ふと思い立ったときに利用するアプリは何ですか? そりゃあ「メモ」だよ、という声が聞こえてきそうですが、あのアプリを忘れているような……今回は、macOSに標準装備されている「テキストエディット」の便利ワザを紹介します。
テキストエディットはこんなとき便利
一般的にテキストエディタとは、書体設定/修飾を必要としないプレインテキストの入力・編集を目的とするアプリを指します。テキストエディットは、その名が示すとおりテキストエディタであり、テキストファイルを作成/表示することが目的です。macOS標準装備のアプリですから、Finderで拡張子が「*.txt」のファイルをダブルクリックすると起動し、その内容を閲覧/編集できます。Windowsに標準装備の「メモ帳」とシステム上の位置付けはよく似ています。
しかし、ファイルをダブルクリックするだけではテキストエディットの実力を生かせません。プログラマーに愛用されている「Emacs」や「vi」(Terminalからの起動となりますがmacOSに標準装備されています)ほど多機能ではないものの、機能がシンプルだからこそ"いざというとき"の場面で役立つ安心感があります。
文字符合化(エンコード)形式の異なるテキストファイルを他のエンコード形式に変換できることは、テキストエディットが役立つ場面のひとつです。たとえば、MacやWindowsでは伝統的に「シフトJIS(S-JIS)」というエンコード形式が使われますが、近年では「UTF-8」を使う場面が増えていますし、macOSのシステム内部にもUTF-8で保存されたテキストファイルが多数あります。
テキストエディットを使えば、シフトJISをUTF-8に変換することも、反対にUTF-8をシフトJISに変換することもかんたんです。ファイルを保存するときには、ダイアログの「標準テキストのエンコーディング」欄で任意のエンコード形式を選択しましょう。「エンコーディングリストをカスタマイズ」を選択すると、初期設定では候補に表示されていない「日本語(EUC)」や「日本語(ISO-2022-JP)も指定できます。
文章入力・閲覧時に活用できる便利ワザも多数用意されています。たとえば、文字が小さくて読みづらいというときには、対象のウインドウ上でトラックパッドをピンチアウト(指2本を広げる動作)してみましょう。ピンチアウトの大きさに従い、全体が拡大表示されます。文字の書式を変更するわけではありませんから、プレインテキストはプレインテキストのまま(修飾なし)で保存できます。「Command」-「0」を押せば、一瞬で元の大きさに戻せます。
ただし、テキストエディットには微妙な"クセ"もいくつかあります。「スマートコピー/ペースト」はそのひとつで、文章をコピー&ペーストするときに適当な間隔(行間)を自動で設けることがあります。テキストエディットから他のアプリへコピー&ペーストすると謎の行間が生じて困るという場合は、環境設定パネルで「スマートコピー/ペースト」チェックボックスを無効化しておきましょう。
テキストエディットをもっと便利に
- あとから全角/半角に変換する
テキストエディットは、「サービス」と呼ばれるアプリケーション間通信に対応しています。文章を範囲指定した状態で、メニューバーから「テキストエディット」→「サービス」を選択してみましょう。「Finderに表示」や「辞書で調べる」などのコマンドが表示されるはずです。
なかでも利用価値が高いのが「テキストを全角(半角)に変換」です。範囲指定した文字列に含まれる全角カナを半角カナに変換したり、英子文字を英大文字に変換したり、入力済の文字列を一瞬で全角/半角変換することが可能です。
- あえて自動保存を停止する
現在のmacOSは「オートセーブ」という機能が初期設定で有効化されているため、標準装備のアプリで開いた書類の多くは変更をくわえるとただちに自動保存されます。テキストエディットもその例に漏れず、なにか文字を入力/削除すると、変更箇所は否応なくファイルに反映されます。
この動作が気に入らない場合には、システム環境設定「一般」パネルの「書類を閉じるときに変更内容を保持するかどうかを確認」をチェックしておくと、書類を閉じるとき/保存しないままアプリを終了するときに必ず確認を求めるようになります。
- 先頭が「.」で始まるテキストファイルを開く
Finderの初期設定では非表示にされているため気付きにくいものの、フォルダ上には"見えない"テキストファイルが多数存在します。先頭が「.(ピリオド)」で始まるファイル(通称ドットファイル)がそれで、UNIXコマンドの設定ファイルなどに利用例が多数あります。
UNIXコマンドの設定ファイルのほとんどはプレインテキストですから、本来テキストエディットでも開けるはずですが、ドットファイルにされていると「開く」ダイアログにも表示されないため、指定のしようがありません。
そんな場合は、「開く」ダイアログ上で「Command」-「SHIFT」-「.」を押してみましょう。ドットファイルが表示されるようになり、テキストエディットで開くことが可能になります。「開く」ダイアログを閉じるか、もう一度「Command」-「SHIFT」-「.」を押せばドットファイルは非表示扱いに戻ります。