先日、ひょんなことから本連載の第一回目をあらためて読み返してみた。初出は2008年12月11日。日本では麻生太郎が内閣総理大臣に就任しており、アメリカではバラク・オバマが第44代大統領に当選して間もない頃だ。
当初、担当編集のT女史と話していた企画は「山田隆道が恋愛をテーマにしたエッセーを書く」というものだけだったが、その後それだけじゃ物足りない、そこに何か味付けをしようということになった。そこで、たまたま僕の血液型がB型だったことから「B型男子ならではの視点を生かした恋愛エッセー」というコンセプトが浮かび上がり、『ちょっとダメ系? 恋するB型男子』というタイトルが決まったわけだ。
ちなみに『ちょっとダメ系?』はT女史が勝手につけたものだ。すなわち、僕は彼女にそう思われていたのだろう。さすが鋭い。当たっていると思います。
さて、そんな経緯で始まった本連載だが、早いもので今回が第130回目。実に2年半の月日が流れた。この間、日本では間寛平がアースマラソンに出発して無事帰ってくるわ、田代まさしが帰ってきたか思えばまたどこかに行っちゃうわ、酒井法子が失踪から帰ってきたかと思えばもっと大変なことになってしまうわ、市川海老蔵が顔を腫らして家に帰ってくるわ、大相撲界に二度と帰ってこられないであろう力士が続出するわ、とにかく色んなことがあった。(押尾学については触れたくありません)
もちろん、著者である僕にも様々な出来事と大きな変化が起こった。
まず変わったのは、文章の質である。現在の筆力が完成形だとは思えないが、連載当初はもっとひどい。いま読み返したら、根本から改稿したいぐらい下手くそだ。なんというか、筆に力が入りすぎている。一生懸命読者を楽しませようと躍起になりすぎて、非常にあざとい技法を駆使しまくっている。ああ、我ながら恥ずかしい。
しかしまあ、それ以上に大きな変化はやはり僕の身辺事情だろう。連載当初は「未婚・独身・彼女なし」といった32歳の寂しいB型男子(正確にはB型オッサン)だったが、それから2年半の間に幸運にも彼女ができ、さらにその彼女と去る4月29日に結婚までしてしまったのだ。現在は34歳のB型既婚者オッサンである。
我がことながら、これはちょっとすごいと思う。
連載中盤ぐらいに現在の妻とひょんなことから出会い、それからは僕の彼女への恋心とその恋の行方を細かく綴ってきた。そして、やがて本当に彼女と付き合うことになり、それ以降は本格的に結婚を目指すようになった。
担当のT女史曰く、「編集部が騒然となっていた」らしい。無理もない。最初はもっと気楽な恋愛エッセーとしてスタートしたのに、いつのまにかリアルに結婚を目指す男のドキュメント、あるいは私小説になったのだ。しかも、まさか本当にこの連載の中で結婚してしまうとは。一番驚いているのは、他でもない僕自身である。
T女史をはじめ、マイコミジャーナル編集部の皆様には深く感謝している。特にT女史には結婚式にも出席していただいたが、きっと彼女もこんな経緯と立場で招待された結婚式は初めてだったんじゃないか。ある意味、T女史は僕とチーの結婚までの道のりを一番近くで見守り、応援し、そして編集してくれた人間なのだ。Tさん、本当にありがとうございます。次はTさんですねっ。
ところで、なぜ今回はこんな回顧的な内容を書いているのかというと、もちろん理由がある。勘のいい読者の方はすでにお気づきだろうが、この連載エッセー『ちょっとダメ系? 恋するB型男子』は今回で最終回なのだ。
いま大きなショックを受けたあなた。この連載が好きだったというあなた。あなたはきっと物好きで、友達の間でも変わり者扱いをされているのだろうけど、僕はそんなあなたが大好きです。大好きだからこそ、ここで一つ耳寄り情報を。
実は来週から山田隆道作の新連載として生まれ変わります!
いま大きな拍手をしてくれたあなた。新連載が楽しみだと思ったあなた。あなたはきっと暇で、友達も少ないのだろうけど、僕はそんなあなたが大好きです。新連載のほうも何卒よろしくお願いします。詳細は来週のお楽しみに。
そして、さっきから何も感じていないあなた。この連載の終了にも新連載の開始にも、まったく関心がないというあなた。たまたま今日はページを覗いただけだというあなた。どうかそんなことを言わず、来週もページを覗いてみてください。
何はともあれ、今までありがとうございました。
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