今回紹介する記事は、本年の5月にThe University of Wisconsin(ウィスコンシン州立大学)で行われたとてもユニークな実験研究(research&experiment)を報じたもの。内容がとても興味深く身近なものだったので、皆さんにもお知らせしようと思います。

さてそのresearch&experimentとは??

61組の年齢7歳から12歳の女の子とその母親が今回の被験者。

母親は別室に待機する中「The girls, ages 7 to 12, were instructed to give a talk and then solve some math problems in front of a panel of judges --」とあるように、女の子たちは複数の立会人(審査員)の前で話をさせられたり、いくつかの算数(数学)の問題を解かされたりしたんだそうです。

でその目的とは「― a situation, the researchers figured, that would make any kid’s heart pound and blood pressure rise.」と書かれているように、子どもたちの不安をあおり、ドキドキさせ、血圧をあげ、精神的に不安な状態を作り上げるため。

そしてその後彼女らは3つの異なる部屋へと連れて行かれます。

Room One:

この部屋では「In one, moms were waiting with hugs and kisses and warm reassurances of the girls’ success. "The moms came in and hugged the girls and stroked their hair," Pollak said. "They’d reassure their daughters with words like ‘I’m sure you did fine. You always perform so well.’"」というように、母親が部屋に入ってきて子どもにハグをしたり髪の毛を撫でたりと、スキンシップをしながら「よく頑張ったね」とか「いつも通りよくやったね」と優しい言葉を掛ける。

Room Two:

この部屋では「In another room, girls received phone calls from their mothers with verbal reassurances similar to those heard by the first group.」とあるように、彼女らが受けられるのは母親からの電話のみ。スキンシップは無しで言葉だけの癒しを受ける。

Room Three:

この部屋では「A third group of girls didn’t meet up with their moms but were sent to watch the heart-warming movie "March of the Penguins."」のように、母とのスキンシップはおろか、声も聞けず。代わりにハートウォーミングな「皇帝ペンギン」という映画をみるんだそうです。

さてさて、この実験の目的とは??

実験の目的は彼女らの心理状態の変化に伴う2つの大切かつパワフルなホルモン"oxytocin(オキシトシン)" and "cortisol(コルチゾール)"のレベルの変化を測定すること。「Cortisol is a hormone that spikes during times of stress. Oxytocin is the bonding, or so-called "love," hormone.」と説明されているように、"oxytocin(オキシトシン)" はストレス状態にあるとき上昇するホルモン。一方 "cortisol(コルチゾール)"はまたの名を「ラブホルモン」とも言い「心のふれあい」の度合いに左右されやすいホルモンだとか。

実験前と実験後の数値を比較した結果:

Room Threeに連れて行かれた子たちにおいて、オキシトシンは上がり、コルチゾールは下がる結果に。

つまり映画では何の癒しも得られなかったことになりますが、驚くべきはRoom OneとRoom Twoの子どもたちの数値。どちらも同じようにオキシトシンは下がり、コルチゾールはしっかり上がっていたんだそうです。

つまりスキンシップはあってもなくても母の声はそれだけで十分癒しを発揮することが結果わかったんだそうです。つまり母はやっぱり強し、たとえ声だけでも強しなんですね。

いかがですか、皆さんもこの記事を機に、母親とじっくり話す時間を持ってみては?そして、離れている人は今夜こそ母親に電話を掛けてみては?

母の持つパワーがきっと皆さんを癒してくれるに違いありません。

今回のURLはA mom’s voice is powerful medicine - Behavior- msnbc.com。興味がある方は是非チェエクしてみてください。

追伸: 前回は"coma"から回復した少女のお話をしましたが、母親の声が脳の障害での"coma"から目覚めさせられるのかといった実験もする進められているとこの記事は記しています。

英語ワンポイント: 今回は"Cortisol is a hormone that spikes ~"といったときの"spike"という単語に注目。 "spike(スパイク)"と聞いてわたしたちに馴染みがあるのは野球のスパイクのように歯がついているスポーツ靴でしょうが、この単語には他にも「急上昇する、急降下する」といった意味もあり、ここでは前者の「急上昇する」といった意味で使われています。

ではまた次回。