投資をしたいと思うものの、何にどう投資をしたらいいものやら分からず結局預金口座に預けっぱなしというのはよくある話。実際、日本人の保有資産のうち53.2%が預貯金となっています。今回は何にどう投資をすべきかをご案内します。

「金融商品保有額の種類別構成比(二人以上世帯)」(出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」平成27年より)

何に投資をすべきか

投資の候補として考えられるのは、債券や株、投資信託のあたりでしょう。特定の会社の社債や株に投資をするのもアリですが、もし投資先に予期せぬことがあって大切な財産が大きく減ってしまうことを考えると複数の投資先に投資できる投資信託がオススメです。

複数の投資先に投資すること(出所:セゾン投信サイト)

投資信託とは

投資信託は、500円分、1万円分などのように自分の好きな金額から投資することができます(最低金額は商品によって異なります)。私たち投資家は、自分で企業研究をしたり投資先を選定したりする必要はありません。運用は運用の専門家(運用会社やファンドマネージャー)にお任せします。

たくさんの投資家から集めたお金を運用の専門家が、債券や株式、海外の債券や株式などで分散して運用してくれるのです。仮に私たちが500円しか投資をしていなかったとしても分散投資することができる優れものなのが投資信託です。

投資信託の仕組み(セゾン投信サイトを元に作成)

投資信託の選び方

ですが現在、投資信託には4,000~5,000種類あります。中には運用がうまくいっていない投資信託もあり、慎重に選ばないと大切なお金があっという間に減ってしまうことにもなりかねません。様々な指標や手数料等からしぼっていくのも有効ですが、一つ一つの指標を勉強するよりも早い方法があります。

2018年より「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」が始まります。この積み立て型NISAの対象商品は、販売手数料がゼロで長期運用に適した投資信託であるものを金融庁が選定しました。言い換えるなら、金融庁のお墨付きの投資信託であるということです。

「つみたてNISA 対象商品」と検索してみてください。平成29年11月8日現在、インデックス投資信託103本とアクティブ投資信託14本が選定されています。4,000~5,000種類の中から金融庁が絞り込んだ優良な投資信託の一覧を見ることができます(NISAやつみたてNISAについての説明は今回は省きます)。

インデックス投資信託とアクティブ投資信託の違い

簡単に言ってしまうと、インデックス投資信託は目標とする指標等と同じ動きを目指す投資信託で、アクティブ投資信託は目標とする指標等を超える成果を目指す投資信託。アクティブ投資信託の方がインデックス投資信託よりもリスクが高く(増える可能性も高ければ減る可能性も高いということ)なります。とはいえ、金融庁が選定した限定14本です。その他の数千種類から自分で優良だと思われるものを探し出すよりも14本から選んだ方が無難でしょう。

ハラハラせずに着実に投資をしていきたい方はインデックス投資信託で、多少増えたり減ったりしてもじっと見守ることのできる方はアクティブ投資信託で投資を始めてみましょう。

投資をして減ってしまったら?

投資は、元本保証されていません。増えることもあれば、当然減ってしまうこともあります。減ってもいいとはなかなか思えないから投資に一歩踏み出すことができない方もたくさんいます。かくいう私もそうです。増えるのは大歓迎ですが減ることには強い抵抗感があります。

減ってしまったときにはどうしたらいいのか。慌てて売るのは厳禁。また回復してくるのを待つだけです。ですから回復を待つ時間のないお金(子供の教育費など直近に使い道の決まっているお金)は投資に回さないことが鉄則。当分使い道はないけれど、10年後くらいに増えていたらうれしいなぁと思うお金や、30年後の老後のためにコツコツためたい思うお金などを投資に回します。そうすると、たとえ一時的に減ったとしても待っていたらまた回復してきます。 仮に一時的に減ったとしても待っていたら回復できるであろう優良な長期投資に向いた商品、それが金融庁から選定された投資信託です。一歩踏み出してみてくださいね。

執筆者プロフィール : 国分さやか


お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。


2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種