2018年は、6月には大阪北部を大きな地震が襲い、例年よりも早く7月から台風が押し寄せ、そして8月には西日本で大きな土砂災害が発生するなど自然災害が続いています。
自然災害によって住宅が被害にあうことも考えると、恐ろしくて住宅を購入する気分になれない、という声をいただきました。仮に購入した住宅に住めなくなったとしても、住宅ローンの返済は原則として続きます。確かに大きな不安要素の1つでしょう。
そんな不安を少しでも取り除くために、災害という観点からの住宅選びについてご案内したいと思います。ですが、住宅選びとは言っても基礎となるのは住宅を建てる土地です。今回は住宅選びの前の土地選びについてご紹介します。
土地のチェック
地震に強い建物を建てることも重要ですが、もっと重要なことは、その建物を支える土地。建物を建てる基礎となる土地のことを地盤といいます。通常は、建築前に地盤調査を行いますが、購入前に自分でも土地について調べておく方が安心でしょう。地の利や用途地域、都市開発などについても調べた方がいい項目ですが、今回は自然災害にしぼって考えてみましょう。
洪水
大雨などが原因で、河川から氾濫した水で水没したり水浸しになったりする災害を洪水といいます。最近では、半地下階を玄関にする戸建て住宅も増えており、特に洪水時には被害が大きくなっています。
洪水を避けるためには、そもそも標高の高い土地に住んだ方がいいという考え方もあります。ですが、標高が高いということは山に近くなるということになります。そうすると次に考えられる災害が、土砂災害です。
土砂災害
大雨や地震によって斜面が崩れ、地滑りや土石流が起こる災害を土砂災害といいます。山のふもとや斜面の下では土砂災害の危険が高まります。また、斜面をならして建てているマンションなども増えています。
建てている土地そのものはきちんと整備されていたとしても、周囲の土地はそうとは限りません。山の近くでは土砂災害などの不安がありますが、海の近くでは津波などの災害が考えられます。
津波
地震や火山活動などによる地形の変化にともなって波が押し寄せる現象を津波といいます。東日本大震災を思い起こすとその破壊力はここに書くまでもないでしょう。また、日本で起こる大地震だけが津波の原因ではありません。仮に太平洋の向こう側のチリで地震が起きた場合、20時間ほどかけて日本に津波が到達する可能性も発表されています。
災害に強い土地の探し方
これらの災害に強い土地を探すことは、さほど難しくありません。全国の自治体のハザードマップが、国土交通省によりポータルサイトとして運営されています。洪水や津波、土砂災害、道路冠水想定箇所、標高、地形、土地の特徴などさまざまな情報がまとめられています。
まず、特に重大な災害である洪水・土砂災害・津波の3つについて確認をしましょう。ハザードマップポータルサイトの中には、この3つについてまとめて確認できる「重ねるハザードマップ」があります。まず、この3つの災害について安心できそうな場所をおおまかに確認してから候補地を探してみましょう。そしてその候補地については詳細も確認することをお勧めします。
今回ご紹介した土地選びは、あくまでも現状の想定内での選び方になります。想定外の災害が押し寄せることも考えられますし、既に災害に強い土地とは言い難い場所に住んでいる方もいるかと思います。災害に強い土地に住んでいる場合でもそうでない場合でも、避難所の場所や避難経路、家族の中で万が一の集合場所を普段から確認しておくことが重要です。
また、住宅に関しては、地震保険や火災保険で万が一の自然災害などに備えることもできます。ここがいいという住宅が見つかった場合には、地の利や用途地域、間取り、価格、ローンなどのことだけでなく、自然災害の面でも本当に自分にとっていい場所なのかを確認した上で購入に踏み切ってほしいものです。
国分さやか
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。
2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター
<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種