緊急事態宣言が解除されても、閉店、倒産、リストラの声は加速する一方、40代はリストラの陰に怯えているでしょう。
ご安心ください。これからの時代の「40男に求める要件」をつかめば大丈夫。今まで培ってきた強み、経験、スキルの売りを捨て、新たに組み立て方をガラリと変え、今の時代に合わせれば簡単です。
この連載では、40男が「いつまでも転職できる武器」を手に入れ、不測の事態に備えるコツを解説します。
転職先が同業界・同職種だとハマる2つの罠
40代は即戦力。ただ、過去の実績や強みが評価され、紹介される転職先は同業界、同職種ばかりでしょう。そして、ヘッドハント以外、業界上位の会社へ移籍する可能性は低く、競合か業界下位の企業ばかり、結果キャリアダウンする40代が続出しています。
同じ業界であれば最低でも今の会社と同じか、それ以上活躍できると本人は考えますが、そこには2つの罠があります。
まず、同業で同職種だと、実績や強みが被ってしまうので明確な差別化がはかれないことです。なぜなら、同業で同職種ならビジネスモデルが一緒だと、自分の強みと実績が被るため「あなたらしさ」が出せません。
詳しく知りたい場合は、本連載「自分の強みを『掛け算』で考えると失敗する」を読んでみてください。
転職先では役職者も新参者
2つ目の罠は、その会社では既に組織文化ヒエラルキーが確立していること。役職者として入社してもしょせん新参者。以前の会社と同じように立ち振る舞おうとしても、社内のルールも違い、文化が違います。
周囲に阿吽の呼吸は通じず、違いを知ろうと「前の会社はこうだったけど、この会社ではどうすればいいの?」と聞くと、「前の会社を引きずっている」「前の会社名を出してマウントする人」「前の会社が忘れられない人」と思われ、余計身動きが取れなくなります。
さらには、同業に転職すると主要取引先も被ります。あなたが親しいかつての取引先も、その会社で先任者がいれば、ヒエラルキーの下層にいるあなたは担当させてもらえません。
こうして羽をもがれた状態となり、期待された活躍ができず、もやもやが募っていく状態はコンサルティングの現場でよくみる風景です。
どストライクではなく横張りする
では、どうすればいいか。強みや持ち味を正面勝負ではなく、横の隙間で発揮するのです。表と裏、陰と陽ではないですが、みんなが得意なことの裏や横側にはみんなが苦手なことがあります。そこはがら空きなのでポジションが取れるのです。
例えば「いっちょあがり!」のようにイケイケどんどんの住宅販売の裏や横をみると、法律含め、緻密な計算や提案が必要な大型設備の案件はがら空きです。
なぜなら、イケイケどんどん系の人は、緻密に詰めるより、相手が買いたくなるシナリオやトークを磨き、ゲームを攻略するようにアプローチするのが得意な人ばかり。提案を練るより、ダメなら次にいくパターンが得意な人が多いので、緻密系の大型案件の対応が苦手。
このように、同業で同職種であっても、ちょっと視野をズラすと隙間においしいポジションは残っており、その分野のライバルは、その会社にはいないか、いても少数なのでポジションが取りやすいのです。
持ち味をフル動員してオンリーワンを目指す
空いたポジションは意外とすぐに見つかるでしょう。あとは、あなたの強みや持ち味で、そのポジションは攻略できるかどうか。
あなたが「いっちょあがり!」系の行動派なら緻密さが求められるポジションは厳しいでしょう。そういう時は、緻密さが主流の業界や業種に、行動派の大胆さ、シナリオ構築力、対人インパクトを持ち込めば、ライバルなしのオンリーワンになれる転職が可能になるのです。
あとは、持ち味をフルに活用すること。
過去の事例で、「いっちょがり!」系の住宅販売会社に、緻密で繊細な新人が入社するも、営業として成果を出せず、本人もストレスでメンタルと体調を崩し、経理に飛ばされた人がいました。
その後、経理のコツコツとした仕事が向いていて徐々に居場所ができ、メンタルも安定したので、次に法律関係の資格取得を行う等、持ち味にあった専門性を高めていきました。
すると、行動派が現場で起こしたトラブル相談が舞い込みはじめ、現場の人も頭があがらない存在に。そして、さらに専門性を高め、経理と法律が分からないと扱えない大型案件を担当するようになりました。
結果、売り上げが全社で断トツとなり、大型案件専門の部門も新設され、その部長に就任し年収も1,500万円を超えました。まさに、空いたポジションに、持ち味をフル動員して成功した転職と言えます。
40男が同業同職種で安易に転職を探すのは人生逆転につながりにくいです。一見無謀のようでも、主流の横にある空いたポジション狙いの転職が人生逆転の近道になります。
持ち味をフル動員した自分の価値提供を見つけてください。あなたにしか見えない、あなたしか活躍できない逆転の転職が可能になるでしょう。