ITライター兼カメラマンのマルオマサトです。現在は「α9」と「α7R III」を主力カメラとして、仕事にも趣味にも活用しています。今回は高画素機のα7R IIIや現在の使用レンズについて簡単に語ります。
感動画質と写真表現の自由度を両立しているα7R III
私が仕事でもっとも信頼を置いているのは、「α9」(実売約438,700円)ですが、もう1台、「α7R III」(※)も愛用しています。
※編注:2017年発売の「α7R III」(ILCE-7RM3)は生産完了しており、背面液晶モニターを高画素化し、型番の末尾に“A”がついた「α7R III」(ILCE-7RM3A、実売約361,900円)が2021年6月から発売中。
α7R IIIは、有効約4,240万画素でローパスフィルターレス仕様の撮像センサーによる解像力と写真表現の自由度、データの扱いやすさのバランスが魅力です。APS-Cクロップしても約1,800万画素使えるので、簡易1.5倍ズームのように使える点も重宝しています。
今となっては同じセンサーサイズで6,000万画素超という製品もある中で、4,240万画素は特に高画素だと強調するほどでもないかもしれません。しかし、α7R IIIのすごいところは、高画素機のデリケートさをまったく感じさせない使い勝手と画質特性を備えていることです。
センサーサイズが同じ場合、画素が増えると画素ピッチ(画素同士の間隔)が狭くなります。画素1つあたりの光の量が減り、原理的には高感度耐性や階調表現などにマイナスの影響がありますが、高画素化と処理技術はそれぞれ向上しており、α7R IIIではその進歩のタイミングがばっちり合って、マイナスの影響を感じさせない高画素機に仕上がったと思っています。特に比較を意識しなければ、α9とあまり変わらない感覚で使えます。
上位機種の「α7R IV」については、有効約6,100万画素ともなると画質以前に、後処理をするパソコンの性能とストレージ容量が問題です。私は連写もよく行いますし、後処理にもこだわりがあるほうなので、今のところα7R IVは様子見です。
レンズはやっぱり「ソニー純正」
Eマウントに移行してからたくさんのレンズを購入して使ってきましたが、現在ではソニー純正の3本のズームレンズにほぼ集約しています。「SEL1635GM」(FE 16-35mm F2.8 GM)、「SEL24105G」(FE 24-105mm F4 G OSS)、「SEL70200GM」(FE 70-200mm F2.8 GM OSS)。どれもド定番ですが、やはり仕事を前提にすると利便性、AF性能が重要です。
なかでも一番利用機会が多いのは、SEL24105G。α7 IIIを購入したときに、最初に買ったレンズです(当時は大人気のため実際に届いたのは3カ月後くらいでした)。自宅兼スタジオでの商品撮影やライター仕事はだいたいこれ1本で済みますし、24mmから105mmまでF4通しで使えるのはイベント取材などでは非常に便利です。
コロナ禍直前の段階で、ITライターの取材現場でもα7 IIIとSEL24105Gの組み合わせをちょいちょい見かけるようになっていました。IT系記事では写真は“情報”。クオリティは最優先ではなく、スピード、確実性優先でオートで撮られることが多いです。コンパクトデジカメやマイクロフォーサーズを使われている方も多いので、それだけにα7 IIIで撮影された写真は目立ちますね(現場で誰がどんなカメラを使っているかは結構しっかりチェックしています)。
改めて実感する純正ズームの信頼感
正直なところ、購入する前は3本とも特別「欲しい」、「使いたい」と思って購入したわけではありません。この焦点域のズームレンズはないと仕事にならないからです。選択肢はF2.8通しにするかF4通しにするか、最上位の「G Master」にするか高性能な「G」にするか、くらいでした。
SEL24105GだけはG MasterではなくGレンズですが、開放F値がF2.8ではないこと以外は、G Masterの2470(SEL2470GM)と遜色ない性能があり、焦点距離が105mmまで使える点や重さや軽さの面で、SEL2470GMに対するアドバンテージがあります。
そして、使ってみての感想は「AFが速い。ズームができて便利でありながら、単焦点に準じた表現ができる」……なんてありきたりなのでしょう(苦笑)。
しかし、本当にそれに尽きますし、これが本当に助かります。時間や体力に余裕があったり、何度も繰り返し撮影することが許される環境では、あえて優先的に使う必要はないかもしれませんが、いざという時に頼れるのは純正ズーム。たくさんのレンズを使ってきたことで、改めて価値を実感しています。
最近は趣味の撮影でも、SEL1635GMとSEL70200GMしか使っていません。今は「単焦点の表現力に頼らない」という「縛りプレイ」がしたい気分なんですね。
αはオールドレンズとの相性も抜群
唯一残してある単焦点は、Lomography(ロモグラフィー)の「New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens」。キヤノンのEFマウント用のものを、マウントアダプターでソニーEマウントに装着しています。ダイヤルを回して鏡胴を動かしフォーカスを合わせ、レンズの鏡胴にプレートを差し込んで絞りを調整する、ウォーターハウス絞りと呼ばれる方式を採用したクラシカルな仕様のレンズです。
絞りの形を変えるための絞りプレートが用意されており、玉ボケをハート型にしたり、星型にしたりできます。これが目的で購入したのですが、映り自体も好きです。女性の肌がちゅるんと滑らかに写るのが気に入っています。
発売自体は近年(2016年)なのでオールドレンズの範ちゅうに入るか分かりませんが、こうしたマニュアルフォーカスのクラシカルなレンズを活用できるのもソニーαのいいところです。
標準のフランジバック(最適な画質が得られるレンズからセンサーまでの距離)が短いので、マウントアダプターで多様なレンズが使えることはもちろん、ピント面の拡大機能とピーキング機能でピントを合わせやすいのが大きいですね。