画像ファイルをダブルクリックすると起動する「プレビュー」は、Macユーザにとって馴染み深い存在です。しかし、ただ"プレビュー"するだけで閉じていませんか? シンプルながら練り込まれた編集機能を利用すれば、背景を切り取った写真もかんたんに作成できますよ。
「インスタントアルファ」の効果とは
プレビューを利用した写真加工でぜひ覚えておきたい機能が「インスタントアルファ」です。画像に含まれる一定の色範囲を指定することで、被写体の背景やその他オブジェクトを消去/カットする機能ですが、操作は画面の一部をドラッグするだけ。写真加工の知識はほとんど必要ありません。
たとえば、iPhoneを撮影した写真があるとします。背景に微妙な色が付いている場合、そのままではワープロ文書に使えないため(純白でないとワープロ本文の背景色との違いがわかってしまう)、iPhoneを切り抜いた画像がほしい……そんなとき、被写体であるiPhoneを切り抜くのではなく、iPhoneの背景部分を消去して透明化するのです。
プレビューのインスタントアルファ機能は、その作業を助けてくれるツールです。背景色部分を適当にドラッグすると、その範囲の色が選択された状態になるため、[delete]キーを押して消去します。JPEGを対象にしている場合、PNGに変換するよう促してくれるので(以降はPNG画像での作業になります)、アルファチャンネルの追加を意識することがありません。
背景を透明化してしまえば、ワープロ文書に貼り付けて被写体の周囲に文字を回り込ませることも可能になります。画像編集アプリで使えば、風景写真に重ね合わせても違和感がありません。複雑な輪郭の被写体を正確に切り取る作業に比べれば、背景を消去するほうがかんたんです。背景は透明ですから、複数の被写体を重ね合わせる合成写真の作成もあっという間です。
インスタントアルファの使いこなしテクニック
消したい背景の一部をドラッグする操作を繰り返すことが「インスタントアルファ」の基本ですが、ちょっとしたワザを身につけておくと、画像のクオリティがアップします。
- 取り残しは「投げ縄ツール」で消去
ドラッグするだけで消去/カットする範囲は自動選択されますが、色のグラデーションがわずかな部分、被写体と背景の色の違いが微妙な部分については、残念ながら若干の"取り残し"が発生します。その場合、手動で範囲選択したうえで削除しなければなりません。
「投げ縄で選択」はそんなとき便利に使えるツールです。使いかたはかんたん、描き始めと終わりがつながるように注意しながら、消したい範囲を囲む形にドラッグして[delete]キーを押せばOKです。この作業を何度か繰り返すことで、"取り残し"をきれいに消すことができます。
範囲指定が難しい部分は、あらかじめ描き始めと終わりがつながる図形を描いておき、それをドラッグするときれいに消すことができます。直線部分は「長方形で選択」のほうが思いどおりに消せるかもしれません。
- マスク画像も作成できる
インスタントアルファツールを使えば、WEBページで不要な部分を隠すときなどに使うマスク画像も、わずかな作業で作成できます。
ポイントは、インスタントアルファで選択された側とは反対の領域を選択する(選択領域を反転する)ことです。消去した背景部分をインスタントアルファで選択しているとき、[SHIFT]+[Command]+[I]を押すと、残した部分を選択できますから、その状態でマークアップツールバーの「カラーを調整」ボタンをクリックしましょう。
次に、ヒストグラム下にあるつまみ(左側)を右端へスライドさせ、画像から明るさと色を削除します。コントラストを左端へスライドさせれば、より確実に画像のハイライトを消せます。