全国各地で勃発する嫁姑問題。Twitterでは3人の男の子を子育て中の秋山さんの義母ツイートが話題を呼んでいる。「孫の誕生日プレゼントは水ようかんの空き容器」「手土産にお菓子よりも現金を要求する」......そんな衝撃的な義母との終わらない戦いに挑む秋山さん。今回は「長男の習い事」の話をお届けしよう。

  • 長男が始めた習い事へ義母の一言

    長男が始めた習い事へ義母の一言

習い事を始めた長男

小学1年生の長男が習い事を始めた。保育園時代にも何度か提案をしたことがあったのだが、全て「やりたくない」と言われていた。年長児で習い事をしていなかったのは長男の他には2人しかいなかったので内心焦りもあったが、本人がやりたくないと言うのだからどうしようもなかった。

このまま家と学校の往復の合間に宿題とゲームをする生活なのか、と思っていたところ、ある日突然どこから貰ってきたのかプログラミングとそろばん教室のチラシを私に見せ「これをやりたい」と言ってきた。話はとんとん拍子に進み、見学のあとそのまま入会し今に至っている。

特にプログラミングは通うたびに新しい発見があるようで、教室のある日は学校から走って帰ってくる。私はというと、もともと横文字が苦手で数学どころか算数でつまずいた人間なので、あと一年もすれば本人の言うことの半分も理解できなくなるのではと焦り、こっそり図書館で本を借りて勉強中だったりする。

ただ子どもが毎回習い事の帰り道でその日習ったことやできるようになったことを楽しそうに話してくれる姿は親として嬉しいもので、好きなことはどんどん伸ばしてほしいなと思っている。

義母の反応は?

習い事の件はお義母さんにも伝えた。孫がそろばんを始めたことについては大いに喜んでいたし、「知人がそろばん十段を持っている。周りに十段を持っている人は中々いないんじゃないか」という「優秀な知人がいる私」の話も聞くことができた。以前は確か「知人の子が海外で双子を産んだ。海外で双子を産む人なんて周りに中々いないんじゃないか」という話だった気がする。

「私はめちゃくちゃ計算が苦手だったので、頑張って続けてくれたらいいです」と言うと「私は理系で数学の偏差値は70を超えていたから、私の遺伝子が孫ちゃんにちゃんと伝わっていると良いわね」と言われた。私は文系だけどそんな発言をする姑の気持ちは理解できそうにないし、私が理解できそうにない、と思うに至った姑の発言を本文中から抜き出して答えよ。(配点50)

問題はここからである。プログラミングも始めました、と言うとお義母さんの眉間に皺が寄った。

「ぷろぐら……?」

私もあまり詳しくないのだが、独自の言語で機械に指示を出して動かすことをパソコンを使って学ぶのだ、という説明をした。それでもお義母さんの顔はハテナでいっぱいだった。そして明らかに不機嫌そうだった。

たぶん周りにプログラミング10段の知人も、海外で双子のプログラミングを産んだ知人もいないからである。自分が理解できない話になるとお義母さんは分かりやすく嫌な顔をする。そして、どうにか自分優位に話を持っていこうとする。

「そんなお遊び、楽しいの?」

こうくるのである。知識で勝てないとすぐに批判をする、お義母さんの悪い癖だ。

今年度から小学校でもプログラミングは必修化されたので、いつか役立つときが来ると思います。だいたい自分が理解できないからって長男が好きで楽しんでいることを悪く言うなんてどうかしているんじゃないのか、の前半部分だけ伝えた。

ある動物実験では、老化したマウスは興奮パターンが固定化するという結果が出ている。Aのレバーを押すと美味しい穀物が出るとマウスに学習させる。その後その美味しい穀物がBのレバーから出るように設定すると、若いマウスは順応しBのレバーを押すようになるのだが、老いたマウスはずっとAのレバーを押し続けるらしい。老いると頑固になるという一端を見た実験なのだが、目の前でまさに同じことが起こっている。

パソコンのダブルクリックを理解できない人間は、横文字というだけで拒否反応を起こし「私の時代はそんな習い事なかった」と怒りのAレバー連打マシーンと化すのだ。

「結局ゲームみたいなものなんでしょ? ゲームは良くないわよ、ゲームばっかりするとキレやすくなるんだから」

ゲームをやったことがないお義母さんはキレていた。

「ゲームばかりしていると、仮想と現実の世界の区別ができなくなるのよ」

でも私は今まで一度も土管からジャンプして出ようと思ったことがない。だから大丈夫だと伝えた。もちろんお義母さんはマリオのことなんて知らないので全く伝わっていなかったが、別にどうでもいい。

義母が思い出したこと

ここまでくるともう何を言ってもお義母さんの耳には入らない。ただ子どもにゲームをやらせる嫁という悪い印象が残っただけである。

私は義実家で疲れたときは「ああーーー」と声に出すようにしている。溜まったストレスを声に出すことは大事だ。急に大声を出すと大抵の人間は驚くのだが、この家に限っては皆ノーリアクションである。誰も私の話など聞いていないのだから。

この日も自然とため息のような声が出た。そのとき、お義母さんが「あ」と言った。ヤバい、普段何も言われないからと調子に乗って声が大きくなったか、と思っていたら

「その声で思い出したんだけど、私の知人に民謡の全国大会に出た人がいるのよ」

どうでもよすぎた。

しかしながら、今後プログラミングに対する理解を求めるには、お義母さんがプログラマーをパーティに迎え入れるしかないことが分かった。全国のプログラマーの皆さん、うちの義母と友達になってください。