本日は某部長の人の鋭い眼差しに耐えられず、休暇を取った私ことシバタである。もちろんサボリではない。有給休暇は労働者の権利であり、そもそも日本人は休まなさすぎるのだ。そんな社会的問題に意識を向けながら、せっかくの休みの日に業務を行なうあたり、やはりシバタは社畜なのかも……と自分の人生設計が大きくズレ始めていることに思いを馳せつつ、「Aspire easyStore H340」の設置に取りかかった。

「Aspire easyStore H340」のポイントは、小型/静音/低消費電力化と、そして光学式ドライブやVGA出力の排除、2台以上のHDDを搭載可能にするなどの、Windows Home Server専用機とするために特化したハードウェア仕様である。

Windows Home Serverロゴ規程を満たしていることを示す、本体左側に貼られたWindowsシール。Windows XPやVistaといったクライアントOSのシールと比べるとやや地味な印象を受ける

ここでWindows Home Serverについて、もちろん本誌読者の皆様はご存知かと思うが、「ホームサーバ? なんですかそれ?」などと、IT系編集者にあるまじき発言をしていた某同僚ヒガ氏のためだけに説明しておこう。

Windows Home Server(以下、WHS)とは、2004年頃からMicrosoftが開発したエントリーユーザー向けのサーバOSで、基本的な使い道は、いわゆるファイルサーバである。もちろんWindows Server 2008といったサーバOSは以前から存在するものの、個人向けファイルサーバとして使うにはオーバースペックなのだ。WHSは、あくまでも個人ユーザーのデータファイル管理を簡単にし、複数のコンピュータもしくはユーザーが扱えるようにしたものだ。

一見すると、通常のWindows XPやWindows Vistaを使用したファイル共有でも十分と捉えるかもしれないが、クライアントOSは基本的に同時接続数の制限が設けられ、大量のアクセスが発生するとクライアントOSのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことも。そのため、データの肥大化が著しい現在こそ、WHSのような個人向けファイルサーバが必要なのである。

ちなみに「Aspire easyStore H340」のHDDスロットは4基用意されているが、うち3基に3.5インチSATA 1TB(7,200rpm)を搭載。1基はWHSがインストールされたデータ領域用。残り2基はホットスワッピングをサポートしたデータ領域用。全部で2.71TBまで使えるため、通常の使用方法ならこれで十分だが、最近安くなりつつある2TBのHDDを残りの1スロットに増設しても楽しそうだ。

「Aspire easyStore H340」のHDDスロットは4基。うち3基に3.5インチSATA 1TB(7,200rpm)が搭載されている

HDDトレイはドライバーレス設計のため、HDDをうまくはめ込めば、すぐに増設できる。メンテナンス性も高そうだ

さて、説明はこの程度にし、早速「Aspire easyStore H340」の設置に取りかかる。適当な場所に本体を設置して、電源ケーブルを本体と電源タップに、LANケーブルを本体とハブに接続すれば、それだけで完了。あとはクライアントにWindows Home Serverコンソール(以下、WHSコンソール)を導入するだけだ。

本体背面には、左からeSATA端子、LAN、USB×4と並ぶ。電源ケーブルとLANケーブルを接続するだけでセットアップ完了

写真では少々わかりにくいが、各LEDインジケータはブルーを基調としたものが多くキレイだ

一見難なく進むセットアップだが、シバタは根本的なことを忘れていた。「Aspire one D250」には光学式ドライブが用意されていなかったのだ。これは、ネットブックと呼ばれるジャンルに属する同製品なので致し方ないところではある。今回は、ネットワーク上に別途用意したコンピュータの光学式ドライブに共有設定を施し、この問題をクリアした。

DVDドライブのプロパティダイアログを開き、<共有>タブにある<詳細な共有設定>ボタンをクリックすると起動するダイアログで、<このフォルダを共有する>にチェックを入れ、<OK>→<OK>とボタンをクリックすれば共有設定完了

デスクトップの光学式ドライブにセットアップDVD-ROMを挿入すれば、「Aspire one D250」からセットアップが実行可能になる

早速「Aspire one D250」から「Aspire easyStore H340」のセットアップDVD-ROMを実行すると、ここでまた問題が発生。デスクトップにセットアップダイアログがすべて表示されないのである。「Aspire one D250」のデスクトップ解像度は1,024×600ピクセルと、XGAには100ピクセルほど足りず、ダイアログ下部が見切れてしまうのだ。

ここでモチベーションが一気に下がり、すべてを投げ出して北の寒空の中、日本海でも見に行こうかと、逃避行動が頭の中を駆け巡る。しかし、"みかん箱"と某部長の鬼のような顔が浮かび上がり、瞬時に我に返った。某アニメのように逃げ出そうとする自分を鼓舞しながら、「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……」と、もう少しだけ悪戦苦闘することに。

同セットアップダイアログには最大化機能がないため、どうしようかと考えあぐねていると、フッと思い出した。ダイアログを移動させてみると、そこには<次へ>ボタンが。そもそもWindows OSでは、多くの場合デフォルトの選択が<次へ>ボタンとなっているケースが多い。試しに[Enter]キーを押してみると……WHSのセットアップが始まった。一安心である。

見切れているWHSのセットアップダイアログ。WHSに触れるのが久々過ぎて、どのような操作を行なえばいいのか思い出せなかった

[Enter]キーを押すと、無事セットアップが始まった。あとはパスワードの設定やWHSの自動アップデートなどを行なえばセットアップ完了だ

WHSセットアップを終えて、何を始めようかと考えつつ、思い立ったのが「Aspire one D250」のバックアップ。とかくバックアップとは、その重要性を理解しながらも、ついつい怠ってしまう作業のひとつである。バックアップソフトの導入やバックアップ領域の管理といった、雑多な手間がかかるため、誰でもついサボってしまった経験があるはずだ。

WHSはクライアントの自動バックアップ機能を兼ね備えており、WHSコンソールを導入したコンピュータであれば、設定を行なうだけで、あとは何もせず自動的にバックアップを行ってくれる。細かい設定手順は画面を追っていけばわかるようになっており非常に簡単だ。つい先日、せっかく徹夜で書いた原稿が、HDDのトラブルで藻屑のように消えてしまった某同僚ヒガ氏にもお勧めしたい機能である。

WHSにログオンするとWHSコンソールが起動するが、セットアップダイアログと同様、ダイアログがすべて表示されない……

<コンピュータとバックアップ>ボタンをクリックし、コンピュータを選択してから、<バックアップの構成>ボタンをクリックするか、右クリックしてメニューから同項目を選択すると……

バックアップの構成ウィザードが起動。これでWHSクライアントとなるコンピュータのバックアップを設定できる

最初にバックアップ対象となるドライブを選択する。「Aspire one D250」に搭載されているドライブは1基のため、何も考える必要はない

バックアップ時に除外するファイルは自動的に列挙され、追加することも可能だ。休止状態ファイルやシャドウボリュームのデータを除外するあたりが、Windows OSを開発している会社らしく便利だ

これでバックアップの構成ウィザードは完了。深夜0時から早朝6時までの間にバックアップされるらしい

手動バックアップも可能。初回はすべてのファイルを転送するため、あらかじめ手動バックアップを実行しておいた方がよい

これでWHSの設置も完了したが、まだまだ楽しいデジタルライフへの道は長い。いつになったら楽しい休暇を満喫できるのかわからないが、次回は「Aspire easyStore H340」のWHSに関する設定と、「Aspire one D250」の連動を試してみることにしよう。

(続く)