2013年版のNexus 7のWi-Fiモデルは、いちはやく入手するために米国のGoogleから購入したのですが、日本でもLTEモデルが発売されたので、こっちは日本国内で買ってみました。基本的にどこで買っても同じ値段なので、1%ですが、ポイントが付くヨドバシの通販で買いました。
Nexus 7(2013)に搭載されたandroid 4.3は、技適マークなどの規制表示が電子表示に対応したので、アメリカのGoogleから直接買っても日本で利用できるはずですが、日本でも販売しているので、送料をかけてアメリカから送る必要もないだろうということで、国内で購入することにしました。もっとも、Nexus 7の場合、アメリカで買っても値段はほとんど変わりません。価格は、349ドルなのですが、たとえばカルフォルニア州で買えば8.75~9%程度の消費税が付くのでだいたい380ドルぐらい。これに対して日本の価格は内税なので、このままです。クレジットカードで買うと、その時点の為替レートよりも若干高めになるので、いまの時点だと1ドル110円ぐらい。これで換算すると4万円を越えてしまうため、わざわざ送料をかけてアメリカで買って送るほどではないのです。
2013年版のNexus 7については、一度紹介しているので、今回は、通信部分に的を絞ってレポートすることにしましょう。
なお、このLTE対応のNexus 7は入手後、すぐにシステムアップデートが行われました。JLS36Cというビルド番号になっていれば、最新のシステムです。
周波数対応で2つのモデルがある
Nexus7(2013)には、2種類あり、1つは、日本と米国で販売されているもの(North Ameria/Japan:NA/JPモデル)、もう1つはEU圏などそれ以外の地域(Rest of the World:RoWといいます)で販売されているものです。また、米国では、LTEモデルとしてAT&T版とT-Mobile版があるようですが、どうも同梱されているSIMの違いのようで、スペックは同一でした。
NA/JPモデルとRoWモデルの違いは、LTEの対応周波数で、2G/3Gの周波数対応はどちらも同じです。表01は、Nexus 7の3GとLTEの対応周波数です。表の後半の色分けしてある部分がNA/JPモデルとRoWモデルのLTE周波数の違い、緑の部分は、3Gのみの周波数です。
LTEで使う周波数は、基本的には現在3Gで使っている周波数帯と同じバンド構成なのですが、バンドの再編などもあり、少しややこしい状態になっています。整理すると、Nexus 7(2013)は、どのモデルもLTEのバンド1~5に対応し、NA/JPモデルは、さらにバンド13と17に、RoWモデルはバンド7と20に対応しています。日本の事業者が持つ、すべてのバンドには対応していませんが、Googleによれば、イーモバイル、ドコモ、ソフトバンクの3つの事業者に対応しているとのことです。ただし、事業者側が動作保証するものではないようです。LTEの周波数的には、auにも対応できるのですが、Nexus 7(2013)はCDMA2000に対応していないため、auで公式にサービスを受けることができません。また、イーモバイルは、いまのところ3G(ソフトバンクのネットワーク利用)での接続になるようです。
筆者は、ドコモのネットワークを使うHi-HoのLTEサービスのSIMを入れて使って見ましたが、APN設定のみでLTEでの通信が可能でした。
NA/JP版とRoW版で違いのあるバンドは、日本国内では使われておらず、海外で利用する場合の違いになります。米国での利用が想定されるなら北米/日本モデルで問題ありません。それ以外の地域での利用を考えると、EU圏などで販売されているRoWモデルのほうが有利なのですが、日本国内での入手は容易ではありません。もちろん、並行輸入品や、海外通販などもあるとは思いますが、Google Playと同じ価格でない―――もちろん安いわけではない―――ことがほとんどです。
NA/JP版とRoW版の違い
http://www.google.co.jp/nexus/7/
外観はSIMカードトレーが増えただけ
外観は、基本的にNexus 7(2013)のWi-Fiモデルとほとんど同じです。違いは、SIMカードスロットの有無のみです。Nexus 7(2013)は、2012年版にあった専用クレードル用の端子がなくなっており、ボタン類やマイクなどがすべて本体右側にまとめてあります。SIMカードスロットも右側になっていて、左側にはなにもなくスッキリとしています。
2013年版のスピーカーはステレオになっているため、横置きにする場合の向きはどちらでもいいわけではなく、ロゴが正しい向きになるような方向にしか置けません。このため、下になる左側には何も置いていないのだと思われます。
SIMカードは、マイクロSIM用で、付属のピンを使ってトレーを引き出します。この付属のピンは、結構長く、たしかに、トレーを押し出すための機構は穴の奥にあります。そういうわけで、他の機種に付属してきたピンは短すぎて使えません。なので、出先でSIMカードを交換するような使い方、たとえば、海外旅行で現地のSIMを刺して使うなんて場合には、このピンを持ち歩く必要があります。幸い、ピンの太さは他の機種とあまり変わらず、少し細いほうになるので、他機種のトレーを引き出すのにも使えるでしょう。かなり細くなっていたNexus 4のトレー引き出し穴にも使うことができました。
筆者は、海外などでのSIMカードの入れ替えのため、このSIMトレーピンをマイクロSDカードのケースに入れて、財布の中にしまってあります。SIMカードは小さくてなくしやすいので、交換したあと、元のSIMをケースに入れて財布の中で保管しています。
テザリングが可能に
Nexus 7(2013)のLTEモデルは、モバイルネットワークには対応していますが、音声通話機能は持ちません。このため、同じandroid 4.3でも、設定などが一部違います。たとえば、「設定」→「無線とネットワーク」→「その他」には、同じandroid 4.3スマートフォンにある「緊急警報」の設定がありません。逆に、Nexus 7(2013)には、「モバイルプランの管理」という項目が増えています。どうも事業者が提供しているサービスを利用して、データ契約プラン関連の管理を行うもののようなのですが、ドコモのSIMでは「プロビジョニングウェブサイト」がないと言われ何も処理が行われないようです。プリペイド方式のSIMのデータプランのように、複数のプランから選択するような画面や現在の通信状態を確認するようなものと思われます。
「テザリングとポータブルアクセスポイント」があるため、Nexus 7(2013)の通信機能を使い、他の機器に対してインターネット接続を提供することができます。2012年版のNexus 7はテザリングに対応していなかったため、root権限を取得してテザリングアプリをインストールする必要があったのですが、2013年版では面倒なことをしなくても、簡単にテザリングが可能です。
一般的なアンドロイドのテザリング機能なので、USB、Wi-Fi、Bluetoothを使うことが可能です。
LTEや3Gで通信しているときWi-Fiで他の機種と接続すると少し消費電力が大きくなっでしまいますが、通信速度は劣るもののBleutoothテザリングを使えばバッテリ消費を抑えることが可能です。
テザリングが手軽に利用でき、スマートフォンに比べると動作時間が長いNexus 7は、単体で使ってもいいし、モバイルルーターとしても使えます。スマートフォンは通話専用にしておき、ランニングコストの安いLTE対応のデータ通信用SIMをNexus 7に入れて、Bluetoothテザリングしておけば、どちらでもインターネットアクセスが可能で、かつランニングコストを押さえることが可能です。筆者は、いまでは、音声通話は昔の携帯電話に戻して、Nexus 7を持ち歩いています。
本稿は、2013年9月27日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。