車のナビが壊れてしまったので、使わなくなったLTE版Nexus 7(2013)をカーナビにしてみました。しかし、これが意外と簡単ではありませんでした。というのは、筆者の場合、車に乗るのが週1回あるかどうか、なので、消費電力の大きな設定やスリープしないアプリを入れていると、すぐにバッテリがなくなってしまい、車に乗るときには、残量ゼロという状態になってしまうからです。ナビ中は消費電力が小さくないので、充電しながらだと、バッテリ残量がわずかに増えるかどうか、場合によっては逆に減ってしまう可能性もあります。なので、乗車したときにゼロの状態からだと、多少充電したところで、途中で切れてしまう可能性があります。

このため、インストールするアプリを厳選して、動作時や待機時の消費電力をできるだけ小さくし、通信量も可能な限り抑えます。記事の大きさもあり、今回は、カーナビや関連アプリなどを解説します。

車の電源供給とアンドロイド

自動車は、大きく2つの電源供給が可能で1つは、シガーライタープラグのようにキーに連動している電源です。一般にこれは「アクセサリ電源」と呼ばれます。しかし、内部には、キーが抜けた状態でも電源を供給できる「バックアップ電源」もあります。カーナビなどは、車の配線を途中で分岐させて、アクセサリ電源とバックアップ電源の両方を供給することが普通です。アクセサリ電源のほうは、シガーライターアダプタなどを使えば、簡単にUSB電源として利用できますが、バックアップ電源は内部配線や、ヒューズボックスなどから取り出す必要があり、かなり面倒な作業になります。

もう1つ、使い勝手としては、車のキーが抜けた状態では、Nexus 7は、スリープ状態に入り、キーを入れてオンにしたら、スリープから復帰して、キーがオンの間は、スリープに入らないようにしたいのです。

車は筆者以外にも家族が利用するので、面倒な操作は不可能です。ましてや車を降りるときには、アプリを終了して電源ボタンでスリープに入るなんて操作は「絶対」にできません。普通のカーナビのようにキーをまわせばオン、抜けばオフになってほしいわけです。

しかし、アンドロイドのタブレットなどは、バッデリ充電のためにマイクロUSBコネクタがある程度で2種類の電源を使い分けることはできません。

そこで、設定を使って、車のキーが回されたら、Nexus 7がスリープから復帰して画面がオンになるようにしました。また、これに連動できるアプリならば、利用することが可能です。

逆に、動作中はスリープに入らないようになっているアプリは、停車時にアプリを終了させる必要があり、ちょっと面倒なのと、忘れてバッテリを消費させてしまう可能性が小さくありません。

どのアプリがいい?

まずは、Playストアから無料で使えるカーナビ用アプリをダウンロードして入れてみることにしました。試してみたのは、

・カーナビNAVIRO
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.location.naviro&hl=ja

・Yahoo!カーナビ
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.yahoo.android.apps.navi&hl=ja

の2つです。どちらもカーナビ専用アプリで、アンドロイド標準のマップアプリのナビゲーション機能よりは高機能なようです。

NAVIROは、ドライブレコーダー機能を持ち、圧縮機能により通信量を抑えることが可能です。

カーナビNAVIROは、DeNAのカーナビアプリ。ドライブレコーダー機能を持ち、カメラ画像とナビゲーション画像を重ねて表示するARモードなどを持つ

これに対してYahoo!カーナビは、雨雲レーダー機能や駐車場検索機能などがあります。

Yahoo!カーナビは、ヤフー・ジャパン開発のカーナビソフト。3D地図表示などが可能

どちらも渋滞情報のVICSなどに対応しており、本格的なカーナビ機能を持つアプリです。

アンドロイド標準のマップアプリにもナビゲーション機能がある。他のソフトほど高機能ではないが、最低限の機能は備える

ただ、結果からいうと、この2本は、標準のマップアプリに比べると、カーナビとしては高性能なのですが、使って見ると、起動中はナビゲーションをしていなくても、スリープに入らないようになっているため、筆者の目的には合致しませんでした。高機能なので使いたいのですが、降車するときには、アプリを終了させないと、バッテリがすぐに切れてしまいます。

残念ながら、カーナビソフトにより、スリープに入らないようになると、車からの電源供給が切れたあとも動作し続けてバッテリを消費してしまう。写真のグラフの急激に残量が下がっているところがナビアプリを起動していた状態。充電してはいないが「スリープなし」になってしまっている

なので、残念ながら本格的なカーナビアプリの利用はあきらめ、アンドロイド標準のマップでナビゲーション機能を使うことにしました。せめて、ナビゲーションをしていないときにスリープにはいるようになっていたり、そういう設定があれば、こちらを使ったのですが、少なくともマップアプリはナビゲーションが行われていない地図のみを表示している状態だと、スリープを禁止しません。また、筆者の場合、近所のみの運転で、遠出することもなければ、高速に乗ることもなく、都内を走ることもありません。なので、最低限のナビゲーションがあれば、十分としました。とはいえ、マップアプリのナビゲーションはカーナビや専用アプリのような高度な機能はありませんが、十分実用的です。

評価したNAVIROには、ドライブレコーダーの機能や圧縮によりデータ通信量を抑えるという機能があり、LTE経由での利用には、向いているのかとおもったのですが、やはり動作中は、スリープしませんでした。

とりあえず、ナビはマップアプリを使うことにして、別途ドライブレコーダーアプリを捜すことにしました。条件としては、スリープ状態に入れば記録がオフ、アクセサリ電源がオンになり、充電中になったら記録を開始できるものが必要です。筆者が見つけたのは、 ・ドライブレコーダー簡単!
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.cyberih.driverecorder&hl=ja

というアプリです。このアプリは、設定により、起動するとすぐに自動録画が始まり、画面がオフになったときに記録停止、再度画面がオンになったら記録再開という設定が可能でした。これにより、車のキーに連動してドライブレコーダーとして利用することが可能です。

ドライブレコーダーには、「ドライブレコーダー簡単!」をつかってみた。設定によりアプリを起動すると自動的に録画を開始できる

「ドライブレコーダー簡単!」の設定では、スリープによる画面のオンオフで、録画の再開、停止を行う項目があり、筆者の目的に合致していた

さて、次回は、不要なアプリを削除、無効化する設定や、通信量、バッテリ残量などのための関連アプリなどを紹介する予定です。

本稿は、2016年2月2日にAndorid情報誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。