アラフォーのコラムニスト・ライターの筆者が、iDeCoを始めてみた体験記を連載でお送りします。iDeCoのお金を引き出せるのは60歳からですが、それまでに死亡した場合はどうなるのでしょうか?

今回は、60歳になる前に亡くなった場合のiDeCoの拠出金の扱いについて解説します。

  • ※画像はイメージ

「死亡一時金」としての扱いになる

iDeCoの加入者が60歳になる前に死亡した場合、拠出・運用してきたお金は「死亡一時金」として、加入者の遺族が相続人として受け取ることになります。

死亡一時金を受け取れる遺族は、配偶者、子ども、孫、祖父母、兄弟姉妹など。相続順位に準じることになります。

相続の第一順位は子ども(いない場合は孫)、第二順位は父母(いない場合は祖父母)、第三順位は兄弟姉妹(いない場合は甥・姪)です。

死亡一時金を受け取るためには手続きが必要

死亡一時金は、自動的に受け取れるわけではありません。加入者が死亡してから5年以内に、遺族の方が支払いを求める手続きを行うことが必要です。

手続きの流れ

死亡一時金の請求の主な手順は下記のとおりです。

1.iDeCo口座のある金融機関に連絡して、手続きについての案内を受ける
2.戸籍謄本など、必要な書類を用意する
3.裁定請求書などに記入し、必要書類とともに融機関に提出する
4.不備がなければ1~2か月程度で受取人の口座に入金される

手続きで必要となる書類の例は下記のとおりです。

・裁定請求書
・戸籍謄本
・印鑑証明書
・マイナンバーカードの写し

裁定請求書は金融機関から問い合わせて入手する書類です。その他に用意する書類は、戸籍謄本など加入者と受取品の親族関係を証明する書類、受取人の本人確認書類などです。

詳細は受取人の立場によって異なり、上記以外の書類を求められることもあります。金融機関に問い合わせたうえで、指定に従って用意しましょう。

相続税に注意

iDeCoの死亡一時金は「みなし相続財産」として使われ、相続税の課税対象となることに注意が必要です。

ただしiDeCoの死亡一時金には、非課税の特典もあります。法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があるため、相続税を減らすことができます。

ただし加入者が死亡してから3年が経過すると、非課税枠が使えなくなることに要注意です。

死亡後に5年を超えてしまった場合

加入者が死亡してから5年を過ぎてしまうと、死亡一時金として受け取ることはできなくなります。お金を取り戻すことはできるのですが、死亡一時金より煩雑な手続きになります。

さらに死亡一時金の非課税限度枠も消滅してしまうので、税金面で不利になります。できるだけ早く手続きを取っておきたいものですね。

あらかじめ死亡一時金の受取人を指定することもできる

死亡一時金の受取人は通常、相続順位で決まりますが、事前に指定しておくことも可能です。生前に手続きをすることで、相続順位通りではない渡し方をすることもできます。

たとえば楽天証券の場合、事前に書類を提出することで指定できます。書類は、iDeCoの専用ダイヤルに電話をして取り寄せることが可能です。

万が一のことも考えておこう

iDeCoに加入したら、60歳になる前に万が一のことが起きた場合にも備えておく必要がありそうです。口座のある金融機関を家族の方にあらかじめ伝えたり、受取人を指定しておいたりすることで対策しましょう。

加入者が死亡してから3年経過すると非課税枠が使えなくなり、5年経過すると手続きが非常に面倒になります。受取人の方は、なるべく早く手続きをすることがおすすめです。