日本全国のサラリーマンに聞いてみたいことがある。帰宅後に得られる自由時間を、どの程度お持ちなのかと。大多数は一日の大半を仕事に費やし、帰ってからも家人とのコミュニケーションに時間を取られ、ホッと息をつけるのは数時間程度のはず。なかには「睡眠時間を削れば十分確保できる」という御仁もいるだろうが、私シバタの年齢では睡眠時間が一日三食よりも大事。8時間は寝ないと本誌編集者という激務には耐えられないのだ。
そもそもWebニュースサイトというのは、月刊誌や週刊誌と違って〆切が毎日迫ってくる媒体である。シバタは本誌編集者になる前、某月刊誌の編集部で働いていた。もちろん過酷な面もあったが、校了(すべての作業が終了し、あとは印刷所のお仕事となる状態。編集者には至福の時である)という月々の切れ目でリフレッシュできたのだが、Web媒体ではそんな意識を切り替える余裕もなく、日々ニュースやライターから上がってくる原稿に追われる日々。
もちろん好きな職種なので、多忙であること自体に不満はない。問題はスタッフの数である。本誌PCチームは結構な量の記事を掲載しているが、それでもたったの○人。膨大な情報を裁くには、圧倒的にマンパワーが足らず、夜討ち朝駆けの仕事を強いられているのだ。某部長はスタッフの過酷な労働を知ってか知らずか、今日も「飲みに行くぞっ!」の号令を遠慮なくぶつけてくる。もう勘弁してください。シバタのヒットポイントはゼロなんです……。
話は脱線したが、言いたいことはただひとつ。"自由時間が足りない"ということだ。DVDビデオや録画したTV番組を見る時間も確保できず、DVDのトールケースは積み上がり、録画したファイルはHDDの空き容量を圧迫していく。そこで傍若無人な某部長の命令を思い出した。この連載である。録画したファイルを「Aspire easyStore H340」に保存し、「Aspire one D250」で視聴できないかと。
まず、「Aspire one D250」はネットPCのため、DVDドライブを搭載していないので、DVDビデオを視聴するには、一度AVI形式にしなければならない……と思ったが、そもそも時間短縮のための視聴環境作成で、動画エンコードなどという時間のかかる作業は本末転倒。そこで方針を変え、DVDビデオはISOイメージファイル化し、動画ファイルはそのままWindows Home Server(以下、WHS)のビデオフォルダに投げ込むことにした。
DVDビデオのファイル化はDVD Decrypterを使用。<モード>メニュー→<ISO>→<読み込み>を選択すると、ISOファイルの出力が可能になる |
作成されたISOファイルをWHSのビデオフォルダにコピー。なお、本作業を「Aspire one D250」で行なうにはパワー不足のため、自宅のデスクトップPCで行なっている |
動画プレーヤーは、先頃メジャーバージョンがリリースされたVideoLAN(VLC media player:以下、VLC)を使用。同ツールのくわしい内容は本誌記事をご覧頂きたい。先のISOイメージファイルをVLCで再生すれば、何ら問題なく「Aspire one D250」でDVDビデオ(をISOイメージファイル化したもの)を再生できるようになった。思わぬ利点が想像以上に動画がキレイな点。これは「Aspire one D250」のデスクトップ解像度が1,024×600ピクセルで、DVDビデオの解像度は720×480ピクセルのため、ほぼ等倍程度で済むからだろう。
あとはビデオキャプチャボードで録画した番組だが、こちらはDivXを用いた圧縮を行なったAVI形式なので、コーデックを入れればWindows Media Playerでも再生できる。もちろん、ちまちまとコーデックをかき集めるのは面倒なので、メジャーなコーデックをパッケージングしたK-Lite Codec Packを導入することにした。これでDivXやXviDなど各圧縮形式を用いた動画ファイルもライブラリに並ぶようになった。
WMPの初期状態ではWMV(Windows Media Video)形式のファイルしかライブラリに表示されない。ちなみにサムネイル画面はWMVのサンプル動画 |
コーデック導入後はビデオキャプチャした動画ファイルもライブラリに並ぶようになり、TV動画の視聴環境も完成した |
これで一通りの動画再生環境が整ったが、後はどこで動画を楽しむか。ここで同僚I氏の発言「お風呂でPCって良いですよ」を思い出した。そのときは一服タイムの軽い冗談だと思って聞き流したが、よくよく考えてみれば、ノートPCにかかるかも知れない水沫さえどうにかすれば決して非現実的ではない。
となると、肝心なのが防水対策。ラップ類を使って「Aspire one D250」をくるもうと思ったが、動画の音声がくぐもってしまうため泣く泣くボツに。大きめのビニール袋も試してみたが、今度は動画自身見えにくくなってしまい、やはりボツ。あれこれ試してみた結果、風呂フタを引いた上に適当な雑誌を引き、その上に「Aspire one D250」を置くことにした。
湯船に入る際など動きに気をつければ、ほとんど水しぶきも飛ばず良い具合なのだが、唯一気になるのが湿気問題。外面的にはわかりにくいものの、「Aspire one D250」の内部パーツが錆びてしまうかもしれない。そのためお風呂のドアは開けることで湿気を逃がし、風呂場の換気扇をフル稼働で対応することにした。これで、バスシアター(?)の完成である。家人には怪訝な顔をされるが、そんなことは気にしない。シバタだけのリラックスタイムなのだ。
さて、この後はどうしようかと編集部内で思案していたところ、前号までの掲載レポートを読んだ某部長が一言こう述べた。
「シバタ、オマエに渡したマシン回収な。俺が使ってみたくなったから」
……何ですと!? 無理に機材を渡して「原稿を書け」と言ったと思えば、自分が使いたいから機材回収とは。ワガママと言うより鬼のような仕打ちじゃないですか。せっかく4回に渡って、あれこれと使い込んできたマシンにも愛着もわき始めたのに……。もちろん部下の机をみかん箱に取り替えようとする部長様に逆らうこともできず、我が家の子になりつつあった「Aspire one D250」と「Aspire easyStore H340」は、鬼部長の元へ旅立っていくことに。シバタ的には不完全燃焼だが致し方ない。
ということで、些末な内容ながらも「Aspire one D250」と「Aspire easyStore H340」のレポートをお送りさせて頂いた。シバタ的には当初、想像した以上に「Aspire easyStore H340」によるWHSの利便性は高く、「Aspire one D250」の軽量感は愛着を持ってしまったほど。ところで某部長、「Aspire easyStore H340」を個人的に購入したいのでボーナスに色を付けてもらえない……ですよね。はい。