銀行のATMを利用したことのない人はおそらくいないことでしょう。それぐらい私たちの身近な存在となっているATMですが、上手に使いこなしている人は意外に少ないもの。実際、皆さんはATMをどう使っていますか?

口座を持っている銀行のATMで現金を出し入れするのがメインで、たまに振り込みに使うぐらいというのが一般的でしょう。しかも、仕事が終わってふとサイフの中を見たら、「お金がなかった!」と慌ててATMに走ることも多いのでは? そんな時に限って、時間は18時過ぎ。自分のお金を引き出すだけなのに、105円の手数料がかかってしまいます。これが土曜日の8時前など土日祝日の時間外だったりすると210円の手数料がかかります。

こんなことで1カ月に休日時間外手数料1回(210円)、平日時間外手数料3回(105円×3回=315円)を使った場合、あわせて525円もムダ金を使ってしまうことになります。これを1年間に換算すると6,300円! もしもこの6,300円を利息で稼ごうとしたら、1年定期(0.25%)に315万円も預けないとゲットできません。

ATMの引き出し手数料は?(みずほ銀行の例)

ATMの時間外手数料こそは、まさにムダ遣い! ぜひ0円にしたいものですよね。

「そんなことできっこない! いつも18時を回ってしまう」というあなたは勉強不足。

まず現金の入出金ですが、保有口座のATMで「平日の朝9時~18時までなら無料なのでその時間にしか利用しない」という人はもう一度ATMの機能を確認してみて。最近ではたとえば時間外手数料ですが、大手メガバンクの場合会員制サービスを実施しており、登録すれば、時間外手数料がすべて無料になるのが常識。会員登録の条件もみずほ銀行の「みずほマイレージクラブ」の場合、各種預金、外貨預金、投資信託、金融債(財形除く)、公共債などの合計月末残高が10万円以上であれば加入OK。かなりハードルは低めです。会員にさえなれば、もう18時に間に合うようATMに走る必要もありません。朝早くだろうが、夜10時だろうが、無料でお金をひきだせるわけです。ATMがぐっと身近な存在になりますね。

他行のATM活用も要チェック。自社のATM以外は必ず手数料がかかると思っていませんか? とくにコンビニATMは手数料がかかると敬遠しがちですが、今やコンビニATMは各銀行と提携しており、手数料無料で入出金できる時間帯も増えています。

たとえば、みずほ銀行のみずほマイレージクラブに加入していれば、提携のE―net、セブン銀行ATM、ローソンATMは平日でも土日祝日でも手数料はすべて無料! これなら、休みの日に家の近所のコンビニATMで安心してお金を引き出せます。

また、銀行ATMは実店舗を持たないネット銀行やネット証券への入出金の窓口という機能もあります。この場合も提携関係を把握していれば手数料無料で入出金ができます。

ATMは引き出し以外に、預け入れ、振込、定期預金の作成、解約など、例をあげればきりがないほどの機能があります。これらも、利用時間帯や利用内容によって、各行手数料はまちまち。提携関係やどこの銀行が割安かなどを把握すれば、手数料節約につながります。

現在のような厳しい経済状況の中では、少しでも無駄なコストを削減するのが当然の家計防衛策。105円などの手数料負担はなるべく避けて、便利で時間を気にせず使いこなしたいもの。これからシリーズでATM機能と入出金や振り込みテクニックについて紹介していきます。

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。