android 4.4ことKit Katは、メジャーバージョンアップにあたり、GUIなどの目に見える部分だけでなく、内部的にも改良が行われています。今回は、主に目に見える部分を中心に解説していくことにします。
なお前回紹介したNexus 5ですが、国内で販売されているNexus 5でも、どうもドコモの3G(FOMA)契約のSIMは利用できないようです。LTE契約であれば、MVNOのSIMでもOKなのですが、3GのみのFOMAのSIMを入れてもドコモのネットワークに接続しません。筆者の手もとには、ドコモショップで正式に交換したFOMAのマイクロSIMカードがあったので試してみたのですが、ネットワークに登録できないようです。この問題が起きているのは、日本だけではないようなので、ドコモのネットワークがどうか、という問題ではなく、Nexus 5に起因する問題ではあるようです。
さて、Kit Katを使って、最初に気がつくのは、スタート画面の改良でしょう。ここは、Launcherというアプリに相当するのですが、これが改良されて従来と動作や構成が違うものになりました。
従来、ホームボタンを上方向にドラッグして起動していたGoogle Nowがスタート画面の左端に配置され、画面のスライドだけで表示できるようになりました。それ以外の画面は初期状態で2つあり、右端の画面でさらに右側にアイコンを動かそうとしたり、アイコンの自動配置で配置場所がなくなった場合などに新たな画面が追加されます。また、ホームボタンを押した場合にもどる「ホームポジション」は、Google Nowの隣の左から2番目の画面になります。以前は、中央のページがホームポジションで、左右に動かして配置していくような感じでしたが、Kit Katでは、左側から順に配置していくような感じになります。パクったとはいいませんが、iOSのホーム画面の配置に似てきた感じです。もっとも、iOSのほうも、androidのウィジェット的な機能をアイコンに持たせたりしているため、お互い様という感じはしますが……。
これまで、デフォルト設定のまま、アプリをインストールしたときにそのままホーム画面にアプリショートカットを並べていたような人には、大きな影響はなさそうですが、配置を工夫して使い方を考えていた人には、ちょっと影響がありそうです。これまでは、ホーム画面のホームポジションの次にアクセスが容易なページはその左右のページでした。なぜなら、1画面の移動でアクセスできるからです。これからは、右側のページのみになります(左側は常にGoogle Now)。このため、左右のページで配置するショートカットの種類を分けるといった使い方ができなくなります。
筆者は、ホームポジションはウィジェットを中心に通知や設定変更に関係するものを配置して、右には、SNSやメールなどのコミュニケーション系を、左には、メディア再生関係のアイコンを配置していたのですが、こうした配置がもうできなくなってしまいました。
また、ホーム画面では、画面上部の通知領域と下部のナビゲーション領域の背景が透明になり、ホーム画面の壁紙が見えるようになりました。これは、android 4.4からは、対応すれば、サードパーティのアプリでも、このように全画面を使ったアプリを開発可能になります。
こうした全画面を使うアプリを「没入型」(Immersive)と呼び、このときに利用できるページ送りなどに利用できるアニメーション機能なども用意されます。ただし、利用するには、前述のように、アプリケーション自体が、こうした機能に対応する必要があるため、サードパーティアプリが登場するのはこれらかになると思われます。標準搭載のアプリでは、Playブックスなどがこの没入型アプリになっています。4.3までのPlayブックスは、上部の通知領域は消すことができましたが、下部のナビゲーションボタンのところは、黒い背景のまま残り、ボタンが一時的に暗いグレーの点として表示されていました。しかし、4.4に付属のPlayブックスでは、ナビゲーションボタンの部分もページ表示に使われています。
Nexus 5とNexus 4のPlayブックス。Kit Katを搭載したNexus 5では、画面下のナビゲーションボタン領域もアプリの表示で利用できるが、Jelly BeansのNexus 4では、常に黒く残る |
Google Nowは、ホーム画面と一体になって、アクセスしやすくなっただけでなく、言語が英語の場合には、ホーム画面で「OK Google」と言うだけで自動的に音声入力待ちにすることが可能です。残念ながら、言語設定(「設定」→「言語」)が日本語の場合には、この機能は動作しません。また、同じく英語の場合には、4.3と同じで、Google Nowからリマインダーが利用できます。ただし、このリマインダー機能は、Google Keepからも設定が可能で、リマインダー機能はどちらで設定しても1つのリストしとて管理されるようです。なので、日本語の場合Google Keepを使えば、Google Nowを使わなくてもリマインダーが設定できます。
新規に標準となったアプリには、「写真」と「Quickoffice」があります。また、アプリではありませんが、初期段階のアップデートで、HPプリンティングプラグインがインストールされます。
「写真」は、Google+の機能だったインスタントアップロードやGoogle+側の写真アルバム機能とローカルの写真画像(/sdcard/DCIMなどの下の内蔵カメラで撮影した画像)を管理するものです。どうも独立したアプリではなく、Google+アプリの「写真」機能を直接起動するショートカットのようです。アイコンのアプリ情報を見るとGoogle+のものが表示され、「写真」を起動して、アプリアイコンをタップするとGoogle+と同じメニューが表示されます。ただし、「最近使ったアプリ」のリストでは、「写真」と「Google+」は別のものとして区別されているようです。
主な使い方は、インスタントアップロードの状態管理です。アプリには、「カメラ」と「ハイライト」の2つのタブがあり、前者は、ローカルの画像、後者はGoogle+にアップロードされた画像の表示に利用できます。また、ローカル画像に関しては、サムネイル表示の右下にインスタントアップロードが終了したのか、転送中なのかを表すことができる雲形のアイコンが表示されます。これまで、インスタントアップロードが行われたのかどうかは、Google+側で写真が表示されるかどうかを調べるしか方法がありませんでした。アプリとしては、ギャラリーとの使い分けが微妙な感じなので、将来的には統合してしまうのかもしれません。
Quickofficeは、2010年にGoogleが同名の企業から買収した製品です。これは、MSオフィス互換の機能を持ち、ワープロ、表計算、プレゼンテーション文書の作成と編集が可能なアプリです。Googleの製品であるため、Googleドライブ上のファイルを直接アクセスできます。また、ゼロから作成できるという点も単なるオフィス文書ビューアーとは違っていて便利な点です。
Quickofficeは、ワープロ、表計算、プレゼンテーション文書作成、編集アプリ。オフィスファイルの編集なども可能 |
Quickofficeでは、Googleドライブやローカル、ダウンロードしたファイルなどを対象にできる |
このほか既存のアプリにも改良が加えられています。「メール」は、Gmailアプリと同じようなユーザーインタフェースとなったため、以前よりは使いやすくなった感じがあります。
そのほか、電話アプリの着信表示などが改良され、電話帳に登録していなくてもGoogle検索により、誰からの番号なのかを通知する機能などが追加されました。ビジネス用では有効な機能ですが、個人の番号も対象にすることができるようです。Googleアカウントに登録した電話番号に対して、公開、非公開を設定できるようになるとのことです。説明には「Comming Soon」なっていたので、現時点では、利用はできないようです。なお、Googleアカウントを英語表記にしていないと、電話番号の項目がアカウントページに表示されないようです。
また、電話アプリからの検索機能でも電話帳だけでなく、近隣のビジネスやサービスの番号を検索することも可能になったようです。たとえば、「ヤマダ」で音声検索すると、電話帳に「山田」さんがいれば、もちろん表示されますが、近所の「ヤマダ電気」とか「山田うどん」なども検索候補として表示されるようです。
そのほかにもいろいろとあるようですが、とりあえず、今回はここまでとしたいと思います。次回は、Kit Katの内部的な変更について解説する予定です。
本稿は、2013年11月15日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。