9月に入り、少し涼しくなってきましたね。夏休みが終わったこともあり、海外航空券がどんどん安くなります。まだ夏休みを取っていない人、夏どこにも行けなかったのでそろそろ……と考えている人は、10月、11月がねらい目ですよ。特にアメリカはこの時期安いです。さて、前回のメテオ・クレーターはいかがでしたでしょうか? あのクレーターの存在を知ったら、"地球"や"宇宙"について、考えてしまいますよね~。

今回はちょっと不思議な"木の化石"を見ることができる、化石の森国立公園をご紹介します。

化石の森国立公園なのに公園前半に"木の化石"は登場しない!?

化石の森国立公園は前回ご紹介したメテオ・クレーターから車で約1時間のところにある国立公園。フリーウェイI-40を挟んで南北に長い公園で、入り口は北と南に2カ所ある。観光では、I-40からそのまま入れる北エントランスから入り、南エントランスに抜けるのが一般的なので、このコラムでもそのルートに沿って紹介する。

I-40を降りてすぐビジターセンターがあるので、ハイキングなどの予定のある人はここでレンジャー(自然保護官)に相談して出発しよう。ビジターセンターを出るとすぐ右側に「Painted Desert Inn」が見えてくる。ここは、1924年にホテル&レストランとして建てられたが、2006年5月にリニューアルされ現在は、ギフトショップ兼ミュージアムになっている。同施設では、ネイティブ・アメリカンの歴史が分かる展示などが行われている。

化石の森国立公園 (Petrified Forest National Park)の看板です

公園内にはたくさんのビューポイントが設置されているので、1つ1つ車を降りて台地を見てみると、いろいろな地層があることに驚かされるだろう。だが、公園の前半部分にあたる北側には期待する"木の化石"は出てこないので、そのつもりで見学を。

公園の真ん中あたりに、プエルコ遺跡(Puerco Pueblo)がある。これは1300年代のネイティブ・アメリカンの遺跡で、多い時には100以上の部屋に、200人以上もの人が暮らしていたと言われている。しかし現在は、日干し煉瓦で積み上げられた建物の一部が残っているだけだ。遺跡周辺の石には壁画も残されているので、一緒に見学するといいだろう。

プエルコ遺跡の次のビューポイントは、ニュースペーパー・ロック(News Paper Rock)と呼ばれるポイントだ。ここはプエルコ遺跡やプエルコ遺跡周辺にあったものよりも、より多くの壁画が残されているが、壁の近くまで行くことはできず、かなり上の方から見下ろさなくてはいけない。できれば、双眼鏡やカメラの望遠レンズを持って行ったほうがいい。

プエルコ遺跡。現在、これぐらいしか残っていないのが残念です

望遠レンズを使って撮影しました。肉眼でも一応見えます

いよいよ登場、"木の化石"

木の化石は、ちょうど公園の中間あたりを過ぎたところ、ブルー・メサと呼ばれるビューポイントで現れる。展望台から台地を見ると、コロコロと小さい切り株状のものが転がっているのが分かるが、遠いので良く見ないと見落としてしまうかもしれないので、注意して見てみよう。ここは地層が特徴的。化石の森国立公園を入ってからここまで、基本的に赤い土ばかりが目に付くのだが、このブルー・メサから見える大地は灰色なのだ。地層は全体的に灰色や黒で、少しだけ赤が混ざっているというようになっている。他と比べると、まるでここだけ病気をしてしまった土地のように感じるのが面白い。

ブルー・メサ。真ん中に木の化石があるのですが、地層のほうに目がいきます

このブルー・メサを超えるとビューポイントだけではなく、道路わきにも木の化石がいっぱいあるので、近づいてよく観察してみよう。遠くから見ていると、ただの石にしか見えなかった化石だが、近づくと普通の切り株と同じ形をしていることがわかる。年輪もはっきり見え「本当に元は木だったんだ」と思うだろう。顔を近づけてよく見ると、所々がキラキラ輝いている。それは、木の所々がクオーツやアメジストなどの宝石に変化しているから。もちろん持ち出し厳禁。

そこからしばらく行くと、左側にアゲート・ブリッジ(Agate Bridge)がある。これは、100フィート(約3m)の化石になった木が枯れた川にかかっている場所だ。いつ崩れるか分からないため、現在は、下の部分がコンクリートで補強されている。結構近くまで行くことができるが、もちろん渡ることはできない。

アゲート・ブリッジ。こんな大きな木の化石があるなんて、すごいですね

綺麗な化石が登場です

南エントランス近くのビューポイント、クリスタル・フォレスト(Crystal Forest)、ロング・ログ(Long Logs)、アゲート・ハウス(Agate House)、ジャイアント・ログ(Giant Logs)には、それぞれトレイルが敷かれており、たくさんの木の化石を見学しながら歩くことができる。どのトレイルもあまり高低差がなく短いので、誰でも気軽に入ることができるだろう。しかし、どのトレイルも風景があまり変わらないので、全てを歩く必要はない。ちなみに、私たちはクリスタル・フォレスト とロング・ログをちょっとだけ歩いてみた。両方ともトレイルの出発地点付近に大きな化石がたくさんあったので、時間がない人はそのどちらかを見てみるといい。

クリスタル・フォレストのトレイル入り口周辺です。木の化石がゴロゴロしています

次回はアートの街、サンタ・フェの見所をご紹介します。お楽しみに~。

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:木が化石になる理由
2億年以上前、この辺りは森だった。倒れた木は川によって下流に流され、川の蓄積物の中に埋もれ、木は酸化から免れた。そして近くの火山の火山灰から解け出たミネラルがそれらの木に浸透し、木の成分と結合した。そうやって長い年月をかけて、木が化石となったのである。(オフィシャルサイトより)
アクセス情報
最寄りの国際空港:フェニックス国際空港。2007年8月現在、日本からの直行便はないので、アメリカ西海岸まで約10時間、それから乗り継ぎで約1時間。フェニックスから車で、I-17→I-40を通り、約4時間半。最寄りの都市は、フラッグスタッフ。フラッグスタッフからは、前回ご紹介したメテオ・クレーターと共に回る日帰りツアーあり。
周辺観光地
グランド・キャニオン国立公園、グランド・キャニオン・ウエスト(スカイウォーク)、セドナ、メテオ・クレーター、モニュメント・バレー、アンテロープ・キャニオン、キャニオン・ディ・シェリー、アコマ・スカイ・シティなど。