前回、僕は婚活に向け、『ソフィアヒューマンインテリジェンス』による特性分析に取り組んだ。その結果、「草食系男子」「周りと協調したいという思いが強い」「物事を自分の思い通りに進めようとする人が苦手」といった、とってもチキンハートな人間性が明らかになったわけだが、今回のテーマはそんな僕に対する同社の婚活アドバイスについてである。

中でも気になるのは「結婚に適している女性のタイプ」なのだが、同社のアドバイスによると、僕は「空気系女子」、つまり僕と同じ特性を持った女性と結婚するのが良いらしい。具体的には場の空気や相手の心情変化を敏感に察知し、気遣いができるタイプの女性。基本的には僕がリードして、それについてくるような年下の女性が最も結婚には向いているというのだ。

この結果を受け、読解力の無さに定評があるおバカな友人は「山田さんが引っ張っていくってことは、従順で控え目な昔気質の女と相性がいいってことですね」などと解釈していたが、僕は微妙に違うと思う。

なぜなら、その前に「僕と同じ性質の女性」という大前提があるわけだから、正確には何でもかんでも僕に従う控え目な女性というより、僕のあらゆる提案やライフスタイルに同調してくれる、言わば「似た者同士」ってことだろう。似た者同士と結婚すれば、僕が「ああしよう、こうしよう」とリードしたところで、妻は何の戸惑いもなく「わたしもそう思っていた」と同調してくれるだろうし、僕自身も自分の価値観を押し殺すことなく、健やかな精神状態を保っていくことができるというわけだ。

僕はおおいに納得した。確かにその通りだ。今まではむやみに赤い糸を探し、「A型女子以外」という何とも根拠に乏しい条件だけを頑なに信じてきたが、そんなことより「自分と同じ匂いを持った女性を探す」と考えたほうがはるかに明確だ。霧がかっていた視界が一気に晴れた。結婚への道しるべがはっきり見えた気がする。

しかし、少し引っかかることがあった。僕と同じ特性っていうけど、そんな女性が果たして世の中にいるのだろうか?

だってさ、僕は今年で33歳になるというのに、いまだに水溜りに積極的に入っていくような男だよ? 道端で木枝を拾って壁をツツツーってやったり、ピンポンダッシュしたり、自分の影を踏みたくてずっと追いかけたり、小銭を思わずパクったりするような、できそこないの妖精みたいなオジサンだよ? 暇なときは家で全裸になってさだまさしばっか聴いてるし、バスタオルやお茶碗はあんまり洗わないし、今でもたまにウンコ漏らすし、禿げてはないが禿げかけているし、太ってはないが太りかけているし、小学校のときなんか筆箱に毎日一本ずつアスパラを入れられるというわけのわからないイジメにあってたんだよ? 自分にリセッシュしてるんだよ?

……そんな僕と似た者同士の女なんかいるわけねえ! ってか、もしどっかにいたとしても、そんな女、こわいに決まってるじゃん!!

うーん。「似た者同士」にはそういう落とし穴があったか。僕が立派なイケメン男子だったら、自分と似た女性を探す価値がありそうだが、僕のようにピーターパンを百発ぐらい殴ったような男子の場合、似た者同士のウェンディもかなりエレキな女子である危険性が高い。家で体育座りして、かぐや姫ばっか聴いてるとか。

しかも、そんな恐怖の似た者同士で結婚というネバーランドを目指したら、とんでもないミステリースポットに辿り着きそうだ。結婚生活が想像できない。自分たちだけの勝手な法律を作ったり、勝手な言語を作ったりして、外界とは隔離された特殊空間を形成するかもしれない。ましてや子供が産まれて、その子供まで僕らに似ているとなるとますます大変なことになってくる。家族というより、独自の発展を遂げた種族といった感じ。妖怪人間の三人みたいじゃないか。

けど、それもちょっと楽しそうだなと思ってしまうのも僕の特殊な性質である。広い地球を探せば、どこかに妖精おばさんがいるかもしれないなあ。

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