以前と比べれば、薄型の大画面テレビって安くなりましたよね。私のまわりにも引越しを機に買った人がいます。そのせいか、先日行った電気屋さんでは、いつもは素通りする大画面テレビコーナーでつい足が止まってしまいました。ボーっと画面をながめていたら、突然「新しく出たWindowsを買うとテレビも見られるんだよ。友達がケチって安いバージョン買ったら見られなくてボーゼンとしてんの。」「へぇー、高いの買えばテレビも見られるの?」「そうだよ」と言いながら、カップルが目の前を過ぎて行きました。「ち、違う、それは違うぅ」と口まで出掛かりながら目で追っていたら、少し離れたところにいたメガネのお兄さんも彼らの背中をじっと見つめていました。きっと同じことを考えていたに違いない。
Vistaの話をする前に、テレビを見るにはチューナーが必要です
こんな経験をした後で「Vistaを入れればテレビを見られるようになるのですか」という質問をセミナーなどで数回受けました。残念ながら、Vistaを入れただけではパソコンでテレビを見ることはできません。TVチューナーが必要です。最近では値段も下がり、USB経由で簡単に接続できたり、ワンセグや地デジに対応したりと、さまざまなタイプが出ています。また、ルーターとテレビアンテナにつないで複数のパソコンでテレビを見られるネットワーク対応型のチューナーもあります。
テレビを見るためのソフトウェアは機材に同梱されていますので、対応するOSをよく確認してください。Windows XP対応となっていても「(SP2以降)」と書かれている場合があります。Vista対応製品も、発売時期によってはソフトをダウンロードしなければならないことがあります。購入するときは、細部までよく確認してくださいね。
Vistaにはどんなものがあるの?
さて、Vistaの話に戻りましょう。「Windows Vista」といっても多くの種類があります。大きく分けると
- 機能の違い(エディション)
- パッケージの違い(通常版とアップグレード版など)
- 対応するCPUの違い(32bitと64bit版)
です。まず機能の違いからみていきましょう。エディションは5つあり、店頭販売されるのはこのうち4つです。以下に、エディションの名称と機能の違いを簡単に紹介します。
Home Basic(ホームベーシック)
最も低価格で基本的な機能を持っていますが、低スペックのパソコンでも動かせるように、美しい画面描画が特徴のWindows Aero(ウィンドウズエアロ)などには対応していません。参考価格25,800円(税抜)
Home Premium(ホームプレミアム)
基本機能に加えてテレビやビデオなどが楽しめる「Windows Media Center(ウィンドウズメディアセンター)」のほか、「ムービーメーカーHD」や「DVDメーカー」なども備えています。参考価格29,800円(税抜)
Business(ビジネス)
マルチメディア関連の機能は持たないかわりに、ドメインへの参加やファイルの暗号化、バックアップなど、セキュリティや管理機能などが強化されています。参考価格37,800円(税抜)
Ultimate(アルティメット)
Home PremiumとBusinessの機能を併せ持つ、機能が全部入ったパーフェクト版。最も高価格なだけに追加ソフトをダウンロードできるサービスWindows Ultimate Extrasも用意されています。参考価格48,800円(税抜)
店頭で販売されるのは以上4つのエディションで、このほか、企業向けの「Enterprise(エンタープライズ)」版があります。これは、Business版に複数言語のインタフェースやドライブを暗号化するBitLockerなどの機能が加えられたもので、一般販売されていません。
次にパッケージの違いです。それぞれに通常版と少しお安いアップグレード版がありますが、アップグレード版には対象となる製品があるので注意が必要です(XPからアップグレードする場合はSP2、2000ならSP4でなければなりません)。たとえば、XP Home Editionはすべてのエディションにアップグレードできますが、XP ProfessionalやXP Tablet PC EditionからHome BasicやHome Premiumにはアップグレードできません。また、XP Media Center Edition は、Home PremiumとUltimateにすることはできますが、Businessにはできません。その他、Windows 2000、XP Professional、x64Editionは、クリーンインストールのみの対応です。
ハードディスクやメモリ、ドライブなどのパーツを買い足す場合には、それらと一緒に購入できるDSP版という選択肢もあります。安くておトクなDSP版は、ハードウェアの製造や販売を行う業者向けのWindowsなので、単体で買うことはできません。サポート窓口もマイクロソフトではなく販売店になります(多くはインストール段階での最低限のサポートのみとなります)。教育関係者や学生さん向けの最も低価格なアカデミックアップグレード版はHome Premiumにしかありません。
それぞれのエディションにはCPUの違いで32bit版と64bit版があります。64bit版では4GBを超えるメモリを使えますが、現在のほとんどのユーザーは32bit版で十分だと思われます。パッケージ版には、Ultimateにだけ32bit版と64bit版の両方が入っています。それ以外のエディションでは32bit版を購入後に64bit版を「64ビット版インストールメディア申し込みWebサイト(Windows Vista インストールメディア お申し込みセンター)」から申し込みます。
どれを買えばいいの?
選ぶ場合には、CPUと利用目的から考えましょう。予算に余裕があれば、すべて入ったUltimate がおススメですが、OS単体で通常版は5万円以上します。OSにそこまで出せないと考えるならHome Premiumがいいでしょう。家庭で利用するなら最もバランスが取れています。Home Basicは安いのですが、機能も少ないのでXPから乗り換えるには、あまりメリットが感じられないかもしれません。価格を最優先するならアップグレード版や、実質1,000円程度で販売しているフロッピーディスクドライブとともにDSP版を買うとおトクです。ただし、DSP版は一緒に購入したハードウェアと同時に使用する必要があるのと、XPからのアップグレードインストールができない点に注意してください。
このほか、期間限定特別パッケージが発売される場合もあります。「夏のラッキークーポンキャンペーン」は、2007年7月31日までに対象パッケージを購入し、期間内に申請すると製品に応じて5,000円か2,500円がキャッシュバックされます。年齢による期間限定サービスの「シニア割パック」はHome Premiumのアップグレード版のみ。2007年8月31日までなら無料で回数無制限のサポートサービスを受けられます。こうしたサービスパッケージがないか、事前に忘れずチェックしましょう。
今使っているパソコンが不調気味、買ってから4~5年たつ、ということなら思い切ってPCごと買い換えれば手間も省けて一石二鳥、設定にかかる時間や付属するソフトウェアなども考えれば一番簡単でおトクかもしれません。
さて、自分のパソコンで果たしてVistaは動くのか。それについてはまた次回お話しようと思います。