメニューで「終了」を選び(ショートカットキーはCommand-Q)、完全に終了させるべきです。

その理由は、少しでもCPUの負荷を減らすためです。OS X Mavericks以降のOS Xには、使用中のアプリが他のアプリ(ウインドウ)の陰に隠れたとき処理の実行頻度を下げて消エネを図る「App Nap」という機能がありますが、Safariやメールなど標準装備のアプリの多くはApp Napを無効化できません。App Napが効かないから手動で終了させる、ということです。

特に、Safariは電力を消費します。Safariはタブごとにプロセス(プログラムの実行単位)が独立していますから、複数のタブを開いているときはなおさらです。Safariにはタブの状態を維持する機能(次回起動したとき自動的に開く「再開機能」)がありますから、しばらく使わないときは終了させましょう。

  • メニューバーのバッテリーアイコンをクリックすると、電力消費量の多いアプリを確認できます

余分な周辺機器は接続しない

忘れられがちですが、USBポートなどに接続した周辺機器は電力を消費しています。たとえば、USBメモリは主要パーツとしてフラッシュメモリを利用しますが、通電しなければ読み書きできませんから、つねに電流がある状態です。USBメモリにかぎらず、SDカードにしても同じことがいえます。

ということは、必要なとき以外周辺機器は接続しない、ファイルを読み書きする必要が生じたときに接続する、という使いかたがベターです。

  • USBメモリといえど、USBポートから給電を受けて電力を消費し続けています

キーボードバックライトをオフにする

意外に電力を消費するのが、キーボード下部を照らす「キーボードバックライト」です。照明にはLEDを利用しているため、電力消費量はたかが知れていますが、キートップが定かでないほど暗い場所でMacを使う場面はそれほどありません。にもかかわらず、照度センサーの働きで自動点灯されることがしばしばあるため、バッテリーをムダ遣いする原因になります。

この問題を解決するには、システム環境設定の「キーボード」ペインで「キーボード」タブを開き、「環境光が暗い場合キーボードの輝度を調整」チェックボックスをオフにしたうえで、ファンクションキーのF5を連打してキーボードバックライトを消します。

  • 「環境光が暗い場合キーボードの輝度を調整」チェックボックスをオフにしたうえで、ファンクションキーのF5を連打してキーボードバックライトを消します

ディスプレイの透過処理をオフにする

じわじわと電力消費量を増やす処理のひとつに「ディスプレイの透過処理」が挙げられます。メニューバーなどデスクトップ上に重なり合う要素がある場合、上位レイヤーに透過処理をして下位レイヤーの存在を浮かび上がらせるという処理ですが、これがGPU/CPUに結構な負荷をかけています。

この機能を無効化すれば、多少なりとも省エネ効果を期待できます。システム環境設定の「アクセシビリティ」パネルを開き、ディスプレイタブにある「透明度を下げる」にチェックを入れましょう。Dockやメニューバーなど、デスクトップ上の透過処理されている部分の雰囲気が一変するはずです。

  • 透過処理をオフにすると、Dockエリアの雰囲気がかなり変わりますが、CPU/GPUの負荷が下がるため省エネ効果を期待できます

位置情報サービスをオフにする

位置情報サービスを有効にしていると、現在位置の送信などの処理が発生するために電力消費量が増えます。その役割はiPhoneが担うからMacでは特に必要なし、と考えることもできますから、Macではこれを無効化するのもひとつの考えかたといえます。操作はかんたん、システム環境設定の「セキュリティとプライバシー」パネルを開き、プライバシータブにある「位置情報サービスを有効にする」のチェックを外しましょう。

ただし、位置情報サービスをオフにすると、iPhoneや他のパソコンからMacの現在地を調べる「Macを探す」機能が使えなくなるため、Macを紛失したとき対処のしようがありません。この点をじゅうぶんに認識したうえでオフにしましょう。

  • 位置情報サービスをオフにすると省エネ効果がありますが、Macを紛失したときに探せなくなるので注意しましょう