とある調査機関が発表した「B型と聞いてイメージする特徴は?」というアンケート結果で、「面倒くさがり」が第10位にランクインされていた。
確かに僕にも当てはまっている。中でも恋愛においてが顕著。彼女にまめに電話やメールをするのは苦手だし、デートや旅行を計画するのも不得手である。ついつい面倒くさい病が顔を出し、何をするにも先送りになってしまうのだ。
ちなみに、これは母の遺伝だと思う。マイ母ちゃんは自他共に認める面倒くさがり屋で、子供の頃から僕はおおいに困惑させられたものだ。
例えば幼い頃、家族全員で食事している時のこと。
僕が無垢な心で「お母さん、子供ってどうやってできるの? 」と子供にありがちな恐怖の"素朴な疑問爆弾"を落としたのだが、それに対する母ちゃんのしどろもどろな答えが強烈だった。
「(動揺して)それはね……。お父さんのおしべとお母さんのめしべが……」
まあ、ここまでは良い。母ちゃんも家族全員がいる手前、何とかオブラートに包みながら子供にもわかりやすく説明しようとしたのだろう。しかし、そこで一旦考え込み、次に続く適当な言葉は何かと悩みだしてしまったから、さあ大変!
母ちゃんは悩んだ挙句、吹っ切れたような顔で僕にこう言ったのだ。
「お父さんのおしべとお母さんのめしべがね……セックスするの!」
あ、言っちゃった! セックスするってモロに言っちゃったよ、この人!!
きっと母ちゃんは途中で考えることが面倒くさくなってしまったのだろう。「おしべとめしべ」まではファンタジーだったのに、述語がセックスって。虚構と現実の見事なコラボレーションである。
もちろん、母の遺伝子を受け継いでいる僕も、この手の難しい質問をされると、途端に面倒くさくなってしまう。特に恋愛にはこういうケースが多い。中でも一番面倒くさいのは、彼女から「仕事と私、どっちが大事なの?」と聞かれた時である。
例えば、ある時の僕はこう答えた。
「次元が違うから比べることはできない」
けど、彼女はまったく納得しない。「だから、そこをどっちって聞いてんの! 」と逆ギレされる始末である。
また、ある時はこう答えた。
「お前だよ。だから、そんなお前を幸せにするために俺は仕事を頑張ってるんだ」
けど、まだ甘い。彼女にしてみれば「うまいこと言いくるめられた」という印象しか受けず、かえって不快感を覚えたようだ。
甚だ面倒くさい質問である。一体どう答えたら女性は納得してくれるのか。「彼女のほうが大事だ」って言い切っても嘘くさいし、「仕事に決まってるだろ」って突き放したら、彼女を傷つけてしまう。くれぐれも乙女心は守ってあげたいのだ。
すると、そんなある日、知人の女性がこんなことを教えてくれた。
「男って、この手の質問をされたらうまい答えを探そうとするでしょ? それがそもそも間違いなの。答えを探す前に、女の心理状態を考えなきゃ」
そう言って、知人の女性は「仕事と私、どっちが大事なの?」と彼氏に聞いている時の女性心理をこう分析してくれた。
- こういう質問をしたら、彼氏が困るであろうことは女もわかっている。
- 仕事が忙しいことが、いかに仕方ないことかも女はわかっている。
- 彼氏が仕事をしなければ、自分も困るということも女はわかっている。
つまり、女はすべてわかったうえで、あえてこの質問をぶつけているという。言い換えれば、これは彼氏に対する意地悪であり、女のジョークなのだ。
では、なぜ彼女はそんな面倒くさいジョークを言ってくるのか?
「簡単よ。彼女の心が満たされてなくて、彼氏に対して何らかの不満や寂しさを抱えているからよ。寂しいから嫌味を言っちゃうってわけ。だから、そう聞かれたら"そんな質問させてごめんね"って謝って、優しくしてあげるのが一番なのよ」
なるほど、そういうことかあ。
今回ばかりは妙に納得させられた。これこそが女の心理を完全に理解した究極の優しさなのかもしれない。質問の真意がジョークであると察知し、そんな質問をしてしまった彼女の心を労わってあげるというわけ。まさにジョーク潰し。女のジョークに真剣にぶつかってはいけないということなのか。
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