突然ですが、あなたはポジティブ思考派ですか? それとも、ネガティブ思考派ですか?
もし、あなたが物事をネガティブにとらえがちで、四六時中ストレスを感じているとしたら、「何でもかんでも、過剰なまでにネガティブに解釈するクセ」をもっていませんか?
今回は、そんなクセを解消できる方法を紹介します。
常にストレスフルな人の特徴
例えば以下のような場面を経験したことはないですか? 自分に当てはまると思う項目をチェックしてみてください。項目下の文章は例文となります。
□完璧でなければ気がすまない
主宰したイベントの参加者からアンケートを100枚回収し、うち99枚が5点満点で5点(最高評価)だった。しかし、残りの1枚が1点(最低評価)だったので、「このイベントは大失敗で何の価値もなかった」と思う。
□1度2度起きただけの悪いことを、「全てがそうだ」と認識してしまう
よくランチにいく飲食店。いつもは何の問題もないが、ある日、たまたま自分のオーダーが通っていない店員がミスをした後、「あの店は、いつも私のオーダーをミスする」と考える。
□ひとつの悪い部分にばかり目がいく
顧客へ営業提案をして受注できたが、プレゼンのときに、一か所だけ上手く話せないところがあった。「受注できたのはたまたまだ。それよりも、なぜあの部分で、あんな下手な伝え方をしてしまったのだろうか」と延々と後悔を引きずってしまう。
□何でも、悪い方向にすり替えてしまう
営業担当として、A社から大きな受注を得たけど「これだけの受注をしたということは、ミスをしたらとんでもない損失を自社に与えてしまうということだ」と考えてしまう。
□相手の自分に対する印象を勝手にネガティブに決めつけてしまう
ランチタイムに送ったLINEが既読になっているのに1時間返信がない。「即レスがこないということは、気づかずに、不愉快なことをしてしまったのだろう。嫌われたと考えて間違えない」と思ってしまう。
□自分の悪いところを大げさに捉え、良いところを過少に評価する
「●●さんは気遣いができる人だね」と上司に褒められた。「確かにそういう面はあるかもしれないが、その反面、自分には人をひっぱるリーダーシップが圧倒的に欠けている……」と、つい欠けているところに意識がいってしまう。
□根拠のないネガティブな決めつけをする
面接時に「こんなに緊張するなんて、この面接を神様が失敗させようとしているからに違いない。やっぱり自分には無理だ」と思ってしまう。
□「~すべき」という固定概念に極度に縛られる
「忙しくて掃除や洗濯・炊事などは、ちゃんとすべきだ。完璧にできていない自分はなんてダメな人間なんだろう」と決めつけてしまう。
□ネガティブなレッテルを自分にすぐに貼り付ける
「次からここに気をつけてね」と先輩から書類にアドバイスをもらった際、「先輩から書類もまともにつくれない「ダメ人間」というレッテルを貼られた。自分はここにいる価値はない人間だ」と落ち込んでしまう。
□よくないことは全て自分のせいで起きていると考える
運営メンバーとして参加した50人規模のプロジェクトが上手くいかなかった際、「この失敗は自分の不甲斐なさのせいで失敗したのだ。全部、私の責任だ」と誰にもいわれてないけど、感じてしまう。
あなたは、いくつ当てはまりましたか?「普段はあまり当てはまらないけれど、気持ちがダウンするとたくさん当てはまる」なんていう人もいるかもしれませんね。
これら、目の前の「事実」を、ネガティブな方へ、ネガティブな方へ……と「解釈」してしまうクセを「認知の歪み」といいます。
この10パターンのクセに当てはまる個所が多ければ多いほど、ストレスが溜まりやすくなります。
ネガティブ思考を解消する方法
繰り返しになりますが、認知の歪みは、「クセ」です。「クセ」は変えられます。このクセを取り去る方法を2つ紹介しましょう。
●ログ(記録)を取る
自分自身の歪みの傾向を客観視すると、その解釈を自らコントロールできます。ノートを半分に分け、左側を「事実」、右側に「解釈」を記録してみましょう。
文字にすることで、客観的に、『「99人の役にたっている」のにそこを無視して「たった一人の否定的な意見」にだけ目をとられていたな。自分は極度に欠けているところに目がいく傾向があるから、肯定的な面にも目を向けよう』といった傾向と対策が打てますね。
●「3つの良いこと」を寝る前に7日間書いてみる
ペンシルバニア大学のセリグマン教授らが提唱するポジティブ心理学では、寝る前に「3つのいいこと」を書く方法を推奨しています。
小さく些細なことでかまわないので、その日に起きたポジティブなことを書き込んでいくのです。
※iPhoneやAndroidアプリも出ていますので検索してみてください
要は、意図的にポジティブなところに意識を向ける矯正をかけるのです。シンプルですが、とてもパワフルな効果があると科学的な調査結果も出ています。
ぜひ試してみてください。
執筆者プロフィール : 阿部淳一郎氏
株式会社ラーニングエンタテイメント
代表取締役
若手の採用・育成・定着に強い人材開発コンサルタント。早稲田大学教育学部卒。筑波大学大学院(ストレスマネジメント領域)修了。保健学修士。社会人教育を行う東証一部上場企業等を経て2004年に起業。「メンタル不調者を減らし、若者の能力を引き出す」をコンセプトに人材開発業務に従事。大企業から中小・ベンチャー企業、学校、行政まで研修登壇実績は約1500本、コンサルティング実績30社。サンフランシスコ・シリコンバレーへも事業展開中。大学での就職活動領域における講師歴も長い。『これからの教え方の教科書(明日香出版社)』など著書3冊。『NHK』『日経新聞』『読売新聞』『日経アソシエ』『週刊SPA!』など取材実績も多数。
◆株式会社ラーニングエンタテイメント