アラフォーのコラムニスト・ライターの筆者が、iDeCoを始めてみた体験記を連載でお送りします。iDeCoの制度がこれからいくつか変更されるのはご存じでしょうか?
より長期での資産運用がしやすくなるので、これから始めようか検討している人も要チェックです。今回は2022年4月以降の具体的な変更内容について解説します。
2022年4月以降のiDeCoはこう変わる
2022年4月以降、iDeCoは以下のように制度内容が変わります。
・受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大(2022年4月~)
・加入可能な年齢の拡大(2022年5月~)
・企業型確定拠出年金との併用がしやすくなる(2022年10月~)
いずれも加入者にとって有利になる変更内容です。では1つずつ詳しく見ていきましょう。
受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大(2022年4月~)
iDeCoで積み立てたお金の受け取りについて、現在は60歳~70歳の間で指定することとなっています。その選択の幅が60歳~75歳とより広くなります。
75歳までiDeCo口座にて、非課税で運用を続けることができるのがメリットです。ただし口座管理手数料も引き続き支払うことになるので、見込める運用益とのバランスを考えることが必要です。
掛金を拠出しない期間に関して、毎月かかる口座管理手数料は、多くの証券会社では66円となっています。 1年間で792円ですが、これ以上の利益を出せれば手数料をペイできます。
たとえば資産200万円で年間の運用利回りが0.5%の場合、1年で1万円の利益になるので、手数料を支払っても運用を続けるメリットがあると言えます。
一定の規模の資産を構築していれば、手数料をペイするのはそれほど難しくはないでしょう。
加入可能な年齢の拡大(2022年5月~)
現在iDeCoに加入できるのは60歳までですが、65歳まで可能となります。60歳以降も働く会社員の方、60歳以降も国民年金の被保険者である自営業の方などもiDeCoに加入できるようになります。
この制度変更でより多くの方がiDeCoを利用できるようになり、資産形成を実践できる期間が増えることになります。
「もう60歳に近いし……」と思う方も諦めることはなく、今からでもiDeCoで資産の積み立てができます。
企業型確定拠出年金との併用がしやすくなる(2022年10月~)
勤め先が企業型確定拠出年金を導入している場合、これまではiDeCoと併用するのが難しい状況でした。条件をクリアすれば併用できるのですが、その条件を満たすことのできる企業は少なかったのです。
しかし2022年10月以降、原則として本人の意思のみでiDeCoと企業型確定拠出年金の併用ができるようになります。同時加入する場合、iDeCoの掛金と会社の掛金の合計は5万5,000円が上限です。
iDeCoは今後も制度変更が加わる可能性がある
ここからは筆者の個人的な意見ですが、iDeCoは今後も制度が変更される可能性があると考えています。その理由は公的年金制度との兼ね合いです。
公的年金は75歳の繰り下げ受給が可能になるなど、国としてはできるだけ受給を後ろ倒しにする方針を打ち出しています。また支給額は今後減少する恐れがあると見られています。少子高齢化などの影響で、年金の財源状況が厳しくなりつつあるためです。
国としては、資産形成によって年金で足りない分を補ってほしいと考えている様子がうかがえます。そのためにiDeCoやNISAといった非課税メリットのある金融制度を用意したということでしょう。
今後もこの基本路線は変わらないと考えられるため、資産形成を後押しする政策が出され、さらに変更が加わる可能性が高いでしょう。実際、現行の一般NISAは2024年に「新NISA」としてリニューアルされる予定となっています。
iDeCoについても、加入期間や運用期間がさらに長くなったり、掛金上限がさらに増えたりする可能性もあると思われます。加入者にとってはさらなるメリットになるので、ぜひ実現してほしいところです。