新型コロナウイルスが世界経済まで肺炎状態にさせる中、閉店、倒産、リストラの声があがりはじめ、40代はリストラの陰に怯えているでしょう。

ご安心ください。これからの時代の「40男に求める要件」をつかめば、大丈夫です。

テレワーク等、新しく身に付けなくてはいけない知識やスキルもありますが、今まで培ってきた強み、経験、スキルの売りを捨て、新たに組み立て方をガラリと変え、今の時代に合わせれば簡単です。

ただ、掘り起こしにはコツと時間が少々かかります。

この連載では、40男が「いつまでも転職できる武器」を手に入れ、不測の事態に備えるコツを解説します。

  • 自分の「持ち味」を分かっていますか?

強みではなく「持ち味」で勝負する

前々回の記事、「自己PRは無駄! 『幹部』として迎え入れられる視点が大切」で語った通り、雇ってもらう発想から、幹部として「向い入れられる」発想への切り替え方を今回解説します。

キーは「持ち味」です。自己PRを「強み」で勝負してはいけません。強みはもっと強い相手が出たら負けるからです。なぜなら、「強み」は他人との背比べで決まるからです。

多くの場合、自分の強みと思ったことも、周りと比較されると「どんぐりの背比べ」で差は誤差の範囲になります。

強みの難しいところは、常にライバルとのデッドヒートが求められます。どんなに強い横綱も勝てなくなったら引退することと一緒で、ビジネスで一時的に勝てたとしても、超レッドオーシャンで勝ち続けて逃げ切ることはまずできません。ですから、勝負する土俵を変えましょう。強みではなく「持ち味」で勝負するのです。

「ありがとう」の声が、あなたの持ち味

持ち味とは、得意なことで、心理学でいう資質。資質は「心の利き手」ともいわれ、資質に沿っていることならラクに速くでき、資質にないことは苦労して成長まで時間がかかります。利き手でできることが利き手でない方でやろうとすると苦労するのと一緒です。

資質は諸説ありますが、DNAで半分決まり、残りの半分は20才過ぎくらいで決まり、それ以降は人生観が変わるような激しい経験がない限り変わりにくいと言われています。

持ち味を知る方法は幾つかありますが、一番簡単なのは「ありがとう」の声を集めること。同じ事務の仕事でも、「早い対応ありがとう」「正確な報告をありがとう」「気が効いた対応ありがとう」等、パターンは人の数ほどあるのです。

この、ありがとうの声があなたの仕事の提供価値。ライバルが経験豊富なベテランの場合、強みや実績で勝負しても勝ち目は薄いですが、持ち味で勝負してみると前提が変わります。

転職での面接時に即戦力を問われた際、相手の求める即戦力を紐解いて、持ち味として「気が効く」というエピソードを実績として伝えたとします。

過去の実績をたくさん羅列するライバル連中よりも、入社後すぐに活躍するイメージを相手に残せることは分かるでしょう。土俵を即戦力から気が効くことに代えると、気が効く自分とそれ以外という図式ができるのです。

アピールではなくイメージさせる

そして、次のキーになるのは、その持ち味が嘘ではないことを示すこと。自分が入社したらどう活躍するかのイメージを持てるエピソードを集めることです。

いくら持ち味でも、ただアピールするなら、合コンで「私、こんなにかわいくて持てるの」と変わらないアプロ―チで、これでは幹部としては向か入れてもらえません。

意識することは2つ。転職先に入ったら、どんな活躍できるか、「そのイメージが沸くこと」、「その根拠も十分であること」です。

アピールではなく、イメージしてもらう視点が要諦です。アピールは自分が主語、自分視点の内容、イメージしてもらうには、相手視点の内容が必要です。

相手の立場であれば、「どんな疑問を自分に対して持つか」、「どんなエピソードを伝えると、現場感、あるある感、しみじみ感を得てもらえるか」等、考えるべき問いと順番が変わります。

持ち味(資質)=ありがとうの声(得意なこと)、入社後、その価値を再現できる実績と活躍する姿が浮かぶエピソード。この3つがセットになれば、幹部として向か入れてもらえるチャンスが高まります。

持ち味を逆張りするとライバルはゼロになる

私の持ち味は「正確でありがとう」なので、ベンチャーには合わないかもしれないと思うのは大間違いです。逆張り人材が要になるのです。スタートアップで、いけいけ・どんどんの局面では、エネルギッシュだけど飽きっぽいタイプばかり集まります。そのままいけばどうなるかを想像してみてください。

細かいミスが積み上がり、誤差の範囲と気にせずに進んだ結果、取返しがつかなくなることが往々にしてあります。みんな同じタイプだから気付かないのです。上場しようとしたら経理体制がボロボロで上場できなくなった等、笑えない話は実はたくさん転がっています。

そこで逆張りです。「上場を目指すなら、確実なおさえの人もいないと危険」ということを相手に理解してもらうのです。それには正論や理屈ではなくエピソードが効きます。

あなた自身のエピソードがなくても、友人の会社でもいいですし、メディアに出た不祥事でもきちんと調べればOKです。正論や理屈は直接傷口に塩を塗るようなもの。痛すぎると反発されます。エピソードは直球ではない分、イメージが沸くので効果的。

その上で正確で慎重な持ち味を伝えれば、唯一無二の存在に簡単になれることは分かるでしょう。

ただし一点だけ注意があります。逆張りの場合、その会社の価値観が自分の資質に合う会社を選びましょう。大多数のメンバーが、あなたと別の資質を持ち、自分は少数派。

そこで、会社の価値観とあなたの資質が一致しないと、合わな過ぎて耐えられません。会社の価値観と一致していれば、真逆な発言でも、「よく言ってくれた、ありがとう」と認められ、受け入れてもらえるようになるのです。

次回は、「ありがとう」の声以外で自分の持ち味を探る方法を解説します。