このエッセイのテーマは恋愛である。僕の血液型がB型のため、「B型男子」というタイトルがついているが、だからといって決してB型論ではない。単純に僕なりの恋愛論を自由に綴っているわけだ。
というわけで、今回は芸能界における「結婚・出産・育児」のあり方について少し思うところがあったので、書いてみようと思う。
ちょっと前に或るアンケート調査で全国の女子中高生に「理想のママを芸能人に例えると誰か? 」と聞いたところ、辻希美が堂々一位を獲得したという。主な理由としては「親近感がある」「ママなのに可愛い」といった意見が並び、他には益若つばさや土屋アンナなどが同様の理由で人気上位に食い込んでいた。
さらに先日、これまた出産したばかりのhitomiが某音楽番組に出演していたのだが、そのときの司会者もhitomiのことを「こんなに綺麗でスタイルも良くて、お洒落なママって素敵ですね」などと、揉み手をしながら大絶賛していた。
どうやら多くの日本人は「ママなのに、それを感じさせないぐらい美しい」という概念みたいなものが、とてもお気に入りのようである。
けど、こういう風潮ってちょっと危うくないか? って、僕なんかは思う。
辻ちゃんやhitomiの実際のママぶりはよくわからないが、女子中高生が彼女たちに憧れてしまうということは、逆に言えば「例えママになったとしても、お洒落したり、趣味に興じたり、独身時代と変わらない楽しい生活ができるんだ」などと、妙な勇気を女子中高生たちに与えているってことなんじゃないか。もっと言えば、「育児って意外に簡単だよ」と女子中高生たちをおかしな方向に啓蒙し、安直なできちゃった婚や見切り発車の若年結婚を増やしてしまうことに繋がる可能性もある。
「あたしも辻ちゃんみたいなママになりたいんだよね~。辻ちゃんでもできるんだから、あたしも子育て余裕でしょ。だから彼氏と避妊しないことにしてるの~」
などと、のたまう17歳女子が急増したり、
「今、0歳児の子育て中なんだけど、hitomiみたいにスタイルを維持したいから、毎日ジムに通ってるんだよね~。その間、子供はどうしてるかって? そんなの実家に預けてるに決まってんじゃん! 」
なんてこと笑いながら語るギャルママたちを想像すると、僕は途端に子供の未来が不安になる。なんだか、育児という行為がだんだん軽視されていくというか、「その気になれば育児は誰だってできる」という間違った風潮が世の女子中高生たちに蔓延してしまう気がしてならないわけだ。
だから、女子中高生に絶大な影響力を持つ人気女性タレントたちは「ママだけど可愛くて綺麗」という部分ばかりをアピールするのではなく、「育児とは想像以上に大変なもので、ファッションや美容、趣味なんかに興じている暇なんかないんだよ」という現実を伝えていくことも大切なんじゃないか。
若い女性タレントが出産して、しばらくの産休を挟んで、再びメディアに登場するとき、ボロボロになった肌や弛んでしまった体型を隠さず公開し、「出産や育児って超大変で、肌や体型もボロボロになるから、みんなも覚悟しなきゃダメだよ! 」と訴えたら、世の女子中高生たちの意識も少しは変わるかもしれない。
かつての山口百恵みたいに結婚と同時に潔く引退し、その後もマスコミに「復帰はしないんですか? 」なんて聞かれたら、「今、育児の最中だから、そんな暇あるわけないです。特に幼児期は美容なんかにかまってられない状態だし、とてもテレビに出られる顔とスタイルじゃありません」などと言ってのける女性タレントがいたら、そっちのほうがはるかにかっこいいと思う。
うーん。一人ぐらいいないかな。出産して、すっかり変わり果てた状態でテレビに出てくる元アイドル。「出産前はあんなに可愛かったのに、やっぱ子供産むと大変なんですね」などとリアルな発言に終始する司会者。
そういったパフォーマンスによって、増え続ける十代女性の妊娠・出産・結婚・離婚といった問題に楔を打ち込むことができたら、それもまた発言に影響力を持つ芸能人にしかできない有意義な行為だと思うんだけど。
これもまた、しょせんは男の戯言なのかなあ。
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