「タクスズキ」さんという方がいらっしゃいます。89年生まれ、前職はプログラマーをされていました。現職は「ブロガー」。会社組織などはもちろん、何にも所属せず、個人で運営するサイト「らふらく^^」で生計をたてていらっしゃいます。
一昔前までは考えられなかった生活スタイルの現実をお聞きします。
やりたいことはできています。
――職業と仕事内容を教えてください
日常で感じたことをブログに書いて生活しています。
基本的には広告を出している広告主からお金を得ている形になっていて、加えてアフィリエイトで契約している企業からも成果報酬に応じてお金をもらっています。
――記事のジャンルは多岐にわたりますが「働くこと」をテーマにした記事が多いように感じました。ブログの方向性は当初から同様でしたか?
当初は、会社員時代の悩みをただ綴っていただけだったのですが、「仕事で悩んでいる人が楽しい気分になれない」と知り合いからアドバイスをしてもらって、それから読み手がハッピーになれるような書き方にして、もっと読みたいと思ってもらいやすくするようにしました。
また、そちらの方が多くの方が読みやすいだろうと思いました。
――僕も会社員向けブログをやっていますが、つい暗くなりがちで、そういうブログって多いですよね……。でも読み手が求めるものってそうじゃないんですね。ところで、いま現在、やりたいことはできていますか?
できています。
ブロガーになるまで
――プログラマーというと、苛酷なお仕事というイメージがあるのですが、そういった部分は退職に影響しましたか?
確かに嫌で辞めたという部分がなかったわけではありません。
自分自身がプログラミングが得意ではなかったこともあり、仕事が面白くいと感じられていませんでした。業界柄、勤務時間が長かったこともあり、もう少し勤務時間が短い仕事はないかと思っていました。
――入社からどれくらいで退職されたのでしょうか
1年と2カ月です。
――なぜ退職したのですか
嫌で辞めた部分もあると答えましたが、退職するときはほとんどポジティブな理由から決められました。
それは、ブログを書くことが好きすぎて、1本でやってみたかったからです。
いま現在のことでいえば、好きなことがやれているし、新たな人のつながりができたので、退職して良かったと思っています。
――「辞めよう」と決意したきっかけはあったのでしょうか
あります。
ブログを運営するなかで、ある時点で生活していけるくらいの収入を得たのがきっかけです。
――そもそもブログをはじめようと思ったきっかけはあったのでしょうか
「NAVERまとめ」をやっていて、作成したコンテンツを多くの人に見てもらったこと、これがきっかけですね
IT企業のイケてる新卒採用ページをまとめました。それがFacebookを中心に拡散していき、多くの方に読んでいただくことができました。
それから「NAVERまとめ」よりも、もっと自由なフォーマットで表現したいと思ったということもあります。
――プログラマーとしてのご経験はやはりブロガーとして生活する上で役立っていますか
ブログのデザインをいじる時に活きています。
HTMLやPHP(プログラミングの言語)の知識が必要なので、そこを勉強せずに取り組めるのは大きいです。
ブロガーとして生きる
――ブロガーとして生活している方が最近増えていると思うのですが、ブロガーになる上で、必要なこと、やっておいたほうがいいことはありますか
貯金です。
サラリーマンみたいに決まった額のお金が毎月手に入るわけでなく、揺らぎがあります。
収入の面で不安になってしまうので、それを押さえるためにも数百万円単位の貯金をしておくとよいと思います。
――やはり厳しい世界なんですね……。スキルや方法論的な部分では、他にありますか
スキルだと、インターネットの世界で使えるライティング力です。読み手をつっこませる要素を載せられるか、は大切です。
あとはソーシャルメディア上での影響力も大切なので、例えばツイッターではフォロワーを増やすなどができればよいと思います。
――将来に不安は感じませんか
感じています。ですので、不安を感じないように対策していきます。
もう1つブログを作ることも検討していますし、加えて、投資で将来の資産を築く事も考えています。
――逆にブロガーになるうえで、注意したほうがいいことはありますか
ずっと継続できるようにドーピングはしないようにしましょう。
――「ドーピング」は用語的なものでしょうか
用語というか「楽をせずに堅実に積み上げていきましょう」という意味です。悪質なバイラルメディアみたいに人のものを盗んでPVを稼ぐ事を意味しています。
――じっくりと積み上げて実力をつけていくことが大切なんですね
※画像は本文とは関係ありません
武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載