国内でLCC(格安航空会社)に乗る時に困惑するのが、飲食物の持ち込み制限ではないだろうか。事実、会社によってルールが大きく違うのだ。
お酒以外持ち込みOKでも意外な販売が
ジェットスター・ジャパンは温かい飲み物の持ち込みを禁止し、もう撤退したがエアアジア・ジャパンは飲食物を機内に持ち込んで口にすること自体をNGとしていた。前者のジェットスターは危険防止のためで、後者のエアアジアは機内販売の売り上げを上げるためである。
一方、ピーチは航空法で禁じられている濃度の高いアルコールなどの「危険物」を除けば持ち込みは自由。ビールとお弁当を買って機内で食べても何も言われない。ただ逆にジェットスターやエアアジアの場合、機内で「胃薬が欲しいから水をください」と言えばくれるが、ピーチは「ペットボトルの水を1本100円で販売しております」とCAから返される。
ちなみに、バニラエアは飲み物やお弁当程度の持ち込みは自由だが、アルコール類を機内で飲むことはできない。ここまでルールがバラバラだと覚えるのに一苦労である。
追随せず独自の方針で利益を上げる
この違いはひとえにサービス方針の違いだ。JALやANAのような大手航空会社はほぼ均一といえる規定を持っている上に、1社が新しいサービスを実施するともう1社も見劣りしないように追随するため、結果としてサービスが均一化されることになる。
ところがLCCは追随などしないし、独自の営業方針で運航する。LCCはどのコスト(経費)を削減し、何で利益を上げるかは会社による。営業方針が大きく違うから、ルールやサービスも会社によって大きく違ってくるわけだ。
日本には長い間、大手航空会社やスカイマークなどの新興エアラインしか飛んでいなかった。しかし、そうした航空会社とLCCは似て非なるもの。人が一度思い込んだ認識を変えるのは難しいが、「同じく飛行機を使って乗客を運ぶ会社ではあるが、まったくの別物」と考えないと、LCCを気持ちよく利用することはできないだろう。