アラフォーのコラムニスト・ライターの筆者が、iDeCoを始めてみた体験記を連載でお送りします。現役世代にとってiDeCoの資金を引き出すのはまだまだ先の話ですが、今から少しずつイメージしておいてほしいのが、資金の受け取り方です。

投資や資産形成では、「出口戦略」もとても重要です。今回はiDeCoで選べる3種類の受け取り方、資金の活用方法について解説します。

iDeCoのお金の受け取り方法は3種類ある

iDeCoを受け取る際には、一時金、年金、一時金と年金の組み合わせの3種類から選択できます。

▼一時金

1つ目の方法は、老齢一時金として一括で受け取る方法です。 運用したお金を一度にすべて受け取ります。

老齢一時金は退職所得扱いとなり、退職所得は(収入金額-退職所得控除額)÷2の式で計算されます。

退職所得控除の金額は、勤続年数によって下記のように異なります。

・20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円とする)
・20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

たとえば勤続年数22年の場合の退職所得控除額は、800万円+70万円×(22-20)=940万円です。収入金額が1,200万円なら、1,200万円-940万円÷2で、130万円が退職所得となります。

かなり大きな金額を控除してもらえるため、退職所得も少なくなり、その分税金が安くなることがお分かりいただけるでしょう。

ただし会社の退職金など他にも退職一時金がある場合、退職所得控除はそれと合算されることに注意が必要です。退職金が多い場合、退職所得控除の枠を退職一時金で使い切ってしまい、iDeCoの一時金に対する税金が多くなる可能性があります。

▼年金

老齢年金として、一定の間隔を空けて分割で受け取る方法で、下記の6種類から選べます。

・年12回(毎月)
・年6回(偶数月)
・年4回(3月・6月・9月・12月)
・年3回(4月・8月・12月)
・年2回(6月・12月)
・年1回(12月)

ちなみに公的年金の受け取り月は年6回の偶数月です。 iDeCoの受け取りを年金と同じタイミングにすることも、違うタイミングにすることもできます。

年金で受け取る場合、一定の金額までは公的年金控除を受けられます。例えば65歳以上で公的年金等の収入金額が110万円までなら、所得金額は0として扱われるので課税されません。

公的年金控除を受けられる金額を超えた分は、雑所得の扱いとなります。雑所得に当たる他の所得がどのくらいあるかによって、税率は変化します。

雑所得は控除の優遇制度がなく、不利な点に注意が必要です。

▼一時金と年金の組み合わせ

一時金と年金を組み合わせて受け取る方法もあります。たとえば60歳の時点で500万円を受け取り、残りは10年かけて、年6回に分けて受給するといった方法です。

どの受け取り方法を選ぶべきか?

どう受け取るべきか、迷う人も多いのではないでしょうか。ここで重要になるのは、資金の使い道です。

まず一時金で受け取るメリットは、まとまったお金が手に入ること。住宅ローンの残りの返済、自宅のリフォームやリノベーション、車の買い替えなど、多額の費用の支払いにも使えます。

年金受け取りは、自分に合ったペースで少しずつ受け取ることができます。一度にすべて受け取ってしまうと、使いすぎてしまいそうで心配という方にも向いています。税制面では一時金よりやや不利なものの、受け取るまで資産運用は継続されるので、運用成績によっては受取額を増やせる可能性があります。

一時金と年金の併用は、ある程度まとまった支払いに使いたいけれど、年金受け取りもしたい方におすすめ。たとえば300万円を一時金で受け取ってマイホームのリノベーション費用に充てて、残り400万円は分割で受け取るといった具合です。

ちなみに筆者は60歳または65歳でまとまった支払いをする予定のため、一時金での受け取りにするつもりです。

今から受け取り方法についてイメージしておこう

iDeCoをフル活用するには、受け取りについても今からイメージしておくことが大切です。受け取り方法は後で選べるので、じっくり考える時間はあります。

適切な受け取り方法は、積み立てたお金をどのように使うかによって変わります。老後のライフスタイルはどうなるのか、どのような資金が必要になるのかを考えておきましょう。