●コンテンツも個々もめきめき成長中! 新キャラクターコンテンツ発のユニットに要注目
2021年への開催延期が発表された「Animelo Summer Live 2020 -COLORS-」。 そこへの出場が発表されていたアーティストについて、今聴いてほしい楽曲のレビューとともにご紹介し、一緒に”予習”をしていこう! というこの企画。
2回目となる今回は、AiRBLUE、Peaky P-key from D4DJ、Photon Maiden from D4DJの3組(全組DAY1出場 / 五十音順)といった”キャラクターコンテンツの新星”3組をご紹介。この1年ほどで本格的な展開がスタートした3ユニットの魅力について、それぞれご紹介していきたい。
【AiRBLUE】OP曲にして、その時々の大事さを増し続けるであろう、AiRBLUEの”はじまり”の歌
AiRBLUEは"次世代声優育成ゲーム"『CUE!』に登場する、同名の小さな声優事務所に所属する16人の声優によるユニット。Flower・Bird・Wind・Moonといった各4人のチームが寮にて共同生活を送りながら日々のレッスンやオーディションに立ち向かうなかで、それぞれが葛藤を抱えたり、時にはぶつかり合いながらも少しずつ絆を培っていく模様が描かれていく。
また、彼女たちを演じるキャスト陣も新人声優揃いで、作品や演じるキャラクターとともに成長していくことが期待される。
☆この曲を聴け!……「Forever Friends」(ゲーム『CUE!』OPテーマ)
AiRBLUEとしての初シングルであり『CUE!』のOPテーマでもあるため、”はじまりの曲”と紹介されがちであろうこの曲。たしかにサウンドには爽やかで爽快感もあるし、歌声もフレッシュ。その一面も確実に有してはいる。だが、歌詞も追いつつ聴いていくと、実はこの曲にはそれだけでは不十分。
というのも、歌詞の視点がEDにあたっても不思議でないような、はじまりの日を振り返るようでさえあるもの。なので、本当の”はじまり”のタイミングにおいてこの曲は、未来の自分から今の自分へあてたメッセージのようなものなのだ。
だが、なぜそういった方向性が取られたのか?
作中、各チーム約30本のシナリオの中だけでも、AiRBLUEの16人は声優としても人間としてもめざましい成長をみせる。そして前述の通り、彼女たちを演じるキャスト陣も日々を重ねるごとに成長をみせていくだろう。そんな彼女たちが幾度となく歌うであろう曲は、やがて”はじまり”だけでは足りないものにきっとなる。
だからこそ最初の1曲を”はじまり”だけではなく、成長とともにさらに重みや大事さを増していくであろうものとしたのだろう。この曲とともに走り続けるなかで、培った絆や思い出が歌詞にいっそうの説得力を与え、歌う際にボーカルに込める想いもさらに膨らんでいくはずだ。
だからこそ今年のアニサマで、1年分の想いが積み重なったこの曲を聴きたかった――という気持ちも、正直ある。2021年の夏には2年分の重みをもった「Forever Friends」を、アニサマのステージで私たちにみせられる日が来てほしいと、心から願う。
ちなみにこの曲、チームごとのバージョンも存在。16人のユニゾンによるチーム感も魅力ではあるが、こちらのバージョンでは各チームの色はもとより、ふんだんに盛り込まれたソロパートを通じて個々の魅力も感じられる。そのなかで、もし気になるチームが見つかったら、各チーム2枚ずつリリースしているチームシングルにもぜひ手をのばしてみてほしい。
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●『D4DJ』発の2ユニットの、異なる”フェス適性”の高さ
【Peaky P-key】フロアに“一体感”をもたらす、Peaky P-key
ユニット紹介の前に、まずは『D4DJ』について軽くおさらいしておきたい。『D4DJ』は、その名の通りDJをテーマにしたメディアミックスプロジェクト。アニメ化も発表されているほか、スマートフォン用ゲームアプリも今秋正式リリース予定。既に先行プレイ版がリリースされている。また、単独ライブイベントを早くも3回も開催していたり、イベント開催自粛期間中もSound Only Liveを行なうなど、ライブの場やそこに集うオーディエンスを大事にしながらコンテンツを展開していっている。
また、『D4DJ』は登場する6ユニットそれぞれに異なるサウンドプロデューサーが存在。そのなかで上松範康氏(Elements Garden)がプロデュースするのが、本項でご紹介するPeaky P-key(通称:ピキピキ)だ。
上松楽曲というとストリングスが印象的なシンフォニック・ロックのイメージが強い方も多いかもしれないが、ピキピキ曲ではクラブとの相性良好なデジタルサウンドを真っ向から志向。それでいて、曲中に散りばめられた小規模な転調など”らしさ”も感じさせる。
そのなかで、メインボーカルを務める山手響子役・愛美が、カッコよさを強く乗せた歌声を響かせる。また、コンテンツのキモであるDJという側面においては、犬寄しのぶ役・高木美佑の存在も大きい。『D4DJ』発表前からさまざまなDJイベントでプレイを披露してきた彼女が、ステージ上で堂々とプレイする姿も必見だ。
☆この曲を聴け!……「電乱★カウントダウン」
ピキピキ曲はどれもライブ映えするものばかりなのだが、フェスといういわば”対外戦”の場において外せない、抜群の攻撃力をもつのがこの曲。まずイントロからズルい。
徐々に高まりゆくスネアドラムとともにカウントダウンがなされていき、その最後には「Peaky P-key!」のコール。掴み兼必殺ブローをおみまいしてくれている。Bメロでの一時的なメジャーコードへの転調は一瞬の開放感を与え、いいアクセントとなっているし、サビで「Peaky!」のコールに合わせたジャンプが生む一体感たるや! ……といったように、他の曲にも存在するピキピキ曲の音楽性の美味しいところが、ぎゅぎゅっと濃縮されて詰め込まれた1曲なのだ。
来年のアニサマではサビでオーディエンス全員が一体となってジャンプして、会場を大揺れさせる光景が実現することを、願ってやまない。
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【Photon Maiden】Photon Maidenのパフォーマンスは、オーディエンスを圧倒する
このユニットのサウンドプロデュースを務めるのは、アニメ版『D4DJ First Mix』の監督を務めることも発表されている水島精二氏。実は彼は、かつて『アイカツ!』にてスーパーバイザーを務めたり、アニクライベントにDJとして出演するほど音楽にも精通しているクリエイターである。
そんな彼がプロデュースするPhoton Maidenは、近未来的なビジュアルとサウンドを特徴とする、スタイリッシュさとミステリアスさを兼ね備えたユニット(実は素は普通の少女たちであることは、先行版アプリで明らかになってはいるのだが)。
サウンドはピキピキ以上にド真ん中のEDMであり、その中で繰り広げられるダンスパフォーマンスは絶品。ピキピキが一体感を生み出すユニットであるのに対しPhoton Maidenは、RAISE A SUILENでもDJを担当する出雲咲姫役・紡木吏佐のプレイの見事さも含め、圧倒的なパフォーマンスでオーディエンスを飲み込むユニットなのだ。
☆この曲を聴け!……「Here's the light」
前述したようなユニットの特性を体現したスタイリッシュさを非常に強く前面に出したクラブチューンで、星々から送られたメッセージのようなイメージのフレーズが並ぶサビが何度も繰り返されるさまは、サウンド感と相まって絶えず瞬く星の光を連想させるもの。
そしてこの曲、とにかくサビ明け間奏のダンスパフォーマンスの圧巻さが段違い(“聴け!”というお題目にもかかわらず、で大変恐縮ではあるが)。
舞台への出演も重ね、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のメインキャストにも名を連ねる花巻乙和役・岩田陽葵と福島ノア役・佐藤日向、そしてアイドルグループ・SUPER☆GiRLSの元メンバーである前島亜美といったメンバー3人がもつ極めて高いダンススキルを発揮し、切れ味抜群のパフォーマンスをみせるこの部分は、特に(ステージ上の)Photon Maidenの魅力をフィーチャーしている。
ぜひ来年のアニサマではさらにブラッシュアップされたパフォーマンスを存分に発揮し、ファンはもとよりこれまで彼女たちに触れてこなかったアニソンファンも含めて、会場中の度肝を抜いてもらいたい。
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 活動が本格化し、ユニットやコンテンツとしての成長を日々重ねている今だからこそ大舞台でのパフォーマンスを観たかった3組ではあるが、その成長はこれからもきっと止まることはないはず。各コンテンツ自体やライブにリリースといった活動を通じてひと回りもふた回りも大きくなった彼女たちのパフォーマンスを、来年の夏にはきっと観られることだろう。
さて、次回は”アイドル”をテーマに、アイドルマスター 765プロオールスターズ・i☆Risの2組をピックアップ。それぞれがもつ今の輝きを改めてご紹介していくので、お楽しみに!
●著者プロフィール
須永兼次(すながけんじ)。群馬県出身。中学生の頃からアニメソングにハマり、会社員として働く傍らアニソンレビューブログを開設。2013年フリーライターとして独立し、主に声優アーティストやアニソンシンガー関係のインタビューやレポート記事を手がける
Twitter:@sunaken
記事内イラスト担当:jimao
まいにち勉強中。イラストのお仕事随時募集しております。Twitter→@jimaojisan12