『クローバーフィールド/HAKAISHA』とは
観客に酔いを警告したほど激しく揺れるドキュメンタリー・タッチの映像と最新の特撮技術を組み合わせ、限りなくリアルな怪獣映画と謳われた本作。J.J.がこの企画を思いついたのは『M:i:III』の来日キャンペーン中ということもあって、劇中のキーワードとして重要な役割を果たしているのが「日本」だ。主人公のロブが日本に赴任、物語に登場する「タグルアト」は丸の内にある日系企業、日本のためのサブタイトル"HAKAISHA"まで用意……と、随所で日本を意識した作品に仕上がっている。
「この映画のキャスティングで重要なことは、見たことのない、素晴らしい、才能ある、好感のもてる人たちを起用すること」と公言するJ.J.。そのこだわりは『スター・トレック』の配役にも生きている。
好奇心を煽り、ファンを謎解きに走らせる
本作では、J.J.の敏腕宣伝プロデューサーぶりもいかんなく発揮されている。公開前に映画のタイトルを隠して劇場に流された予告編、劇場ロビーに貼られた首のない自由の女神のポスター、映画のスチールをチラ見せした謎のサイト( http://www.1-18-08.com/ )や「タグルアト」のHP。情報を小出しにすることによりインターネット上で様々な憶測が飛び交い、これらに関する好奇心が最高潮に達した頃に映画のタイトルを公表。ユー・チューブには、タグルアト社の油田基地が大惨事を引き起こした事故のニュース映像と謝罪会見の映像がアップされ、映画への期待感をさらに高めた。
こうして徹底した秘密主義を取ったことが功を奏し、アメリカではオープニング3日間の興行収入が4000万ドル(約40億円)を超え、1月公開作品では歴代新記録を樹立した。J.J.の盟友マット・リーヴスが引き続き監督する続編の製作も決定しているが、未だに詳細は一切不明。次回はどのように我々を驚かせてくれるのか、今から楽しみだ。
稀代の仕掛け人、21世紀のスピルバーグ、当代きってのヒットメイカーなど、様々な異名を持つJ.J.。現在、彼が関っているプロジェクトは10本以上。ハリウッドで最も多忙な男と言っても過言ではないだろう。彼の最高傑作である『スター・トレック』を気に入った方は、この4本を観てさらにJ.J.ワールドにどっぷりハマって欲しい。
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