コンピュータに格納され、システム領域やユーザ領域として利用される「内蔵ストレージ」。主役はハードディスクからSSDに変わりましたが、ときどき"健康診断"が必要なことは同じです。今回は、Macの内蔵ストレージのヘルスチェック術を紹介します。
内蔵ストレージの寿命
ハードディスク(HDD)にせよソリッド・ステート・ドライブ(SSD)にせよ、内蔵ストレージには"寿命"があります。HDD内部では「プラッタ」と呼ばれる磁気ディスクが高速回転し、それを「ヘッダ」により読み書きします。可動部品が多く含まれるほか、パソコン内部という熱がこもりがちな環境下で利用されるため、寿命は比較的短めです。個体差や稼働時間にもよりますが、短い場合で数カ月、平均的には4〜5年ほどとされています。
半導体(NAND型フラッシュメモリ)を読み書きするSSDにも、寿命はあります。HDDと異なり可動部がないため、物理的に故障/破損するケースは少ないものの、フラッシュメモリには書き換え回数に上限があるのです。フラッシュメモリの種類にもよりますが、初代MacBook Air以降のノート型Macに採用されることが多いMLC型(書き換え上限1万回)の場合、数十ギガバイトのデータを毎日書き込んでも5年以上はもつとされています。
このように、いずれ寿命を迎えるMacの内蔵ストレージですが、まめにバックアップを作成していれば「突然死」によるファイル消失は回避できます。そのためにある機能が、外付けストレージやNASにバックアップを自動作成する「タイムマシーン」ということになります。
しかし、内蔵ストレージの健康状態を把握しているかいないかによって、バックアップを作成する頻度は変わってきます。macOSに標準装備の「ディスクユーティリティ」にはそのためのチェック機能が含まれており、内蔵/外付けを問わずMacに接続しているストレージの状態をかんたんに確認することができます。
使いかたはかんたん、Finderで「アプリケーション」→「ユーティリティ」の順にフォルダを開くか、ドックからLaunchpadを起動して「その他」を開き、ディスクユーティリティを起動しましょう。健康状態を確認したいストレージを選択し、ツールバーにある「First Aid」をクリック、あとは画面の指示に従いボタンをクリックすればOKです。エラーや警告が表示されなければ、そのストレージの健康状態は良好で"突然死"はとりあえず心配ないと推定できます。
内蔵ストレージの健康状態を詳しく知るには
ディスクユーティリティの「First Aid」を使えば内蔵ストレージの健康状態を確認できますが、残念ながら「健康状態に問題があるかないか」以外の情報を手に入れることはできません。より具体的な情報を入手するには他のツールを使うか、サードパーティー製アプリを使うしかありません。ここでは、そんな「First Aid以外のツール」を紹介します。
macOSに付属の「システム情報」
現在流通しているHDD/SSDの多くは、「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring, Analysis And Reporting Technology)と呼ばれる自己診断機能に対応しています。S.M.A.R.T.に対応したストレージであれば、電源を投入した回数や延べ使用時間、読み書きのエラー率といった情報をチェックできますから、より正確に"寿命"を推し量ることができます。
ディスクユーティリティの情報ウインドウでは、S.M.A.R.T.に関する項目は「非対応」と表示されてしまいますが、ユーティリティフォルダにある「システム情報」(「このMacについて」のシステムレポート経由でも起動できます)でSATA/SATA Expressを選択し、内蔵ストレージの項目を表示すると「S.M.A.R.T.状況」欄で検証済かどうかはチェックできます。
サードパーティー製アプリを使う
S.M.A.R.T.に対応したストレージ分析アプリを使うと、内蔵ストレージの健康状態をより詳細に知ることができます。多くは有償ですが、"残り寿命"に気付かず大切なデータを消失してしまうことを考えれば、安い出費でしょう。
なかでも「DriveDx」というアプリは、ストレージの健康状態を細部にわたり確認できます。問題が生じて使用されなくなったブロックの数(Retired Block)など、ストレージの寿命に関わる項目の具体的な数値を知ることができるので、ただ「問題があるかないか」だけを知らされるより健康状態のイメージをつかみやすくなります。定期的に実行して数値が悪化している項目の有無をチェックするだけでも、"突然死"に伴うファイル消失リスクは減るはずです。