人は一生の内、何度ほど恋をするのでしょう? 成就する恋では喜びを感じ、説が無く終わってしまう恋では悲しみを感じる……特に、好きな相手に突然振られたときなどは、心の痛みは想像を絶するほどに……。

でそんなとき、私たちの脳内ではどんなことが起きているのか、皆さん考えたことありますか?

今回は、そんなときの脳を、真剣に調べた人たちとその驚くべき結果についての記事を紹介しましょう。

まず結論から言うと : どうも私たちの脳は、火傷による痛さや熱い物を持ったときに感じるあの「アチッ」という感覚と、失恋による心の辛さは同じようなものとして感じてしまうんだとか。つまり"the brain doesn't appear to firmly distinguish between physical pain and intense emotional pain"とあるように、「脳は肉体的痛みと激しい心の痛みをハッキリとは区別していない、いや出来ない」そうなんです。

この結論をもたらした研究実験には、"..... recruited 21 women and 19 men who had no history of chronic pain or mental illness but who had all been dumped by a romantic partner within the previous six months. The volunteers underwent fMRI scans -- which measure brain activity by tracking changes in blood flow -- during two painful tasks."と記されているように、慢性痛歴や精神的障害歴などはなく肉体精神共に健全な人 、ただし過去6カ月以内に一方的に振られてしまったという辛い経験を持つ21人の女性と19人の男性が招集され、2つの実験が行われました。またその実験の間は"fMRI=functional magnetic resonance imaging(機能的磁気共鳴画像法)"といった"scan(s)(検査)"で参加者の脳の活動と血流の変化が調べられたそうです。

実験内容

実験その1 熱を発するものを被験者の左腕に取り付け、熱いコーヒーカップが直接肌に触れたときのような「痛さ」を作る
実験その2 振られた相手の写真を眺めつつ、その人と分かち合った思い出を何か一つ思い浮かべてもらう

そしてその結果は前述の通り。どちらの場合も肉体的痛みを感じるとされている脳の2カ所、"the secondary somatosensory cortex(二次体性感覚野、二次体性感覚皮質)"と"the dorsal posterior insula(背側後島葉)"で、同様な血流の変化が見られたんだそうです。

この分野の研究はまだ始まったばかりとは言いつつも、脳内で肉体的苦痛と精神的苦痛がリンクしている可能性が高いという今回の発見は、今後の医療では大きなステップだと医師たちは絶賛しています。心の病みを肉体的治療で治す。逆に肉体的な病気も心のケアーで改善出来る。これは正に新しい治療法とも言えるじゃないでしょうか。

昔から「病は気から」と言いますが、今回はそれが科学的に立証されたといっても過言でないでしょうし、恋の痛みや恋愛にまつわる切ない思いも隠喩ではなく、本当に存在した感覚だったんです。

「失恋して辛いときは堂々とそれを理由に仕事や学校を休むことも出来る、何せ立派な病気(苦痛)なんだから……」なんで時代が近い将来やってくるかも知れません。そうなるといいですね。

今回のURLは、To the brain, getting burned, getting dumped feel the same - CNN.com

興味がある方は是非チェックしてみてください。

英語ワンポイント:

英語では恋ごとで振った振られたと言うとき、普通は :

He left me.(彼はわたしから去った)
I left her.(わたしは彼女から去った)

といった言い方をし、これで"He left me."は「彼はわたしを振った / わたしは彼に振られた」、"I left her."は「わたしは彼女を振った」になります。

またこのようなときは、今回の記事にあるように「振る」を「捨てる」という意味の"dump"という単語で言い表すこともあり、"He dumped me."なら文字通り「彼はわたしを捨てた / わたしは彼に捨てられた」、"I dumped her."は「わたしは彼女を捨てた」となります。どちらも大変良く使われる表現です。

ではまた次回。