最初のiPS(人工多能性幹)細胞は、日本において皮膚の細胞から作り上げることに成功したんだそうですが、皮膚はといえば人間には欠かせないもの。「すいません、ちょっとあなたの皮膚を分けてもらえませんか……!?」なんて言われてもそう簡単に寄付できる代物じゃ有りませんよね。
ところが、最近「Scientists at Stanford University School of Medicine have discovered that the millions of fat cells removed during liposuction can be easily and quickly turned into induced pluripotent stem cells, or iPS cells, more easily than the skin cells that researchers used when the first iPS cells were created in 2007.」にあるように、誰にとってもお邪魔虫扱いされている、あの"fat cells(脂肪細胞)"からも、それも「やせたいので取ってください」とお金を払ってまでする美容整形術の"liposuction(脂肪吸引)"で取り除かれた脂肪からも、このiPS細胞が作れることが分かったんだそうです。それも皮膚の時よりもっと短い時間で、より簡単に。
iPS 細胞と言えば、近い未来現代の移植技術に代わるものとまで期待されている優れもの。「These iPS cells, like stem cells derived from embryos, can be turned into many different kinds of cells, and researchers believe they eventually could be used to regenerate tissue for organs and repair damage.」と記事にあるように、多くの医療者や研究者が、"regenerate tissue for organs(臓器組織の再生をする)"や"repair damage(被害や破壊の修復をする)"といったことで期待を高めているものだそうです。
つまりもし皆さんに、身体的「よもや事」が起きたり、不治の病に犯されていることがわかったとき……最後に頼れるのは……ひょっとしたらあなた自身の「脂肪細胞」ってことになるかもしれないんです。
これからはむやみにダイエットには走らず、記事の冒頭にある「You know that fat in your body you wish you didn't have? It turns out those cells could be used to create stem cells that one day may be able to cure disease.」「あなたの体にある、なければいいのにと思っていた脂肪、ひょっとしたらそれがいつの日かあなたの病気を治してくれる細胞になり得るかも」という思いを込めて(極端な肥満を推奨するわけではありませんが)、もう少しみなさんの脂肪を毛嫌いせず、優しい目で見守ってやるのはいかがでしょう。
想像をさらに膨らませれば「あなたの細胞をわたしに譲ってください。値段はいとわないので……」と乞う人々が巷に現れて……、考えすぎかもしれませんが、未来社会では100%あり得ないことではないのかも知れません……。
全文は下記のURLへ。
Study: Human fat yields multipurpose stem cells - CNN.com
http://www.cnn.com/2009/HEALTH/09/04/stem.cells.liposuction.fat/index.html?iref=allsearch
ではまた次回。