日本も少しずつ寒くなってきましたね。外に出るのが本当に嫌です。ヨセミテの冬の平均気温は5度前後です。今からの季節は雪や樹氷などでとても綺麗ですが、かなり寒いので準備を十分してから行ってください。今回は、ヨセミテ・バレーとグレーシャー・ポイントを中心にお届けします。

ヨセミテ滝やアワニー・ホテルのあるヨセミテ・ビレッジ

前回ご紹介したヨセミテ国立公園のバレー・フロアー・ツアーで訪れる範囲をヨセミテ・バレーと呼ぶ。さらにその中で、カフェテリアやマーケット、郵便局、ヨセミテ・ロッジ、アワニー・ホテルなどがある範囲をヨセミテ・ビレッジと呼ぶ。郵便局はあまり必要がないにしても、マーケットはヨセミテ公園内に1カ所しかないので、お土産を買ったり、キャンプの際に食料調達したりするために、非常に便利だ。ちなみにヨセミテ国立公園には、4カ所公園ゲートがあるが、どこから出ても近くに町はなく当然スーパーもない。夜遅くに公園に着く予定の人は、マーケットが開いていないので、滞在していた町で食料だけは調達してから出かけよう。

ヨセミテ・ビレッジ内は、無料のシャトルバスが運行している。運行間隔は約15分で、ビレッジ内の主なスポット、ロッジやキャンプ場、マーケット、トレイルの入り口などに行くことができるので、それを使ってうまく公園を探索しよう。バスに1周乗っていても1時間しかかからないので、時間がある人は、とりあえず1周してみて、2周目で気になったスポットで降りて遊んでみるなんていうのもいいかもしれない。

ヨセミテ・ビレッジ内の最大の見所は、ヨセミテ滝。ヨセミテ・ロッジのすぐ近くにある。アメリカ最大の落差のある滝で、上から下までは約740m。アッパー滝、カスケード、ロウアー滝の3つに分かれている。滝の水は雪が解ける春先の4月~6月ごろが最も多いが、夏になると完全に枯れてしまう。私たちが訪れた8月には、水は一切なく「Yosemite Falls」と書かれた看板が少し虚しかった。それでも、私たちを含め、皆、一応"滝"の前で記念撮影をしていた。ウォーター・アクティビティが楽しめるヨセミテ国立公園なので、夏に訪れるのがベストだと思うが、ヨセミテ滝は見ることができないので、絶対に一生に1度しか行けないと思うのなら、両方楽しめる可能性の高い、5月下旬~6月初めぐらいに訪れるといいだろう。

ヨセミテ滝。私たちが行った時は、完全に枯れていました

ヨセミテ滝のローアー滝。ズームしてみましたが、やはり水はありません

ハーフ・ドームを間近で眺められるグレーシャー・ポイント

グレーシャー・ポイントとは、前回ご紹介したヨセミテ3大岩の1つ、ハーフ・ドームを間近に見ることができるポイントだ。ヨセミテ・バレーよりはるか上の位置にあるため、ヨセミテ・ロッジ発のツアーか、自分の車でしか行くことができない。ちなみにツアーは、グレーシャー・ポイント・ツアーを利用し、往復大人32.50ドル、子供26ドル。所要時間は約4時間で、片道だけの利用も可能だ。ここから見るハーフ・ドームは、迫力満点なので時間があったらぜひ訪れてほしい。

グレーシャーポイントから見るハーフドーム。近いので迫力満点です

私たちは、前回のコラムでご紹介したバレー・フロアー・ツアーに行った後、カフェテリアでご飯を食べ、バレー・ビュー・ポイントで水遊びをし、グレーシャー・ポイントに向かった。すると、グレーシャー・ポイントまでの長い登り坂で給油のランプが点灯した。よく考えてみると、昨夜は宿探しに気をとられていて、全くガソリンのことは気にしてなかったが、ヨセミテのはるか手前のガソリンスタンドで給油したのが最後だった。幸いにも、私たちが帰る方の公園ゲート付近にガソリンスタンドがある。上まで行っても、そこまでもつだろうと思いながら、何とかグレーシャー・ポイントに到着。とりあえず、「後は下りだし、給油ランプがついても30マイルはもつと言うし、多分大丈夫だろう」と勝手に思い込み、車から降りようとした瞬間、今度は飯富がサンダルの片方がないと言い出した。どうも、さっき遊んだバレー・ビュー・ポイントに置き忘れてきたらしい。本人曰く、「片方の足が濡れていたから、とりあえず外にサンダルを脱いだ」とのこと。仕方がないから、置いて行くのかと思いきや、「買ったばかりだから、取りに行く」と。

ヨセミテバレー内には、こんな感じで、川で遊べるところがたくさんあります

結局、ガソリンぎりぎりでここまでやって来たのだが、ほんの10分程度で、私たちは再び来た道を引き返した。できるだけガソリンを使わないようにと、アクセルを踏まずに下りて行く(これでガソリンをセーブできるかどうか分からないのだが、一応素人の感覚で……)。何とか下まで下りることができた。そして、ガソリンスタンドのある公園ゲートとサンダルを置き忘れたバレー・ビュー・ポイントへ行く道の分かれ道にさしかかった。ここからはバレー・ビュー・ポイントの方が若干近い。が、本当にガス欠になる危険性が……。往復できるのだろうか。ということで、私たちはとりあえずガソリンスタンドへ向かった。無事にそこまでガソリンはもち、満タンにして来た道を引き返す。片方のサンダルを取りに。

途中、マリポサ・グローブ(詳細はミニコラムにて)に少し立ち寄ったため、ガソリンスタンドから2時間近くかかり、バレー・ビュー・ポイントへ戻った。パーキング内に脱ぎ忘れたはずのサンダルは、親切な人が車に踏まれないところに置いてくれていた。そのことに感謝しながら、私たちは自宅のL.A.へ。公園ゲートを出たのは、21時。ここからL.A.まで一般的に7時間かかると言われている。正直、途中で泊まっていきたい。そう思いながら、友達に電話をかける。「明日って、プール行ける?」と。そう、私たちは、この2泊3日の旅行の翌日に、遊園地のプールに行く約束をしていたのだ。「もしかしたらキャンセルするかも」と言っていたので、それを少し期待して電話をかけたのだが……。だが、友人には「大丈夫だよ~。楽しみにしてるね~」と言われ、私たちは泊まることもできず、ひたすらL.A.に向かって車を走らせた。夜中で車もほとんどなかったので、午前3時に自宅へ到着した。そして同日、私たちは無事に友人たちとL.A.のプールでウォータースライダーを楽しむことができた。

グレーシャーポイントからのネバダ滝。8月でも水はありました。 近くに見えますが、写真に撮るとかすんでしまうほど離れている

次回は、第30回でも少し触れましたが、サンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ海沿い道、パシフィックコースとハイウェイ沿いの面白い見所をご紹介します。お楽しみに~。

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:マリポサ・グローブ

セコイアの森、マリポサグローブ。夏の19時ぐらいです。結構明るかった です

マリポサ・グローブとは、南の公園ゲート近くにあるセコイアの森である。ヨセミテ・バレーからは、ヨセミテ・グランド・ツアーを利用すると行くことができる。このツアーは、5月~11月はじめまで催行されている、1日でヨセミテ・バレー、グレーシャー・ポイント、マリポサ・グローブの3カ所を回るかなりお得なツアー。基本料金は、大人62ドル、子供33ドルで、追加料金でランチをセットにすることができる。マリポサ・グローブ内にも無料のシャトルバスがあり、パーキングから森の奥のミニ博物館までを往復している。トレイルも敷かれているので、時間がある人はゆっくり歩いてみると面白いだろう。私たちが、このエリアを訪れたのは、夕方19時。まだ明るかったが、歩いていると暗くなりそうだったので、パーキング付近のセコイアのみを見学した(シャトルバスは17時までだったので、遅すぎて利用できなかった)。
アクセス情報
最寄りの国際空港:サンフランシスコ国際空港 日本からの直行便あり。10時間。サンフランシスコから公共交通機関でアクセスする場合は、ヨセミテの北西マセードまでグレイハウンドまたはアムトラックで行き、そこからヨセミテ行きのシャトルバス「YARTS」に乗り換える。所要時間約6時間。レンタカーの場合、サンフランシスコから約5時間。I-580East→I-205East→I-5North→CA120と進む。様々なツアー会社がヨセミテへの1日ツアーを催行しているので、それを利用するのが一番便利。
周辺観光地
サンフランシスコ・セコイア国立公園・キングスキャニオン国立公園・デスバレーなど。