Vol.15 結婚ってどうして必要なんですか?
こんにちは。この連載を見て、私と同じく草食女子が本当にいたんだ!と思ってメールしました。
私もバリバリ草食女子です。そして、恋愛が面倒で仕方ないです。でも最近、親が結婚しなさいとうるさくなってきて、渋々お見合いに行くことになりました。
でも全然やる気がおきません。多分顔に出ちゃうと思います。
結婚てなぜするのでしょう? 女性も働き口を持ってますし、離婚する可能性だってあるし……結婚した友達から聞く話は旦那の悪い癖(女性とかお酒)ばかりです。
もうちょっと結婚っていいものだって思えれば、お見合いのモチベーションも上がると思うのですが。
酒井先生、結婚ってどうして必要なんですか?
(31歳・女性・Webデザイナー)
誰かのために生きる、謙虚な気持ちを忘れさせない……結婚のよさについて
………私をドキドキさせる質問をしてくれてありがとう。結婚ってどうして必要なんですか? と聞かれて「どうして学校へ行かないといけないんですか? 」とか「どうして生きないと行けないんですか? 」というような質問をされたのと同じくらいのプレッシャーを感じました。
こういったことを「どうして? 」と思う人は、とてもマジメに自分の生き方を考えている人だと思います。たぶん、あなたの周囲にいる同年代の友だちで、すでに結婚している人は、きっとあまりこういうことを考えずにポーンと結婚してしまっている楽天家な人か、うまく隠しているけれどよく見ると肉食系の人か、どちらかであることでしょう。
私は結婚していますが、正直言って「結婚していていいこと」があまり思いつきません。では、独身のまま今の年齢(もうすぐ40才)になっていたらどうだっただろう……と考えてみると、それはそれでたぶんきっと別の不満があっただろうと、容易に想像できます。
どちらの道を選んでも、100%満足ということはあり得ないのでしたら、結婚してみる勇気を出してみよう。自分ひとりではできないことに挑戦してみるのもいい……やらない後悔よりもやってからの後悔だ! というのが結婚したときの正直な気持ちでした。
というわけで、実際に結婚しちゃったので、結婚のいいところも挙げてみます。
- さみしくない。30代前半と30代後半とでは、つのる孤独感にまったく違いがあります。若いときは「さみしさ」なんて、そんなに身に染みないのですが、30代後半からのさみしさは、酒でも飲まないとやってられない、危うい感じになってくるものです。私はたまたまお酒も飲めないので、よく行く鍼の先生から「あなたって外見と裏腹で、うまくストレス解消(お酒もタバコも男もカラオケもやらない)できないから、独り身が長いと心にガタがくるわよ」とおどされたものでした。
- 仕事をしているだけでは知り合えないタイプの人と知り合える。私は人見知りなので、人間関係を広くしたい、という気持ちもとても薄いのですが、結婚して子どもがいたりすると、どうしても必然的に交際範囲が広がります。ハッキリ言って、それも非社交的な私にはつらかったのですが、中に「この人と出会えて本当によかった」という人が何人かいます。彼女、彼らと出会えたことは、本当に幸せだと思います。
- 最後に……こういうことを言うとうら若い娘さんの夢を奪いかねませんが、結婚相手と「同志」のような関係になれる。
ええ、たぶん、私は草食系なので、もともと男性に対して燃えるような愛を感じたいとか、たまには子ども抜きで夫とふたりの時間をとか……思いません(そういう意味でも、草食系の人こそ、家事・子育てに非常に向いていると思ってます)。
結婚していると、いいことばかりではなく、さまざまな問題も噴出します。子どもが学校でケンカをして、友だちの家に謝りに行くとか、自分や結婚相手の親が入院するとか、イロイロあります。そんなとき、ひとりで問題に対処するのではなく、同志がいて、一緒に問題解決にあたってくれるのは心強いものです。
働いて自活して、賢くて、計画性が高く、マジメに自分の生き方を模索している女性ほど「自分のことは何でも自分でできる」と思ってしまいがちです。でも、人は誰でも(フリーで働く非社交的な私でさえも)自分だけで生きているのではなく、誰かに生かされています。若いときは、自分だけのために生きるのもいいと思いますが、年を重ねると「誰か」のために生きることの大切さに気づいていくものです。
で、結婚したほうが、誰かのために生きることを、自然に実践しやすくなるのではないか。「自分で何でもできる」気持ちから一歩下がって、謙虚な気持ちを忘れずにいられるのではないかと私は思います。
あなただけでなく、多くの女性のみなさんが、結婚の意義や意味に疑問を抱くのは当然のことです。その一因として、現代女性の生き方や生活スタイルが、これまでの、夫が働き、妻は専業主婦で子育てが基本の「結婚」スタイルや、それ主体の結婚制度・法律とまったくマッチしなくなってきた、ということもあると思います。
親世代とは違い、終身雇用制が崩壊しているのですから、これからは、結婚しても夫婦で働き続けることが基本になっていきます。
日本も、社会や会社、法律、それと、男性の心が現代女性の考えに早く追いついてくれないと、ますます結婚という制度は成立しづらくなる一方です。
たとえば、フランスのように婚外子も法的に守られていたり、スウェーデンのように結婚して子どもがいても女性が働きやすい社会福祉制度が充実していることは基本中の基本といえます。個人的には夫婦別姓制も、いまだにあきらめきれないのぞみです。
既存の「結婚」に納得できなくても、通い婚や事実婚、マスオ婚など、自分だけに向いた結婚も視野に入れれば、自分に合った結婚がみつかるかもしれません。結婚を必要と思うかどうかは、自分の心のあり方次第なのです。
ぜひ、さまざまな角度から「結婚」をみつめて、自分にぴったりの結婚スタイル、先見の明と柔軟な心を持った男性をみつけてほしいものです。
恋のお悩み、募集してます
マイコミジャーナルでは、酒井冬雪先生への恋愛相談を募集中です。結婚相手がいる人、いない人に関わらず、結婚もしくは婚活へのお悩み、恋愛相談など、随時受け付けております。年齢、職業、性別を書き添えた上でこちらまでご応募ください。掲載する際には、編集部よりメールでご連絡を差し上げる場合がございますので、ご了承ください。