新型コロナウイルスが世界経済まで肺炎状態にさせる中、閉店、倒産、リストラの声があがりはじめ、40代はリストラの陰に怯えているでしょう。
ご安心ください。これからの時代の「40男に求める要件」つかめば、大丈夫です。テレワーク等、新しく身に付けなくてはいけない知識やスキルもありますが、今まで培ってきた強み、経験、スキルの売りを捨て、新たに組み立て方をガラリと変え、今の時代に合わせれば簡単です。ただ、掘り起こしにはコツと時間が少々かかります。
この連載では、40男が「いつまでも転職できる武器」を手に入れ、不測の事態に備えるコツを解説します。
40男が陥りがちな自分を差別化できない構造
前々回、前回と転職時に一人勝ちするための「自分の持ち味」の洗い出し方について解説しましたが、自分でやってみると「意外と普通」と落ち込んでしまった人が9割近くでは?
ご安心ください。持ち味一つひとつが微妙でも、組み合わせ方を知れば、唯一無二のオリジナルになれます。今回はその方法を解説します。
似た強みしか出せない理由
最初に、なぜ、しょぼい持ち味しか出てこないのか。理由は2つあります。1つは、人は自分が意識していることを中心に考える脳の習慣があるからです。
子供の頃、自分でお茶碗を下げたら母親に褒められたので習慣になった。そんな記憶はありませんか? では、もっと褒めてもらうにはどうするか。やはり、褒められた行為の近辺から考えるでしょう。
例えば、自分のお茶碗だけでなく、みんなの食器を下げる。食前に食器を運ぶのを手伝う。台布巾で食後にテーブルを拭くなど。
つまり、お茶碗を下げることを起点に考えます。逆に、肩叩きなど、毛色が違うものはすぐには思い付かないでしょう。これを同じで、自分の持ち味は過去褒められたことや、成功したこと、自信があることが起点となります。
ゆえに「まじめ、一生懸命、努力家……」など似た持ち味ばかりが出てきやすいのです。
同業界で同じ職種での業務経験は強みになりづらい
2つ目は、長年同じ業界で同じ仕事をしていると、売りとなる持ち味も同じになりやすいのです。分かりやすいので転職エージェントを例に紹介します。
転職エージェントの職種は一言でいうと
・営業
これに過去の人事異動で経験した職種で売りになりそうな「マーケティング」を掛けてみます。
・営業×マーケティング
いい感じですが、まだ差別化が図れないので「部長」経験も掛けてみます。
・営業×マーケティング×部長
まだ、ライバルはたくさんいそうですね。それでは「転職エージェント」という業界経験を掛けてみると
・営業×マーケティング×部長×転職エージェント=普通の転職エージェント会社の部長
このままでは、大きな化学変化をまったく期待できなさそうです。これは、同業界、同職種であればビジネスモデルは一緒なので、キーとなる強みや持ち味も一緒になるのが当たり前だから。
では、どうすればいいか。仕事に直結した持ち味や売りから視点をずらし、意外性のある持ち味を足し算すると、あなたオリジナルの魅力ある持ち味が見えてきます。
意外性はポジティブ面を組み合わせる
意外性が魅力につながることは分かるでしょうが、注意点があります。
・王様のように豪快だが、コソ泥のようにセコイ
というように、自分のポジティブ面とネガティブ面の組み合わせだと、相手は混乱します。逆の立場になれば分かるでしょうが、凹凸が激しい人の採用は二の足を踏みますよね。
新卒ではなく、40男を幹部として向かい入れるかを検討するなら、なおさらです。ここは、ポジティブな持ち味同士を組み合わせること。
例を出しましょう。
・人間関係を重視した「昭和型」営業の一方、最新の業界動向や業務知識にやたら詳しい
・問題を俯瞰して捉える一方、細かいことにも気付く
・論理的に説得するが、話し方はすごく情熱的
いかかでしょう。魅力的な印象を感じますよね。このように持ち味はポジティブな意外性を組み合わせていけば良いのです。コツは簡単。まず、普通に持ち味を書き出します。
・正確
・俯瞰(着眼大局)
・論理的
・自負心が強い
・用意周到など
次にその意味を悪い面からみてかき出してみます。「正確」を例にしましょう。
・正確→慎重、細かい、確実だが遅い……
そして、その悪い面の真逆をかき出してみます。
・慎重、細かい、確実だが遅い……
→迅速、大胆
こうして導き出された、「悪い面の真逆」を自分の持ち味に加えます。
・正確、迅速、大胆。つまり、仕事は正確で、迅速、そして大胆な考え方を発想できる。
このようにポジティブでいい意味でギャップがある持ち味の組み合わせができあがります。上記の例でやってみると、
・俯瞰(着眼大局⇔細部(着手小局)
・論理的⇔情熱的や直感的
・自信を持っている⇔ゼロベースで考えるや相手の立場で共感する
・用意周到⇔率先行動など
簡単にポジティブな意外性を導き出せます。注目するのは、両端が「OR(どちらか)」ではなく、「AND(両方とも)」で成り立っているところ。
ORは「Dead or alive 」と、どちらかに絞り込むことになり、ポジティブな面になりません。ANDにすることで、両端の魅力につながる奥の深さや、人間としての器を感じさせることができるようになるのでお勧めします。