9月14日から16日(14日は業界&メディア関係者のみ)まで、東京ビッグサイトで旅行博2007が行われました。旅行博とは1年に1回行われる日本最大の旅行の祭典で、世界各国の情報を得るすることができます。どのブースでもプレゼントを配っていますし、無料航空券やツアーの抽選会や、様々な国の催しが行われています。今回も3日間で約11万人の方が足を運んだようです。旅行好きにはたまらないイベントなので、皆さんも次回はぜひ足を運んでみてください。さて、今回は旅行会社などが調査している「アメリカの観光地ベスト10」に常にランクインする、サンタ・フェをご紹介します。
歩いて回ることのできる小さな街、サンタ・フェ
ニューメキシコ州サンタ・フェはとても小さな街のため、主要な観光スポットは歩いて回ることができる。私たちが訪れたのは、2007年の3月。ほんの半日の滞在だったが、ある程度のものを見て歩くことができた。観光の中心は、"ザ・プラザ"という広場。この周辺に、主要観光スポットやギャラリー、ショップ、ホテル、レストランなどがあるので、車で訪れた場合は、この周辺に車を停めるといいだろう。
ザ・プラザから数分南に歩いたところに、セント・フランシス教会(St. Francis Cathedral)がある。これは、1869年にサンタ・フェ最初の大司教、フランス人のジーン・バプティスト・レイミーにより建てられた教会だ。建物は、1000年から1200年頃のヨーロッパで多く採用されていたロマネスク様式で建てられており、中にはアメリカで最も古い聖母マリア像が置かれている。
そこからさらに南に歩くと、ロレット・チャペルと呼ばれる教会がある。ここは、「奇跡の階段」という不思議な謂れのある階段があることで有名。以下、奇跡の階段についての伝説を抜粋する。
ロレット・チャペルは、1837年代に建てられたゴシック建築の小さな教会で、礼拝堂の中二階に聖歌隊の席が設けられていました。しかし、教会が狭すぎて階段を作るスペースがなかったため、修道女達ははしごを使って上り下りしなければいけませんでした。彼女たちはこれを嫌がり、聖ヨセフ(聖母マリアの夫。大工の腕を持つ)に9日間の祈りを捧げました。すると9日目に、白髪の男が現れ、360度を完全に2回転する支柱のない螺旋階段を作ったのです。(~アメリカ西部5州観光局発行情報誌「W’EST」及び、オフィシャルサイト「USWEST.TV」より~)
これはあくまでも伝説であり、実際は誰がどうやって作ったのかは不明とのこと。私たちも実際に目で見たが、本当に狭いスペースに支柱のない螺旋階段があるので、すごく不思議な感じがした。教会へは誰でも入ることができるが、階段を上がることはできない。
さて、ロレット・チャペルからさらに南へ数分歩き、小さなサンタ・フェ・リバーを渡ると今度はサン・ミゲール教会(Chapel of San Miguel)がある。これは、1626年に建てられたアメリカ最古の教会。1680年代に、プエブロの反乱(Pueblo Revolt)で、壊されてしまったので、現存するものは、1710年に再建された建物。すぐ隣にはアメリカ最古の家(The Oldest House)という12世紀に建てられた家もあるので、一緒に見学を!
ニューヨークに次ぐ、全米第2位のアートの街
こんなに小さい街なのにサンタ・フェには500を超えるギャラリーやミュージアム、アート関係のお店があり、現在、ニューヨークに次いで全米第2位のアートの街として広く知られている。それを顕著に表すのが、キャニオン・ロードと呼ばれるストリートだ。
ここは、1.5kmの道沿いに100件以上ものアートギャラリーが並ぶエリア。ガラス窓を広く取った明るく、それぞれのギャラリー同士がまるで会話を楽しむようにゆったりと並んでいる。道沿いの大きなオブジェ、脇にあるベンチ、街灯に至るまでそのストリートの全てがアート作品なので、この街の「ART」に対するアプローチに驚かずにはいられないだろう。
このサンタ・フェ周辺は建物にも特徴がある。ほとんどが日干し煉瓦で造られたアドビ建築と言われるものだ。アドビ建築はヨーロッパで古くから使われていたが、16世紀にスペイン人がアメリカへ入ってきたことで、このエリアの建物に使われるようになったと言われている。現在、一般的に" サンタ・フェ調=アドビ様式"と、認識されている。アメリカ南西部を旅しても、ニューメキシコのサンタ・フェやアルバカーキ周辺以外でサンタ・フェ調の建物を見ることはあまりないので、アメリカの別の地域から旅をしてきて、サンタ・フェ調の建物が現れ始めたら、サンタ・フェが近いなと思っていいだろう。
次回は東京都の3分の1分の広さが真っ白の砂に覆われた、ホワイト・サンズ国定公園をご紹介いたします。お楽しみに~。
(写真:フォトアーティスト飯富崇生)
芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:世界遺産タオス・プエブロ&アコマ・スカイ・シティ
サンタ・フェの北1時間のところにある世界遺産タオス・プエブロと、サンタ・フェの西約3時間のところにあるアコマ・スカイ・シティは、ともにネイティブ・アメリカンの人たちが昔の生活を保ったまま、今も生活している場所である。日干し煉瓦でできたアドビ建築の家に住み、電気も水道もない生活。それだけ聞くとびっくりするが、両方の場所を訪問し、話を聞いてみると、現在では昼間は外で働き、夜にそこへ帰ってくるという生活をしている人がほとんど、とのことだった。両区域ともエリアに入るのに入場料と、カメラ1台につきタオス・プエブロが5ドル、アコマ・スカイ・シティが10ドルを払わなければならない。しかもそれらの写真は、雑誌やインターネットへの掲載は禁止のため、これらの写真を見たことがある人はあまりいないだろう(商用利用する場合は、事前に許可が必要)。もしサンタ・フェに行く機会があったら、タオス・プエブロはとても近いので、ぜひ一緒に行ってみよう。
アクセス情報
最寄りの国際空港:アルバカーキ国際空港。2007年8月現在、日本からの直行便はないので、アメリカ西海岸各都市やテキサス州ダラスフォートワース国際空港を経由する。アルバカーキからサンタ・フェまでは、フリーウェイI-25で約1時間。直行バスあり。周辺観光地
タオス・プエブロ、アコマ・スカイ・シティ、チマヨ、チャコカルチャー国立歴史公園、ロズウェル、ホワイト・サンズ国定公園、カールズバッド国立公園など。