「『3年で辞める若者』『3年は続けろ』と言われるけれど、現実に3年前後で退職・転職した人たちは何を考え、どう過ごしているか」がテーマのこの連載。今回は「タイで子どもに勉強を教える26歳の女性」にインタビューしました。
タイで働いてみて就活生の企業選びで大切だと思うこと
--働いてみてかなり考え方が変わったんですね。就活時の企業の選び方についてはどう思いますか
最初は福利厚生やお金で考えがちです。それもよくわかりますが、大切なのは人と環境ではないかとタイに来てから思いました。
--離職の原因で最も多いのが人間関係と言われますよね
人間関係ばかりは働かなければ分かりません。
でも、働く環境は就活生でも見ることができます。使っているパソコンだとかトイレだとか喫食スペースの有無だとか、そういった設備関係が意外と大事ではないでしょうか。こちらの環境は日本と比べると落差があるので、大事なことだと思うようになりました。「長く働きたい」というなら、1日の大半を過ごすところなので重視してもいいと思います。
--『会社での生活』ですね。そういう部分から、何にお金を使うか、何を大切にする会社かも見えてくることもありますね
3年で辞める若者として思うこと
--タイに来て2年で会社を辞めるということは『3年でやめる若者』になろうとしているわけですが、他の『3年でやめる若者』についてどう思いますか
何も「働くのが嫌でやめる」わけではないと思います。
少なからず職場に原因があるでしょうし、年功序列や終身雇用を保つ会社が少なくなるなかで長く働くメリットがなくなり、若者が流動的になるのは仕方がないのではないでしょうか。
--僕もそうですが、ゆとり世代ど真ん中としてはどうでしょう
怒られ慣れていない世代なので、忍耐力がなく傷つきやすいということも、もちろんあります。
しかし、私自身が子どもの教育に携わるなかで、これからの子どもはその特徴がもっと強くなっていると感じます。この流れは若者だけではなく、社会全体で考えることです。
--良い悪いは別として、確かに耐えることに意味を見いだせないことが多い人が目立つ印象はありますね。では、最後に同年代で海外就職を考えている人に向けてアドバイスをお願いします
私が良くなかったのは、タイにいるのに日本文化から出ようとしなかったことです。イケイケで、どんどん積極的に人と関わって、タイ生活に密着している日本人はたくさんいます。
そして、現地採用でやってくると、どうしても待遇で勝る日本から来た駐在員と比較してしまうことがあります。かじる程度に海外就職をしたいなら、駐在員として来ることを目指すことをオススメします。
しかし、当然ですが業務命令でないと来れません。現地採用は自分の意思で行えます。長期的に滞在すると思えるなら、現地採用はアリです。
また、自分自身がそうだったからこそ思うことで、たまに海外に憧れているけど国は重視しない人がいますが、よく選んだほうが良いです。私は自分の過去を最近「海外ク○○○チ時代」といっています。(怒られないために伏せました)
なぜなら国によって働き方の違いが明確にあるからです。
例えばここでは、受付の人が保護者がきても爪を切っていたりします。しかし最低賃金しか払われていないので、強くそれを指摘する人はいません。人間関係に縛られている様子もあまりなく、転職に対する意識が低いのか入れ替わりは激しいですし、送別会などもありません。
とにかく、できれば多くの国を実際に見て、自分ならどこが合いそうかを具体的にイメージができる状態が良いと思います。
--ありがとうございました
後記
これから働こうとするなかで大切なものが何かを人は考えますが、働いてからも日々、葛藤することになります。ほとんどの人はそれを探すからこそ、自ら3年で辞める若者になるのだと思います。
※画像は本文とは関係ありません
武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載