10月7日に募集を開始して、早くもマイラーの間で話題沸騰なのが、ANAアメリカン・エキスプレス提携カード。どこがすごいのか、どう使えるのか、マイレージにおいて、今や第一人者、自らもアメックスのユーザーだという鳥海高太朗さんにその魅力を聞いた。
PLOFILE : 鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)
1978年生まれ。航空・旅行アナリスト、城西国際大学観光学部助手(千葉県鴨川市)。利用者の視点から各種メディアにて情報発信すると共に、現在、ANA公式ブログサイト「ANAわかりやすいニュース配信」の解説者、スター アライアンス日本地区スペシャルサイトアドバイザーを務める。航空会社・アライアンスのマーケティング戦略(主にマイレージや世界一周航空券、各航空会社の新サービスなど)を主研究に、国内・海外旅行事情にも精通し、大学では観光人材の育成に力を注いでいる。著書には、『That's ANAマニュアル』、『That's STAR ALLIANCE』(共に角川学芸出版)などがある。個人ブログ「きまぐれトラベル日記」
「マイル換算率抜群! しかも旅行好きにとって最強のブランド組み合わせです」
――ANAアメリカン・エキスプレス提携カードは発売当初からマイラーの間で話題です。どのあたりが、注目ポイントなのでしょうか?
鳥海「マイレージを集めている人をマイラーと呼びますが、彼らがクレジットカードを利用してマイルを貯めるときに、カードを選ぶ基準は"換算率"です。過去は新規客を集めるために、高い換算率が設定されていたこともありますが、今は、換算率100円=1マイルが基準。つまり、ポイントと同じですが、カードで100円使うたびに1マイルがつく。1万円なら100マイル、100万円で1万マイルということになります。ANAアメリカン・エキスプレス提携カードも通常の利用は、100円=1ポイントです。ただこれが、ANAグループでの利用になると、ANAアメリカン・エキスプレス・カード(以下一般カード)でポイントが通常の1.5倍、ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード(以下ゴールド・カード)では2倍つきます。マイラーはショッピング利用と搭乗利用の両方でマイルを貯めますから、これは大変魅力的な換算率といえます」
―――その他にも、ANAアメリカン・エキスプレス提携カードにはマイルをたくさん貯めるテクがあるのですか?
鳥海「マイルを効率よく貯めるには、とにかく毎月支払いが決まっているようなものは、出来る限りすべてカード決済にして、自動的にマイルが貯まるような仕組みを作ることが大事。携帯電話代や光熱費、インターネットプロバイダー料金などもそうですね。大きな買い物はみなさん比較的カードを使いますが、日々の買い物は現金払いが多いですよね。ここも変えていかないといけない。スーパーなどは、たいていのところが、サインレスで利用できますから、比較的簡単に利用できます。ただ、たとえば、コーヒーショップやコンビニなどの支払いは少額ですから、つい現金払いをしてしまいますね。そんな少額決済でのおすすめは、このカードに付いている電子マネー「Edy」。Edy利用でANAマイルが貯まる(200円=1マイル。am/pmなど特定店舗は200円=2マイル)以外に、入会から6カ月間はEdyへのチャージ(入金)でも200円=1マイルが加算されます(2010年4月7日までの申し込み対象)。なんといっても、コンビニの支払いでもマイルが貯まり、特にam/pmでは最大200円=3マイル(入会から6カ月間)が貯まるのです。チリも積もれば……といいますが、まだ利用していない人は、この機会にEdy利用をぜひ始めるべきでしょうね」
鳥海「もちろん、ANAカードなら、どのカードでもある特典ですが、ANAカードマイルプラスサービスも上手に利用したいですね。ANAグループをはじめデパートやガソリンスタンドなどの特定店舗で支払いをすると、100円につき1マイルまたは、200円につき1マイルが自動的に加算されます。つまり、最大で100円=2マイルを獲得できるわけです。たとえば、対象店舗のひとつ高島屋なら、200円=1マイル、松坂屋なら100円=1マイルが通常のショッピングマイルに加えて加算されます。マイルプラスの対象店舗を覚えておいて、意識的に使うのもマイル収集には有効です。ANAアメリカン・エキスプレス提携カードならロンドンのハロッズやソウルのロッテ百貨店など海外の提携店でもマイルが貯まります」
――ANAとアメックスという2大ブランドが提携したことでの魅力はなんですか?
鳥海「旅行に強い2大ブランドが組んだわけですから、旅行好きな人、出張を含め、国内外の移動が多い人は、その特典を最大限に満喫したいところですね。私もいつも愛用させていただいていますが、アメックスのカードを持っていれば、空港ラウンジ(国内19カ所、海外2カ所)が利用できます。遅れてはいけないと時間に余裕を持つためか、成田などには意外と搭乗時間より早くついてしまうものです。朝の便の場合、朝食も食べずに自宅を飛び出す、といったこともよくあります。空港に着いて、ほっとしたところで、空港ラウンジに立ち寄ると、クロワッサンなど軽い食事がとれます。パソコンを広げて、メールをチェックしながら、軽食をほおばる。搭乗前の贅沢な時間が広がります。航空券をカード決済するなど、カード利用による旅行は、海外傷害保険も充実した内容が得られます」
鳥海「さらに手荷物無料宅配サービス(ゴールド・カードのみ)といった特典もあります。空港から家の移動時に大きなスーツケースがないのは、本当に気楽です。また、朝着の便で出張から帰り、そのまま自分は会社へ、荷物は無料宅配で自宅へ、といった利用もできます。旅行の手配、海外でのトラベル・サービス、エアポート送迎サービス(ゴールド・カードのみ)など言い出せば、切りがないほど、旅行のケアはNO.1といっていいカードです」
――今回は、入会キャンペーンもマイラーには見逃せない内容と聞きましたが。
鳥海「2010年2月28日までに申し込んだ人は、一般カードの場合、入会ボーナスマイル1,000マイルに加え、メンバーシップ・リワードのポイントが2,000ポイントつきます。また、入会3カ月間は、利用のたびにポイントが2倍になります。これがゴールド・カードの場合は、入会ボーナスマイル2,000マイルに加え、メンバーシップ・リワードのポイントが3,000ポイントつきます。また利用のたびにポイントがなんと3倍つきます。この期間に大きな買い物、たとえば、20万円のパソコンを購入すれば、ゴールド・カードであれば、通常であれば、2,000ポイントのところ3倍の6,000ポイントつくわけです。これにボーナスポイントが合計5,000ポイントついていますから、マイルに移行(一般カードはポイント移行コース〔参加費年間5,250円〕への登録が必要)すれば、もうこれで1万マイルを突破。東京―大阪の航空券(ローシーズン)搭乗券を獲得できたのと同じになります。キャンペーンの効力はほんと、すごいですよ」
――貯めたマイルはどのように有効活用できるのでしょうか?
鳥海「マイルはいくら貯めても、航空券として使わなければ魅力は半減です。たとえば、8万マイルあれば、電子マネー1万円に交換できますが、東京と米西海岸往復のビジネスクラス航空券にも変えられます。これって、正価で買うと50万円くらいするわけですよ。電子マネーやパートナー特典への交換は1万マイル=1万円(3万マイル以上は1万マイル=5,000円)なので、これはもう圧倒的に航空券に変えたほうがいいわけです」
――航空券として使ってこそ生きるマイレージということですね。逆にいうと空の旅を愛する人は、ただ毎日漫然とお金を使うのではなく、使った金額を着々とマイルに交換する仕組みをつくったほうが賢くてお得ということになりますね。それには、ANAアメリカン・エキスプレス提携カードがかなり有効ということがわかりました。今日は、細かいテクをいろいろ教えていただきまして、ありがとうございます。
(聞き手 : 酒井富士子)