そろそろマイホームを買うか……と頭金の準備もして、希望は全部叶わなかったにしてもそれなりに気に入った家を見つけて返済計画も立てて「ヨシ!」と腹を決めた。けれど、何と住宅ローンの審査に通らなかった、というのは時々ある話。

大企業とまではいえなくてもそれなりの会社に勤めているし、真面目に働いて生きてきたのに……とがく然とするものです。なぜ審査に通らなかったのかは、教えてもらえない。心はズタズタ……。

金融機関の心の声は……

というのが金融機関の心の声でしょう。「借金? したことないし」「返済実績!? 車のローンだって毎月ちゃんと返済してるし……」と意外に思う方。知らないうちに落とし穴にハマっている可能性があります。

見落としがちな「借金」その1……クレジットカード

サインなしで利用できるなど、便利さが増していくクレジットカード。大きな利用は記憶にあっても、日々の小さな利用は忘れがち。最近では請求書を発送することで手数料がかかったりするため、利用額はメールやインターネット上で確認することが増えています。

引き落とし額を詳細まで把握していなかったり、そもそも入金しそびれていたりしたために、残高不足で引き落とせない場合(数円の不足でも引き落としがかかりません)も、その事実が信用情報機関に登録されることがあります。

残高不足で引き落とせなかった場合も信用機関に登録される

引き落とせない場合にはメールが届くので、毎回そのメールを見て入金するという声も聞きますが絶対にやめましょう。利用額をきちんと把握して入金することが基本。ですが、もっと手っ取り早く、給与の振り込みとクレジットカードの引き落としを同じ口座にし、引き落としが終わってから給与を引き出すといいでしょう。

見落としがちな借金その2……携帯電話

毎月支払う「携帯代」。この「携帯代」の中身は、主にその月に使った利用料金と携帯電話本体の代金。最近では、携帯電話本体の代金の多くが分割払いになっています。分割払い、つまり借金です。

携帯端末代を分割にしている人は要注意

うっかり「携帯代」が引き落とせなかったり、払い込むのが遅れてしまったりというのは、借金を返すのが遅れてしまったということと同じ。一括払いをしていない方は、「携帯代」に本体代金の借金が含まれていることを忘れてはいけません。

見落としがちな借金その3……奨学金

奨学金も、もちろん借金です。日本学生支援機構では、3カ月以上延滞するとその事実を信用情報機関に登録することになっています。登録が抹消されるのは、完済してから5年後。日本学生支援機構に奨学金の返還義務のある人は約362万人。そのうち約50万人の返還が滞っています(平成26年度末時点)。

奨学金は返還しなくても何も言われないから返さなくてもOKなどと言われていたのはというのは過去の話です(実際はOKではありませんが)。クレジットカードや携帯代に比較して、奨学金は長期間の借り入れである場合が多く、それだけ延滞の記録が長く残ってしまうので要注意です。

軽い気持ちで「まぁいいか」とちょっぴりだらしなくなっていた結果も、金融機関はしっかり確認しています。せっかくFPに相談して住宅ローンの勉強をして返済計画を立てて覚悟を決めたというのに、そもそも審査に通らないなどということのないよう、今のうちから日々のお金の管理をもう一度見直してみてくださいね。

執筆者プロフィール : 国分さやか


お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。


2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種