Google Nexus 5は、日本国内でも、米国での発表とほぼ同時に販売が開始されました。筆者はちょうど米国取材中だったのですが、帰国直前だったので、日本に戻って買うことにしました。とりあえず、今回は、全体的な印象などを中心にレポートします。
名前がNexus 5となったのですが、Nexus 4と並べてみても縦横ともに数ミリ程度しか差がありません。重さも9グラムしか違わず、手にもったときに重さの違いを感じることはありません。ただ、Nexus 4は背面がガラスで手触りがツルツルしていたのですが、Nexus 5は、しっとりした感触のあるプラスティックに変わっています。デザインなどを含め、Nexus 7(2013)とよく似ています。Nexus 4は、背面がツルツルしていたので、持って歩くときに、手が滑って落としそうだという漠然とした不安のようなものがあったのですが、Nexus 5は、背面に適度な摩擦を感じるため、そういう不安を感じることはありませんでした。
横幅は1ミリ程度しか違わないため、並べても大きさの違いを感じませんが、縦方向が4ミリほど長くなっています。Nexus 5の液晶は、1,920×1,080のいわゆるフルHD解像度で縦横比が16対9になっているのに対して、Nexus 4は、解像度が1,280×768と、俗に言うワイド系で縦横比が8対5(つまり16対10)になっています。
液晶の短辺の長さはNexus 4もNexus 5もほとんど同じで、縦方向の長さのみが違っていて、その結果、匡体の差ができているようです。
そういうわけなので、Nexus 4と比較してパッと見でわかるほど画面が大きくなったわけではないんですが、使って見ると、画面が縦横に長くなった感じがします。これは、android 4.4から、画面上の通知領域と下のホームボタンなどがある領域にも背景画像が表示されるようになったため、上下にあった黒い部分がなくなり、そのために画面が上下に伸びたような印象があるのだと思われます。
Nexus 5(左)とNexus 4(右)。正面からみると縦方向が若干長くなったことはかわる。なお、液晶も縦長に見えるが、android 4.4の改良で通知領域とボタンバーにも背景が付くようになったから |
背面部分のデザインは、8月に出た2013年版Nexus 7とよく似ています。中央に横書きの「Nexus」ロゴ、左上のカメラ、中央部下にメーカーロゴとレイアウトがほぼ一緒です。また、素材もつや消し黒で、しっとりした感じのプラスティックという部分も同じで、Nexusロゴはつや有りで地の面から浮き彫りのように軽く浮き出しているところも同じです。Nexus 7はASUS、Nexus 5はLGが製造しているため、これは、Nexusシリーズとしての共通デザインなのでしょう。
ただ、Nexus 7と似ているのは背面部分のみで、側面部分はNexus 7とは違います。Nexus 5は、側面は背面から垂直に近い角度で立ち上がっているのですが、液晶側がわずかにすぼまっていて、背面から正面にかけてわずかに斜めになっています。このため側面に指をかけると、手のひら側が少し高くなっているため、しっかりと持っている感じがあります。
また左右は直線ですが、上下はかるいカーブになっています。スリープ/ロックキーやボリュームキーの配置はNexus 4と同じで正面からみて右側にスリープ/ロックキー、左側にボリュームキーがあります。また、本体底部には、スピーカーとマイクロUSBコネクタがあります。Nexus 4は、スピーカーが背面でしたが、下側面に移動しています。これもNexusシリーズの共通デザインによるものと思われます。ただし、Nexus 5のスピーカーは底部にしかなくモノラルです。音が良くなったかどうかは正直なところわかりません。あまり差があるようには思えません。
SIMカードスロットが本体右側面、スリープ/ロックキーのすぐ下にあります。小さな穴にピンを差し込んでトレーを引き出す方式ですが、かなり穴が小さくなっていて、どんなピンでもいいというわけではなさそうです。クリップの針金よりは細く、シャープペンシルの芯に近い感じの大きさです。
Nexus 4と比べて、Nexus 5のCPUクロックはかなり高くなったため、ざっと触った感じ、体感的にも速度差を感じます(表01)。たとえば、Nexus 4ではすこし待たされていたWebページがすぐに開いたり、アプリが大きなデータファイルを読み込む時間などがかなり違っています。ベンチマークなどでは、それほど上位というわけではなく、Nexus 5よりもクロックが低いマシンよりも低い値を出しているようですが、手持ちの実機で比べてみると、Webページやアプリケーションの動作などでは、やはりクロック周波数が高いNexus 5のほうが高速なようです。メーカーによってはベンチマーク対策しているとのウワサもあり、ベンチマークの結果自体はそれほど当てにならないのかもしれません。
なお、Nexus 5に使われているSnapdragon 800のプロセッサコアはアーキテクチャがKraite 400になっていて、Nexus 4のSnapdragon S4のKraiteに対して強化されたバージョンです。このため、同条件では、Kraite 400のほうが高速です。
バッテリ容量は、2300mAhとNexus 4の2100mAhよりも上がっているにもかかわらず、カタログスペックのスタンバイ時間が短くなっています。これは、Nexus 5のカタログ値は、LTE利用時のものになっているためです。一般に3G方式よりもLTEのほうが消費電力は大きくなります。
ハードウェアスペックでのもう1つの大きな違いは、バックカメラの「光学式手ぶれ補正」です。解像度はNexus 4と同じで、Nexus 5にもLEDフラッシュが装備されています。
なお、Nexus 5には、対応周波数の違いで米国版と海外版(米国以外の地域向け)の2種類あり、米国版のみcdmaOne/CDMA2000(IS-95)対応で、3GやLTEの対応バンドが違っています。cdmaOne/CDMA2000は米国ではメジャーな方式ですが、米国外では日本や韓国などでしか運用されていないためだと思われます。この方式では、原則SIMカードを使わずに端末自体に顧客情報を登録するため、事業者がNexus 5を扱わない限り利用は困難です。このため、米国版と海外版という切り分けになったのだと思われます。
Nexus 5は、リファレンスとして純粋なアンドロイドになっているため、メーカーアプリなどがなく、ある種の煩わしさがない反面、物足りない部分もあります。今回は、とりあえず、外観を中心としたレポートになりましたが、次回は、Kit Katをレポートしたいと思います。
本稿は、2013年11月8日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。