ITライター兼カメラマンのマルオマサトです。7月頭にα7Cを購入しました。使えば使うほど良さが分かり、手放せない存在になっています。前回からだいぶ時間が経ってしまいましたが、そのぶんがっつり使い込んだ所有者ならではのレビューをお届けします。
愛着がわく“ペラい”ボディ
「お、意外とペラいな」――。これがα7Cを手にしたときのはじめての感想です。α7Cのボディ重量は、バッテリー込みで約509g(本体のみ424g)。α7R III(バッテリー込みで約657g)と比べて148g軽くなりました。
以前はα7R IIIやα9よりはるかに大きい一眼レフ機を使っていたこともあり、小ささや軽さにはあまり期待はしていませんでした。むしろ「150gにも満たない軽量化なんて半端だなぁ……」くらいに思っていました。
しかし、実物を見ると明らかにやはり軽さはしっかりと実感できますし、フラットでペラいビジュアルはなんともいえない手ごろ感があって、持ち歩きたくなる愛着を感じています。
小型の単焦点レンズ(SEL40F25G)を付けた状態で、私が使っているベルトにかけるレンズポーチ(thinkTANKphoto|Skin 50 V3.0)に無理なく収まるので、これにスポッと入れて腰からぶら下げていることも多いです。
思い切った操作系の省略
小型軽量化と引き換えに、ダイヤルやカスタムボタンが大幅に省略されています。手元にあるα7R IIIと比べてみると、前面ダイヤル、マルチセレクター(ジョイスティック的なもの)がなくなり、ボタンは4つも減りました。また、メモリーカードがシングルになってしまいました。
はっきりいってどれも痛い省略ですが、小型軽量化のために割り切らなければならないのも理解できます。なんとかなると思ったので購入に踏み切りましたし、幸い、2カ月ほど利用する過程でほとんどの課題は解決できましたので、おいおい紹介していきたいと思います。
ちなみに、ファインダー(EVF)もだいぶ小さくなっていますが、筆者は最近ほとんどEVFを使わないので、ここはむしろ「EVFなぞ取っ払ってもっと軽くしてくれたほうが良かった」くらいに思っています。
写真表現の幅、発想を広げてくれるバリアングル液晶
もちろん、α7R IIIやα9よりも良い部分もあります。やはり最大のポイントは、背面のバリアングル液晶モニターの搭載です。
インパクトのある写真を撮るアプローチの1つに「アイレベルから外す」というものがあります。自分の目線からの写真はどうしても平々凡々としたものになりがちですので、思い切って上から撮ってみたり、下から見上げるように撮ってみたり、遮蔽物の間から撮ってみたりすると、印象的な写真になります。
バリアングル液晶はそんな「非アイレベル」で構図を作るのにとても有効です。ヒザより下にカメラを持っていって、少し見上げるようなカットでも無理な姿勢にならず、構図を確認しながら撮れるので、どんどんいろんな構図にチャレンジできますし、写真表現の幅、発想を広げてくれます。
実際に使っていても快適そのもの。画面の向きによって映像も自動で回転してくれますが、そのレスポンスも速く、何のストレスも感じません。「バリアングル液晶なしで撮っていたころは、どうやって写真を撮っていたんだろう?」というくらいになりました。
通信機能も大幅強化、iPad撮影が快適に
α7R III、α9と比べて、もう1つ良くなったのは、通信機能です。従来機種がWi-Fi 4(IEEE 802.11n)までの対応だったのに対し、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)に対応したので、転送速度と安定性が上がりました。欲を言えばWi-Fi 6を望んでいましたが、Wi-Fi 5でも大きな進歩です。
転送速度の向上は、iPadとの連携で使っていてはっきりメリットを実感できます。接続が切れる頻度も格段に低くなりました。ソフト(Imaging Edge)で使える機能も増えていて、その中でも、画面全体でプレビューができ、撮影後はレビューに切り替わる「閲覧専用モード」がとても便利です。
さらに、Wi-Fi接続でのPCリモート撮影(テザー撮影)もできるようになりました。これも通信速度の向上が大きいですね。もっとも、iOS用ソフトの閲覧専用モードが快適なので最近はPCリモート撮影はあまりしなくなりました。PC用ソフトにも閲覧専用モードに相当する機能を付けてほしいところです。
そんなところで今回はここまで。次回は何を紹介するか迷ってます……。